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映画評 「浜の朝日の嘘つきどもと」 [映画評]

本作は、福島県南相馬市に実在する映画館「朝日座」を舞台としている。
取り壊されることが決まってしまった朝日座を、なんとか立て直そうとする人たちの物語。
実際の朝日座は、1923年に開館した施設で、建物は国登録有形文化財であるという。
上映会や各種イベントなどを開いておられるが、普通の映画館のように毎日開いているわけではないようだだ。
だから、実話ではない。

映画館の再建に奮闘する女性を高畑充希さんが演じる。
もともと達者な方だが、この役にもぴったりはまっていた。
映画館の支配人役に落語家の柳家喬太郎さん。
高畑さんとのかけ合いが本作の大きな魅力になっている。
重要な意味を持つ高畑さんの高校時代の恩師を大久保佳代子さん。
コミカルかつエロい役回りが、あて書きのようである。

傾いた映画館の再建、
というテーマには、相当手垢が付いている。
映画ではよくある話。
本作は、
実際に存在している映画館が舞台であり、
震災やコロナという要素もあるので、既視感だけではないが、
それにしても新鮮味はない。

よくある話ではあるが、だからつまらないかというと、そういうことではない。
リアリティは希薄で、広く言えばコメディなのだが、
高畑さん、柳家さん、大久保さんの絡みがなかなか楽しい。
映画館に来ているのは映画ファンばかりであり、
映画のテーマがすとんと落ちるせいか、
劇場内の空気もあたたかかった。

ただ、残念なところもいくつか。
特に、オチはあんまりである。
あんなベタベタの予定調和で終わられては、力が抜ける。

「浜の朝日の嘘つきどもと」は、映画ファンに向けたファンタジー。
楽しく観られるのだが、安易すぎるオチはどういうつもりか。
もったいない。

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