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書評 「ミルトン・フリードマンの日本経済論」 [読書記録]

経済学の本も読まなくちゃ、と思いつつ、
分厚いのはちょっとしんどいし、
数式が出てくると困ってしまう。
その点、本作は新書版で手に取りやすいし、ややこしい数式もない。
それでいて、経済学の理論をわかりやすく伝えてくれる。
日本経済を分析するくだりは、エキサイティングでさえあった。

著者の柿埜真吾さんは新鋭の経済学者で、本書がデビュー作であるという。
この読みやすさ、わかりやすさは、今後が楽しみだ。

さて、ミルトン・フリードマンというと、どのような印象であろうか。
ほとんどの人は、「誰、それ?」であろうし、
嫌いな人からすれば、「市場原理主義を広めた諸悪の根源」的な扱いをされているかもしれない。
人物評価はそれぞれであろうが、フリードマンは経済学者であり、
その理論の是非について問うべきであろう。
先入観での食わず嫌いはもったいない。

本作では、フリードマンが日本について関心を寄せていたことが書かれている。
そして、バブル後の日銀の政策について痛烈に批判している。
後付けの批判ではない。
20世紀の後半以降の日銀は、
フリードマンがかねてから主張していたことと真逆の政策を取り続け、
結果として長期にわたる経済の低迷を招いたことに注意したい。

アベノミクス発動後、日本経済は持ち直し、
株価は上昇し、円高は是正され、失業率も大幅に低下した。
アベノミクスは、フリードマンの主張していた金融緩和策で成功したといえる。
しかし、消費増税など、方向性が違う政策を同時に行っていることも押さえておきたい。

本作は、経済学の予備知識がなくても、十分に楽しめる。
戦後の日本経済の流れを概観できるのもうれしい。
フリードマンを知っている人も知らない人も、
賛成派にも反対派にも、
一読をお勧めしたい。

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