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書評 「ブラック霞が関」 [読書記録]

もちろん、みんながみんなというわけではないが、
元官僚という立場の人が何かを言う場合、現政権の悪口を言うことがなにやら多い。
そうした発言をした方が一部マスコミからウケるからなのだろうか、
それとも私恨からなのだろうか。
脱北者の方々は、北側の悪口を誇張して言うので少し割引いて聞いておかないといけないと言われるが、それに似たものを感じることもしばしばである。

「ブラック霞が関」も、元官僚の方による本だが、政権の悪口を言って留飲を下げる類の本ではなく、ずっと建設的なものだった。
改めるべきは改めるべきと指摘し、少しでもいい方向に物事を進ませようという思いが感じられて気持ちよかった。

タイトルが刺激的であり、中身にも官僚の長時間労働の様子が描かれている。
国会での質問待機や、合同ヒアリングなどの弊害は、読んでいて気の毒になってくる。
国会議員の皆さんは、もちろん良かれと思ってやっておられるのだろうが、結果として招いている官僚の疲弊や徒労感にもぜひ思いをはせていただきたい。
与党野党に限らず。
国会対策が貴重な労働時間を削っていることは、この本のみならず、いろいろなところで指摘されていることでもある。
そろそろお気づきいただき、なんらかのアクションにつなげられることを祈りたい。

この本では、政治家の方への提言だけではなく、官僚の側の問題点もしっかり書かれている。
一部の猛烈職員が引っ張る形になってしまっていること、
紙の文化が残り過ぎていること、
デジタル化が全く進んでいないこと、
思考が型にはまり過ぎていること、
人事が硬直化していること、
などなど。
意味のある指摘と提案になっていると思うので、こちらも少しずつでも改善に向かうことを願いたい。

官僚のあり方や働き方にも大いに問題があると思うが、
官僚がやりがいをなくし、心をなくしてしまうようでは、国の未来は本当に危うい。
この本は日経の社説にも取り上げられたように、かなり関心を広げているようだ。
著者の願いが届きますように。

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