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持続可能は思えない地方交付税制度 [公会計]

総務省より、「2012年度(平成24年度)普通交付税大綱」が発表された。
これによると、今年度の普通交付税の総額は16兆4,073億円で、前年度の当初予算額16兆3,309億円と比べると764億円の増加となっている。
内訳をみても、道府県分・市町村分ともに微増である。

どう考えても、自治体の財政状況は、厳しさを増している。
交付税の趣旨からすれば、厳しさを増した分、額の積み増しがなされるはずだが、国の財政の厳しさは地方以上とも言えるから、交付税を増やすのは難しい。
そうしたなかで、地方重視の姿勢を示す形として、微増という結果を打ち出したというところだろうか。
増加率は1%未満で、ほぼ横ばいだから、積み上げ結果というより、総額ありきの計算であろうと考えられる。

道府県分の不交付団体は、いつものように東京都のみ。
神奈川も愛知も地方交付税をもらっている。

市町村分の不交付団体は54団体。
交付団体は1,665団体というから、ほとんどの市町村が交付税をもらっている。
不交付となっているのは、武蔵野市や鎌倉市といった、いかにもお金のありそうな自治体のほか、成田市や浦安市といった特徴のある施設が立地しているところが目立つ。
特徴のある施設としては、原発がもっともわかりやすい例で、泊村、六ヶ所村、女川町なども不交付団体である。
ちなみに、政令市はどこも交付税をもらっている。
リッチっぽい雰囲気を醸し出している横浜や京都や神戸や、経済の好調が伝えられる福岡も交付団体である。

なお、新たに不交付団体となったのは、山梨県忍野村のみ。
本社のあるファナックの好調が、自治体財政を支えている。

ほとんどの自治体が地方交付税の交付を受けており、交付税なしでは自治体財政は運営できない。
しかし、国家財政が毎年何十兆円もの借金を増やしているなか、交付税額がこれからもずっと守られるとは考えにくい。
地方交付税制度は、制度疲労が著しく、とても持続可能とは思えない。

大阪の橋下市長が地方交付税の廃止を訴えておられる。
そして、それに対する反発も起きている。
確かに、交付税に変わる財政調整制度を考えるのは、なかなか骨だろう。
だからといって、持続可能性に大きな疑問符が付く地方交付税に固執するのもどうかと思う。
新しい時代を切り開くためには、新しい制度が必要だろう。

ただ、地方交付税制度改革の声はなかなか高まらない。
地方としては、ありがたい制度だし、総務省としても守りたいのだろう。
ある意味、持ちつ持たれつである。
本当にそれでいいのだろうか。
私は、いいとは思わないのだが。
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コメント 2

葦立 茂蔵

どうして行けば良いんですかねぇ。
by 葦立 茂蔵 (2012-07-29 11:34) 

淋

覚悟、ですねえ。
by (2012-07-30 04:34) 

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