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映画評 「惡の華」 [映画評]

本作は、押見修造による漫画作品の映画化。
カルト的な人気のある作品であり、映画化にはかなりの踏ん切りが必要だったと思う。
賛否分かれる内容であり、出来であると思うが、私は惹かれた。

「惡の華」という漫画作品については、Wikipediaはこんな風に書いている。
“「絶望」をテーマに、思春期特有の精神的彷徨と自我の行方を描いた青春漫画。作品名はシャルル・ボードレールの同名詩集による。”

今の言葉で言えば「中二病」という表現で片付けられてしまうかもしれないが、
中学生、高校生の頃は、
自我が肥大し、
世の中が歪んで見えて、
自分だけが特別な存在に思えて、
自分がやたらとちっぽけな存在に思えて、
七転八倒してしまうものである。
異性に対する思いも、
単純な性的な好奇心から、
極端な神格化まで、
振れに振れるものである。

自分が変態ではないかとの恐れ、
変態であるものへの憧れ、
そんなものまでごちゃ混ぜになってくる。

「惡の華」では、玉城ティナさん演じるヒロインが、伊藤健太郎くん演じる主人公をいたぶりまくる。
「変態野郎、変態野郎」
と蔑み、
「クソムシ」
と罵倒する。
弱みを握られている主人公は、戸惑い、反発するが、
いつしか同志のようなつながりを感じる。

なんだそれ?
と思われるかもしれない。
映画を観ながら、私も画面に向かって、何度もそう突っ込んだ。
しかし、だんだんなんだか二人の気持ちがわかってくる。
切なくなってくる。

ラストで、玉城さんが発する言葉が悲しい。
グサッと来た。

監督の井口昇さんは、アダルトビデオも撮られていたようだし、俳優もされている異色の存在。
次回作も観てみたい。

映画「惡の華」は、ドロドログログロしているが、
その根本は青春映画。
原作ファンからは不満もあるかもしれないが、私はよく撮り切ったと思う。
二人の喜び、悲しみが胸に刺さる。
タグ:惡の華
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