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映画評 「あの頃。」 [映画評]

恋愛映画の旗手、と言われることの多い今泉力哉さんの監督作品。
本作は、恋愛映画色はグッと薄め。
青春コメディ映画、という感じだろうか。

映画では、アイドル、特に「ハロー!プロジェクト」に熱中するオタクの皆さんの姿が描かれる。
集った仲間たちは、
松坂桃李さん、仲野太賀さん、山中崇さん、若葉竜也さん、芹澤興人さん、コカドケンタロウさん、
といった面々。
味のあるメンバーである。
主人公は松坂さんだが、後半は大賀さんの独壇場のようになる。
公開中の「すばらしき世界」でも存在感を放っていたが、大賀さんが出ると映画が輝く。

見る人によっては、
いい大人が、アイドルにワーキャー言って気持ち悪い、となるだろうか。
ほかにすることないのか、となるだろうか。
描かれている姿も、生活臭の薄いじゃれあいのようなことばかり。
くだらない、と言えば実にくだらない。
当事者にとっては「あの頃はよかったなあ」となるのかもしれないが、
当事者以外にとってはうらやましくもなんともない日々かもしれない。

しかし、私は共感した。
私自身はアイドルオタクでもアニメオタクでもないが、
心から好きなものがあって、
それを追いかけることで幸せを感じられて、
それを追いかけることで仲間ができて、
それならそれでいいではないかと思えた。
生産性なんかまったくないかもしれないが、それでいいではないかと思えた。

いつまでも馬鹿なことはやっていられなくて、仲間は散り散りになる。
しかし、あの頃が一番楽しかったという記憶は消えない。
馬鹿馬鹿しいのだが、だからこそそんな存在を愛しく感じる。

悲しいことも、思い切り笑い飛ばして映画は終わる。
こんなくだらない人生、ありだなあ、と思う。

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