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人口減少はデフレの原因ではない(当たり前だが) [経済を眺める楽しみ]

人の数が減ると、売れるものの総量が減る。
当たり前である。
車を買う人が100人いるのと10人いるのとでは、売れる数量に差が出るに決まっている。
しかし、だからといって値段も下がるとは限らない。
車が売れる台数が10分の1になったとしても、
車の値段が10分の1になるかというと、それは別問題である。

何故こんなことをあえて書くかというと、人口減少がデフレの原因であると勘違いされている方が多いように思うからである。
その原因の一つは藻谷浩介さんが書かれてベストセラーになった「デフレの正体」という本だろう。
この本では、人口減少が日本経済に与える影響が力説されていた。
ご本人は、人口減少がデフレの原因であるとは言っていない、という立場だと聞くが、そうした誤解が広まったのは確かだろう。

ここ数年、賃金が上昇している。
中央最低賃金審議会が2019年度の全国の最低賃金の目安を27円引き上げて時給901円にする方針を決め、東京都と神奈川県は初めて1000円を超えることとなった。
都内の居酒屋などでは、1,000円を大きく超える時給が当たり前になっている。

それはそうだ。
人口が減り、働き手が減れば、労働力の希少価値が高まる。
希少価値が高まれば価格が上がる。
経済の原則である。

長い間、企業収益の上昇が賃金の上昇につながらないと嘆かれていたが、
ようやくここに来て賃金上昇に火がついてきたようだ。
これは物価の上昇にもつながっていくだろう。
つまり、人口減少がインフレの引き金になりそうな状況になっている。
デフレではなく。

ただし、賃金上昇と人手不足のダブルパンチで、企業経営の厳しさが増しているのも確かである。
デフレからの脱却が最優先だった日本経済だが、
デフレから脱却すればすべてがうまく行くというわけでもない。
難しいところだが。

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