SSブログ

DH制の有無がセ・パのレベル差の原因? ~ それはちょっと理屈に合わない ~ [ヨモヤ]

2年連続の顔合わせとなったソフトバンク対巨人。
結果も2年連続でソフトバンクの4連勝となった。
2年連続の4連勝は史上初ということだが、それはそうだろう。
両リーグの代表がぶつかる頂上決戦なのだから実力が伯仲していて当たり前。
4試合で終わることが続くのは、明らかに異常である。
しかも今年の場合、そうなることが予想されてさえいた。

日本シリーズではここ10年中9回がパ・リーグのチームが優勝しており、
交流戦ではすべての年でパが勝ち越している。
このあまりにも明確なレベル差について、その原因がいろいろ言われている。
どれにも一理あるとは思うが、DH制を主な理由にするのはどうだろう。
セとパのわかりやすい相違点がそこにあるので、飛びつきたくなる気持ちはわかるが、
ちゃんと分析しているのかというとそうでもないように思う。

ド素人さんならいざ知らず、いまだに評論家っぽい人がこんなことを言う。
「DH制では投手が打席に立たないから、投手交代が少ない。
 必然的に完投する投手が増えて、どんどん力がついていく」
日本シリーズでのソフトバンクのブルペン陣を見て、まだこんなことをおっしゃるのだから呆れる。

ちなみに、ここ2年間のセとパの完投数は以下のとおり。
2019年 セ:30回、パ:19回
2020年 セ:36回、パ:19回
2年ともセの方が断然多い。
ここから何を読み取るかはそれぞれだろうが、少なくともDH制で先発完投型の投手が増えているというのは全くの誤解であることがわかる。

次に、アメリカの状況を見てみよう。
メジャーリーグでも、2019年まではアメリカンリーグのみでDH制が採用されていた。
とすれば、メジャーでもアメリカンリーグがワールドシリーズを圧倒しているのだろうか。
そうではない。
2000年以降で アメリカンリーグ10勝:ナショナルリーグ10勝
と見事に拮抗しているのである。
これをどう説明するのか。

さらに、日本の過去の戦績もひも解いてみる。
パでDH制が採用されたのは1975年。
多少のタイムラグを取って、1980年代以降の日本シリーズの勝敗を見てみよう。
1980年代 セ 5勝:パ 5勝
1990年代 セ 5勝:パ 5勝
2000年代 セ 5勝:パ 5勝
2010年代 セ 1勝:パ 9勝
つまり、1980年から2009年までの30年間は、15勝同士で完璧に拮抗していたのである。
DH制の歴史はかれこれもう45年。
セ・パの差が一気に開いたのはこの10年。
冷静に考えて、DH制がレベル差の主因とするのには無理がある。

セ・パのレベル差の原因をどこに求めても、それぞれの見解だが、
セのチームが、
こちらにはDHがないから仕方ない、
という発想になるのが心配である。
だから、来年も負けても仕方がない、となったらファンは本当に浮かばれない。
私はパのファンだから毎年留飲を下げているが、
逆の立場だったらと思うとぞっとする。
日本シリーズに負けたら、一年間もやもやして過ごさなければならないのだから。

セの球団は、もっと根本的な原因があると考えるべきであろう。
それは、
球団経営のあり方、
プロ野球経営の考え方、
チーム作りの理念、
といったところまでさかのぼる気がする。
2004年のプロ野球再編問題以降にレベル差が広がった点をよく考えてもらいたい。

パのファンとしては、パが勝つのは嬉しいのだが、
ここまで開いたレベル差をこのまま放置するのは野球界のためによくないと思う。
セの奮起を期待したいが、望み薄だろうか。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。