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映画評 「人間失格 太宰治と3人の女たち」 [映画評]

蜷川実花さんについては、なんとなく遠巻きに見ていたのだが、
前作「Diner ダイナー」で目を覚まされた。
色彩や映像への評価が高いが、ストーリーテラーとしてもイケている。

「人間失格 太宰治と3人の女たち」はそんな蜷川さんの最新作。
太宰治を小栗旬さんが演じ、
3人の女を宮沢りえさん、沢尻エリカさん、二階堂ふみさんが演じる。
脇を固めるメンバーも、藤原竜也さん、高良健吾さん、成田凌さん、千葉雄大さん、瀬戸康史さんという豪華版である。

太宰さんと言えば、無頼な私生活でも知られる。
薬物中毒であり、
自殺癖でも有名である。
そして、数々の女性遍歴を活かして、
優れた作品を残された。
私も太宰さんのファンであり、学生時代にほぼすべての著作を読んだ。

本作の主役はもちろん太宰さんだが、主役以上に注目されたのが3人の女性。
まずは正妻役の宮沢りえさん。
今まであまり美しさを感じたことがなかったのだが、本作ではそれが見えた。
二階堂ふみさんの役者っぷりにはもともと感銘を受けていた。
そして、沢尻さんがお綺麗なのには驚いた。
役にもぴったりはまっていた。
つまり、3人が3人とも、しっかり役割を果たしていた。
これは、もちろん役者の力量であろうが、監督の力も大きい。

小栗さんは、破滅の道を歩む太宰を熱演されていたが、
ちょっとステレオタイプの太宰像にはまり過ぎている感があった。
その意味では、期待に応えてはいるわけだが、裏切る要素も欲しかった。
もちろん、そういう演出だったのだろうが。

「人間失格 太宰治と3人の女たち」は、なかなか楽しませてくれる娯楽作。
女優陣の演技合戦に魅せられる。
太宰ファンならなおさら楽しめるが、
太宰のことを知らなくても、十分興味深く観られると思う。
文芸作、というのとは少し違うが、監督の作家性も見えて、芸術の秋にふさわしい作品となっている。

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