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正座して見続けた八重樫の一戦 ~語り継ぎたいロマゴンとの9R~ [ヨモヤ]

ボクシングが好きだ。
人生をやり取りする、ピリピリした緊張感が好きだ。

負けたらすべてを失うスポーツだが、見ている側は、勝ち負けだけに興味があるわけではない。
いや、むしろ、それ以外のところを見る。
というか、感じる。

三兄弟がすべて世界チャンピオンになるという、信じられないような快挙を成し遂げた亀田家だが、ボクシングファンの支持は得られていない。
勝ち負けだけにこだわる姿に、違和感を覚えるからであろうか。

今日の試合で、八重樫が防衛に失敗した。
圧倒的に不利という下馬評であり、そのとおり負けてしまった格好である。
しかし、その試合には、強く動かされるものがあった。
勝ち負けを超えたものが確かにあった。

相手は、無敗の怪物、ローマン・ゴンサレス。
だが、ロマゴンが相手だから負けても仕方がない、という試合ぶりなら、誰も感動したりはしない。
八重樫は、勝つために正面から立ち向かい、壮絶に散った。

打たれても打たれても、なにやら楽しそうに八重樫は戦った。
見ているこちらが後遺症の心配をしてしまいそうなほどの厳しい試合だったが、八重樫は、笑っているようでさえあった。
一方的に押しまくられながら、しかしどこかに可能性を感じさせながらラウンドを重ねていった。

会場は、八重樫のパンチが相手をとらえるたびに大きくわいた。
こんなにみんなが一つになって試合にのめり込んでいく試合は、いつ以来だろうか。

階級が極端に細分化された現在、2階級や3階級を制覇しても、特に偉大とは認められない。
団体が乱立している現在、統一王者の意味も薄くなっている。
しかし、本物の試合を見せれば、それは人々の記憶に深く刻まれる。

何年たっても、
「ロマゴンと八重樫の試合、見た?」
と語り継がれるだろう。
一方的であるのに、感動的だった。
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