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映画評 「空に住む」 と ミシマ社のこと [映画評]

海外でも評価の高い青山真治監督の新作。
本作で青山さんは脚本も務められている。

「空を住む」というタイトルにはいろいろな意味が込められていると思うが、
主人公が、叔父夫婦が用意してくれた都心の高層マンションに住んでいることにもよる。
主人公は小さな出版社で働いており、
ワインやらシャンパンやらを飲み、なにやらしゃれたものを食べている。
職場の同僚に訳ありの未婚の妊婦がいて、
同じマンションには有名スターも暮らしている。
都市生活である。

こうした設定を伝える前半はそれなりに面白いのだが、
後半はまさにグダグダ。

主人公に全く魅力を感じられず、
物語にスパイスを効かせるはずの未婚の妊婦の行動も完全に意味不明かつ共感不能。
主人公は猫を可愛がっているはずなのだが、
その描写も中途半端であり、感情移入するにはほど遠い。

金曜夕刊の日経映画評で星が4つついていたので、期待してしまったのも悪かった。
早く終わってほしいと願う映画に出会ってしまった。

主演は、女性人気も高い多部未華子さん。
多部さんらしい演技ではあったが、本作の主人公の魅力は私には伝わらなかった。
別に主人公が必ず魅力的でなければならないということもないのだろうが、
主人公に気持ちを入れられない作品を観続けるのはしんどい。
滅多に外れない女優さんなのだが。
職場の同僚に岸井ゆきのさん。
個人的にも注目している若手の演技派女優だが、本作では力を発揮しきれず。
会話シーンは楽しかったが、こちらも人物像に魅力がなく。
主人公と同じマンションに住むスター俳優役に岩田剛典さん。
あまり印象はない。
エンディングテーマを三代目 J SOUL BROTHERSが歌っているのだが、こちらもちっとも沁みてこない。

「空に住む」は、私にはまったくはまらなかった。
魅力がなく、悪意はある主要登場人物、
動物のへんてこな使い方。
人間ってそういうものだ、とは言えるけれど、映画でこれを見せられても。

以下は、映画とは離れた話。
主人公が務める出版社は、田舎にあって「いい本だけを作る」をモットーに少数精鋭で営まれている。
エンドクレジットに名前があったので、ミシマ社という出版社がモデルになっているのだろうか。
ミシマ社については、
「THE BOOKS 365人の本屋さんがどうしても届けたい『この一冊』」
という本を手に取って以来、ひそかに注目している。

ちなみに、ミシマ社のモットー的なものは以下のとおり。
1.出版活動を通じて、「世界を面白くする」ことに貢献する
2.読者の方々と「つながる」ことを何よりも大切にする
3.「明るく、面白い出版社」をめざした会社運営を心がける

TOKYO MXがミシマ社を取材したレポートがYouTubeにあったので参考に。
https://www.youtube.com/watch?v=x5EClE_W7CI

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