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書評 「裸でも生きる」 [ヨモヤ]

本作の著者である山口絵理子さんは、女性起業家として注目されている方で、メディアで取り上げられることも多く、私も何回か拝見した。
また、彼女が経営するMOTHERHOUSEでは、マザーハウスカレッジというゲストを招いてのトークセッションも開催されていて、私も参加したことがある。
しかし、山口さんの過ごされて来た人生については、まったく知らなかった。
センスのいい女性実業家、くらいな感じでとらえていた。
この本を読んで、びっくり仰天である。
彼女のことを知る人からすれば、「遅いよ!」ということだろうが。

この本に書かれているところまでの彼女の半生を簡単に振り返ると、
まず小学校時代は、陰湿なイジメにあい、校門をくぐれないような子供だったらしい。
しかし、懸命に学校に通い、何かを乗り越えるきっかけをつかんだ
しかし、反動で中学校では非行に走る
しかし、急転思い直し、柔道を始める
しかし、普通に名門校に行くことは拒否し、男子柔道しかない工業高校に
しかし、そこで死ぬ気で努力を重ね、全日本ジュニアで7位にまで。
しかし、そこから進学しようにもどうすればいいか
しかし、あきらめず有名大学を目指し、周りからはあきれられる
しかし、猛勉強の結果、奇跡的に慶應に合格
しかし、そこでは飽き足らず、ワシントンの国際機関へ
しかし、何か違う
そこで、最貧国のバングラデシュに
援助ではなく、そこで生産し、売れるものを作ることを目指す
しかし、そこは日本とはかけ離れた国
騙され、裏切られ、それでも一歩一歩

なんとも、まあ、壮絶である。
「工業高校から慶應合格」だけで一冊書けそうだし、現に「ビリギャル」はそれに近いことで大きな話題となったのだが、山口さんの人生においては、大学合格はほんの通過点である。
そのほかにも、柔道の話、国際機関での話など、それだけで映画一本、本一冊作れるね、ということの連続である。

本当にすごい人だと思うのだが、本人としては、あまり特別視されることが本意ではないらしい。
この本の続編となる「裸でも生きる 2」という本では、注目され、持ち上げられることへの強烈な違和感が書かれていた。
それは本音であろうけれど、こんな壮絶な生き様を見せられては、感嘆の目で見ざるを得ない。

この本は、ぜひ多くの人に読んでもらいたい。
男も女も、
大人も子供も、
偉い人も偉くない人も、
読んで何かを感じてほしい。
読み終わったら、きっと世界が少し違って見えてくるのではないだろうか。

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ポン太

今年中に読み直したくなりました!
一度、お話を直接聞きたい気もします。
石坂さんしかり諏訪貴子さんしかり
女性社長のパワーはハンパないです。

by ポン太 (2017-05-01 23:41) 

淋

パワーがあることに加え、「社会」に向き合うところが女性社長の特徴かもしれませんね。
by (2017-05-02 03:58) 

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