SSブログ

映画評 「3人の信長」 [映画評]

一般的な注目はそれほどでもなかったが、この「3人の信長」という映画を楽しみにしていた。
というのも、監督の渡辺啓さんという人に興味が湧いたからである。
正直なところ、この映画の前までは、全く意識していなかったのだが、
元お笑いコンビ「グレートチキンパワーズ」のボケ担当で、
のち脚本家に転身し(『HiGH&LOW』シリーズなどを手掛けているらしい)、
今作は自らの企画を実現させたとなれば、
どんなものなのか観てみたくなろうというもの。

ストーリーは、信長をとらえたつもりが、それが1人ではなく3人になり、
3人とも自分が本物だと言い出しててんやわんや、というもの。
誰が本物なのかは、割と序盤で大きなヒントが出されるので多くの人にはわかる。
今作は、誰が信長なのかを当てる楽しみではなく、
舞台劇のようなやり取りと、
目まぐるしく変わる展開と、
信長という人物を通じて浮き上がって切る「生きる意味」といったことを味わう作品である。
そして、監督の狙いはおおむね成功したと言っていいのではないだろうか。

観終わった後、爽やかな気持ちになれる映画であり、
サービス精神にあふれているため、
最初から最後まで楽しく観ることができる。
不朽の傑作とは全く思わないし、
年間ベスト級の作品とも感じないが、
観てよかったと思える作品だった。

3人の信長を、
TAKAHIROさん、
市原隼人さん、
岡田義徳さんが演じる。
3人とも好演されていた。
高嶋政宏さんは、このところ定番の悪役をコミカルに演じられた。

「3人の信長」は、アイデアが詰まった快作。
映画で何かを伝えよう、映画でみんなを喜ばせよう、
映画で世界をひっくり返そう、
といった野心がほの見えるところが心地よい。
渡辺啓さんには、これからも映画を撮り続けてもらいたい。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。