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映画評 「聖なる犯罪者」 [映画評]

「聖なる犯罪者」は、ポーランド映画。
何でも、実際にあった話をもとにしているのだという。

主人公は、仮釈放中の若者。
立ち寄った教会で出会った少女に「司祭だ」と冗談を言うと、新任の司祭と勘違いされそのまま司祭の代わりを任されてしまう。
司祭は病気がちであり、若者が前面に出るしかなくなるが、
少年院内で熱心に教会活動に参加していて、そこで覚えた言葉などを使ってなんとかこなす。
彼はそのうち、どんどんその気になっていき、司祭らしからぬストレートな表現が地域の人たちの心を動かしていく。
しかし、
というお話。

日本でこういう話、
例えば元ヤクザや不良が、ひょんなことから僧侶や住職に成りすました、
みたいな映画を作ったら、おそらくコメディ色が強くなる。
しかし、本作では笑える要素は全くない。
息苦しいほどにシリアスな展開が続く。

主人公は、本気で聖職者になりたいと思っており、敬虔な面も持っているのだが、
仮釈放中であるに関わらずクスリに手を出し、
キレると激しい暴力を振るう。
どちらがこの若者の本性なのか、
おそらくどちらもだろう。

テーマは、
神とは、
信仰とは、
ゆるしとは、
善とは、
更生とは、
といった重いものである。
衝撃的なラストシーンを観終わったあと、人それぞれで感じるものが違うと思う。
映画では結論を出しておらず、こちらに委ねている。

主人公を演じるバルトシュ・ビィエレニアという俳優が強烈。
すごいはまりっぷりであった。

「聖なる犯罪者」は、
キリスト教や教会について肌感覚として理解できない日本人にも、ずっしり響く問題作。
国際的に高く評価されているのも納得である。

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