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映画評 「ペンギン・ハイウェイ」  ~ 2018年夏 是非ご覧いただきたい一本 ~ [映画評]

今年の夏はこの映画だと思う。
「未来のミライ」がはまらなかった人、
「銀魂2」がしっくり来なかった人、
今年の夏、映画観てないなあ、という人、
今年の夏、夏っぽい映画ないなあ、という人、
思い出に残る夏を過ごしたい人、
「ペンギン・ハイウェイ」をご覧になることをお勧めしたい。
将来、2018年の夏と言えば、「ペンギン・ハイウェイ」と思い出されるのではないだろうか。
そんな快作である。

原作は、「夜は短し歩けよ乙女」などで知られる森見登美彦さんの小説。
監督の石田祐康さんの作品を観るのは、今回が初めて。
アニメ化するにふさわしい原作だが、成功させるのは非常に高いハードルがあったであろう今作を、見事な映画に仕上げられた。
脚本の上田誠さんは、劇作家・演出家としても知られる方らしい。
余韻の残るいい本を書かれた。

公表されているあらすじは、こんな感じ。
「毎日学んだことをノートに記録している勉強家の小学4年生アオヤマ君は、通っている歯医者のお姉さんと仲良し。お姉さんも、ちょっと生意気で大人びたアオヤマ君をかわいがっていた。ある日、彼らの暮らす街に突然ペンギンが現れる。海もないただの住宅地になぜペンギンが現れたのか。アオヤマ君は謎を解くべく研究を始めるが、そんな折、お姉さんが投げ捨てたコーラの缶がペンギンに変身するところを目撃する。」

なんだかわけがわからないと思うが、映画をご覧になってもやっぱりわけがわからないと思う。
それなのに惹かれてしまう。
主人公のアオヤマ君も、アオヤマ君が慕うお姉さんも、現実離れしたキャラクター。
それなのに心が移る。
辻褄も何もない感じで取っ散らかっていくのに、ラストに向かってグイグイ引っ張られる。
そして、最後は実に切ない気持ちになる。

唐突だが、おっぱいも大きなテーマになっている。
そう、「おっぱいバレー」のおっぱいである。
そこがちょっと苦手、という人もいるかも知れない。
また、子供が観るにしてはどうか、との意見もあるだろうか。
私は全く不快に感じなかったし、誰が観ても面白い作品だと思う。
ただ、あまり小さい子にはちと難しいか。

すでに大好きな映画になっており、予告編を観返したらちょっと鼻の奥がツンとしてしまったが、欲を言えば、もうほんの少し短ければ、よりよかったとは思う。
上映時間は119分でそれほど長くはないが、あと15分詰められていたらと感じる。

この映画で感じた切なさは、細田監督の「時をかける少女」で味わった気持ちと共通するものである。
冒険のワクワクは、同じく細田監督の「サマーウォーズ」で味わった高鳴りと共通するものである。
本作の石田監督に対しても、細田監督に対しても、大変失礼なことだとわかっていて書いてしまうが、この映画を観ながら私は、細田監督の新作が「ペンギン・ハイウェイ」だったらよかったのに、などと妙なことを考えてしまった。

繰り返し観たくなるようなクセのある映画でもある。
語り合いたくなるような映画でもある。
是非。

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サンフランシスコ人

2019年4月....サンフランシスコで、石田祐康監督の『ペンギン・ハイウェイ』を上映...

http://www.roxie.com/ai1ec_event/penguin-highway/?instance_id=32808
by サンフランシスコ人 (2019-03-13 06:31) 

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