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映画評 「君が世界のはじまり」 ~ 2020年夏 この映画があった夏 ~ [映画評]

コロナで、
部活もない、
海にも行けない、
え、じいちゃん・ばあちゃんにも会いに行かないの?
文化祭も中止?
今年の夏、何にもなくなっちゃったじゃん。

でも、この映画「君が世界のはじまり」がある。
こいつを観れば、なにもない夏ではなくなる。

この映画のHPに
「魂を焦がす青春映画の新たな傑作が、ここに誕生した。」
とある。
こういうことが書いてある映画は大抵つまらないのだが、本作は違った。
本当に魂が焦がされた。
新しい才能に揺さぶられた。

名作、という類の作品ではない。
青春群像劇なのだが、とっちらかったイメージはある。
あれやこれやあった割には、予定調和感も否めない。
ブルーハーツの曲が重要な要素を占めるのだが、いつまでもブルーハーツっていうのもなあ、とも思う。
そんなやらこんなやら、欠点やツッコミどころはいくつもあるのだが、
だからどうした、という気になる。
一人一人が、小さい範囲かもしれないけれど、シャカリキになって、落ち込んであがいて、
相手を思い、相手に思われ、
若いんだから突っ走って。

監督は、この映画の原作者でもあるふくだももこさん。
1991年生まれの女性監督である。
これから新しい地平を切り拓いてほしい。

脚本は、向井康介さん。
同じくブルーハーツの曲を使った「リンダリンダリンダ」を書いた人でもある。

主演は、松本穂香さん。
こうした小品に欠かせない存在の女優さんで、今回もほんわりと演じられていた。
あと5人、女2人、男3人の高校生が主要登場人物として出てくる。
彼らがみな印象的だった。
ばらばらの個性が、しっかり伝わってきた。
痛いほどに。
女優陣が、中田青渚さんと片山友希さん。
2人とも、繊細かつ振れ幅が大きく、素敵だった。
俳優陣が、金子大地くんと甲斐翔真くんと小室ぺいくん。
それぞれの個性がうまく表現されていた。
小室ぺいくんはNITRODAYというロックバンドのボーカリストであり、映画の中でも歌声を披露するシーンがある。
それを含め、ショッピングセンターで若者たちが暴れまわるシーンは、これはひょっとしたら映画史に残る。

「君が世界のはじまり」は、この夏観るべき、おすすめの一本。
青春映画を観たいのだけれど「今日から俺は!!」とどっちを観ようか迷っている方がいたら(多分というか、絶対いない気もするが)、こちらをお選びいただきたい。
「今日から」もとても面白い映画だが、あの夏はあの映画を観た夏だったなあ、と思い出させてくれるような作品ではない。
「君が世界のはじまり」は、2020年の夏と言えばあの映画だったなあと振り返れる作品である。
是非。

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