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映画評「花とアリス」 [映画評]

岩井俊二監督の「花とアリス」をビデオ鑑賞した。
仕事でひとヤマ終わり、かなりの疲れを感じているなか、それを癒したいと、何かお勧めの青春物の映画がないかと職場の同僚に伝えたところ、この作品を推薦された。
勧められたら、それは、見るしかない。
だから私に、「こち亀」を勧められた方もにも観ていただきたい。
是非、劇場で。

岩井監督は好きな監督なのだが、どうしても「小品」というイメージがある。
「佳作」と言ってもいいだろうか。
しみじみいいのだが、なんつうか、もうワンパンチほしかったな、といったような感がなくもない。
ちょっともぞもぞしてしまいそうな。
「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」のような、短編に本領があるような気もする。

「花とアリス」もよくできているとは思う。
ある種荒唐無稽な、また、ある種どうでもいいようなエピソードが積み重なっていくのだが、裏には友情や家族愛などがあり、映画的伏線とともにクライマックスに向かっていく。
手練である。
ラストのさわやかなシーンに込められたいろいろなものが心に沁みていく。

のだが、映画としては、微妙な面もある。
劇場で、二時間以上、と考えると、ちと引く。
もっと、凝縮して見せてくれればよかったのに、と思ってしまう。

さて、この作品で、今さらながら発見したのは、蒼井優さんの魅力である。
私のまわりに彼女のファンだという人間が多いのだが、これまでイマイチピンと来なかった。
失礼ながら、飛びぬけてルックスやスタイルがいいというわけでもなく、なぜこれほどの支持を集めるのかわからなかったのである。
「フラガール」も見たのだが、そのときは「いい女優さんだなあ」くらいしか思わなかった。
今作を見ると、彼女の魅力がよく理解できた。
この映画を観た人は、彼女のことを好きにならずにはいられまい。

蒼井優さんの魅力について、「透明感」「ナチュラル」「演技力」などという意見が多い。
確かにそういう面はあるだろう。
自然体な感じは好感が持てる。
私は、それに加えて「人間力」のようなものを感じた。
女優としてどうこう、タレントとしてどうこう、という以前に、人間としての力にひかれていく感じである。

女優さんのことをそこまで思わせるのだから、この「花とアリス」という作品も、その意味では大成功だったと言えるのだろうか。
なにはともあれ、蒼井さんを見ているだけで、幸せな気持ちになれる映画ではあった。
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コメント 2

中野のアリス

私もご多聞にもれず蒼井優ファンですが、『花アリ』が一番好きですね。
岩井俊二監督は、「ワンシーンで映画を変える力がある。ロナウジーニョみたいなもんです」と蒼井優を評していました。
舞台(『楽屋』)でも観ましたが、確かに彼女が登場した瞬間に空気が変わったように感じました。

ちなみに岩井作品では『スワロウテイル』も好きです。
ちょっとキャスティングがミーハーすぎますが、アジアっぽいごちゃまぜ感が心地良いです。
『打ち上げ花火~』もいいですね。ストーリーより視覚に残る作品が多いですよね。
by 中野のアリス (2011-09-13 19:37) 

淋

中野のアリスさん、コメントありがとうございます。
「花アリ」観賞後、CMに出ている蒼井さんを見て、なんかドキっとしたりするようになりました。

キャスティング、ですね。
「花アリ」にも、ちょい役で多くの有名スターが出ておられました。
こういうのは、どういう狙いがあるのでしょう。
本筋とは違うところに思いが行ってしまい、マイナスの効果しか無いように感じるのですが・・・。
by (2011-09-14 04:43) 

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