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映画評 「殺さない彼と死なない彼女」  ~ 来た! 是非、多くの人に見ていただきたい掘り出し物 ~ [映画評]

この映画、予告編がつまらなかった。
自殺しようとする桜井日向子さんを、オラオラ系の間宮祥太朗さんが引き留めるシーンが中心。
「ハイハイ、その後二人は恋に落ちるんですね、ごちそうさま」
と思い込み、観るつもりはなかった。
しかし、日経の映画評が好意的で観た人の評価も上々。
では、だまされたと思って。

結果、観てよかった。
本当によかった。
予告編と全く違い、登場人物が複雑に絡み合っている。
そして、みんなが輝いていた。

間宮祥太朗さんと桜井日奈子さんの不思議な関わりのほか、
恒松祐里さん演じる地味子と堀田真由さん演じるきゃぴ子による女の子の友情、
ゆうたろうさん演じる地味子の弟と、箭内夢菜さん演じる彼を好きでしょうがない女の子の奇妙なやり取り。
これらが別々に進んでいく。
それぞれのエピソードが、可笑しく、楽しく、切なく、胸に痛い。

テーマの一つが、「好き」である。
「愛してる」ではなく、「好き」。
好きってなんだったっけ、
好きって楽しかったっけ、苦しかったっけ、
好きって幸せだったっけ、
などなど、今さら思いを馳せる。

桜井日向子さんは「ブス」「ブス」言われる役まわり。
「岡山の奇跡」と謳われた桜井さんだが、地味なメイクと暗く素っ頓狂なふるまい、
さらに出演している美少女たちによって、本当にブスに見えて来る。(失礼。しかし、誉め言葉)
間宮祥太朗さんははまり役。
難しい役を説得力をもってこなされた。
恒松祐里さんは、地味子を演じるには可愛すぎるのが玉に瑕。
自分を世界で一番かわいいと思う女の子を演じる堀田真由さんは実際に可愛い。
ゆうたろうさんと箭内夢菜さんのやり取りは演劇的。
なんとも言えない味があり、いつまでも見ていたくなる。

2019年の最優秀脚本賞を差し上げたい素晴らしいシナリオを書いたのは、
監督もされている小林啓一さん。
この作品まで全く知らなかったが、凄い映画を撮られた。
いろいろな伏線が最後にガーッと回収され、
タイトルに込められた意味も伝わってくるのだが、
それらが単なる快感としてではなく、しみじみ心に降りてくる。
いやはや、素晴らしい。

「殺さない彼と死なない彼女」は、2019年の掘り出し物。
是非とも多くの人に観ていただきたい。
そして、泣いて笑って、驚いてほしい。
観た人は、是非広めてほしい。
この映画、好きだ。

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