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映画評 「AWAKE」 [映画評]

本作は、2015年4月11日の将棋電王戦FINAL第5局で繰り広げられた棋士とコンピュータの対局にインスパイアされて制作された作品である。
AWAKEとは将棋ソフトの名前であり、実在する。
開発者に奨励会在籍経験があるという設定も、そのまま活かされている。

青春ものというと、スポーツものが主役である。
この頃は希少部活系も増えているが、コンピュータ関係もこれから増えていくだろうか。
本作は、将棋で破れた夢をAIでかなえようというものであり、先駆けとなる一作かもしれない。

どこかで、
「棋士とコンピュータが真剣勝負を演じた時代を描いた作品」
と紹介されていた。
そう、今はもうコンピュータが強くなり過ぎて、棋士と真剣勝負をすることはなくなった。
コンピュータが棋力を上げてきたころ、
「コンピュータに負けるようなことがあれば、プロ棋士の存在価値はなくなるのではないか」
などと言う人もいたが、まったくそんなことにはならなかった。

脚本・監督をつとめられたのは山田篤宏さん。
本作は、第1回木下グループ新人監督賞において、グランプリに選ばれていて、それがデビュー作につながった。
「プロ棋士を目指して挫折した青年が、AIの開発者としてかつてのライバルと対決する」
という筋立ては、なかなか魅力的である。
若者の挫折と復活、ライバルとの確執と友情がしっかり盛り込まれている。
ラストのほろ苦さもいい。
1980年生まれの新鋭であり、今後が大いに期待される。

主演は、今をときめく吉沢亮さん。繊細かつ熱い青年を熱演された。
ライバルを演じられた若葉竜也さんは、クールな雰囲気をうまく出されていた。
吉沢さんとAIを育てていく存在を演じられた落合モトキさんはいい味だった。
恋愛沙汰がないのがこの映画の特徴で、女優さんの登場はごくわずか。
正解だと思う。

さて、この映画を観たのは緊急事態宣言が出るより前のことである。
県境を越えて映画を観に行くのは、しばらくの間、我慢である。
その代わり、なるべく人との接触を避けながら、地元の映画館に通おうと思う。
映画館は安全だし、映画も映画館も守りたいから。

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