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映画評 「ステップ」 [映画評]

妻に先立たれた主人公が、男手一つで娘を育てる10年間の軌跡を描く。
数多くの作品が映画化されている重松清さんの小説が原作。

子育てはなかなか大変だが、
父子家庭、母子家庭となるとなおさら。
本作でも主人公は悪戦苦闘をするのだが、
一般的な目線で見ると、かなり恵まれた状況と言えなくもない。
しっかりした定職があり、金銭的な不安はなさそうであるし、
4時に帰れるようにはからってもらえてもいるからである。
周りの人たちも好意的に見守ってくれている。
もちろんそれでも大変は大変だろうが、
特別に頑張ったとして映画化されるような存在ではない。
普通の人の普通の暮らしにスポットを当てる重松作品らしいと言えようか。

タイトルの「ステップ」には、
父と娘がすこしずつ段階を踏んで成長していくという意味のほかに、
英語で言うステップ・ファザー、ステップ・マザーの要素が含まれている。
義母義父継父継母の存在が、この作品のみそと言っていいだろう。

泣かせどころ満載の映画で、
すぐ泣いてしまう、という人は複数回泣くのではないだろうか。
そういう映画が好きな人にはおススメ。
腹黒い人、意地悪な人も出てこないので、安心して観られる。
映画とすると、もう一押し二押し欲しいところではあったが。

主演は、山田孝之さん。
俳優を超えた特異な存在になっておられるが、本作では真面目一本。
義父役の國村隼さんがいい。
タイトルからしても、裏の主役はこちらかもしれない。
東京03の角田晃広さんも出演。
角田さんは半沢にも出ておられて、少し役者づいておられるのだろうか。
監督は飯塚健さん。
同監督の作品では、長野オリンピックのテストジャンパーを描いた「ヒノマルソウル 〜舞台裏の英雄たち〜」が公開延期になっているが、無事に公開されることを祈りたい。

「ステップ」は、おだやかな気持ちになれる映画。
実際に苦労されているひとり親の方からは、「甘すぎる」という声も上がるかもしれないが、
厳しい姿を描くことを目的化することもない。
心安らかに観て、
改めて周りの人への感謝の気持ちを思い出すのもいいものだろう。

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