SSブログ

イギリスは模範事例なのか [経済を眺める楽しみ]

英政府統計局の発表によれば、7~9月期のGDP伸び率速報値は前期比0.4%減となり、6四半期連続のマイナス成長であったとのことである。これは、1955年以降で最長の景気後退となるらしい。
量的金融緩和策や付加価値税下げなどの景気刺激策にもかかわらずマイナス成長を脱却できなかったことから、かなりの深刻さがうかがえる。

イギリスといえば、「英国病」と言われた低迷を打破し、90年代以降、長期に渡って経済成長を続けてきた国である。
同じ島国であり、外交ではアメリカ寄りのスタンスを取っていることから、日本ととかく比較される。経済の面でも、いろいろと対比されて論じられる。
日本の長期低迷期とイギリスの好調期が重なったため、イギリスに学べ、との声も強い。
しかし、今回の発表を見ると、先生となるべきイギリスの経済も相当厳しいようだ。失業率も、急激に上昇しており、率だけ見ると、日本よりも厳しい状況である。

イギリスは、金融立国的政策によって反映してきた面が強い。
ウィンブルドン現象と揶揄されるように、プレーヤーはアメリカ勢を中心とする海外資産にとって変わられたが、結果として国自体の繁栄につながっていたようである。
こうした流れは、サッチャー政権以降の新自由主義的な政策によってもたらされたものと言えるだろう。
日本でも、小泉・竹中路線は、随分と後追いではあるが、方向性としては、レーガン・サッチャーの政策を参考にしたものと考えられている。

しかし、日本で見ているほど、イギリスも順風満帆ではなさそうだ。
新自由主義はブレア政権により大きく軌道修正され、市場中心と大きな国家という二つの大きな路線の中間に位置する「第三の道」が模索されるようになった。
日本でもこの方向性への支持が根強いと考えられるが、イギリスでは、そうした政策を掲げている労働党への支持が著しく低迷し、現在沙汰止めになっているようである。

産業構造は大きく異なるものの、地勢的政治的国家体制的に共通点の多いイギリスの動きは、今後も要注目である。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0