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あの夏、斎藤佑樹が世界最高のピッチャーだった [ヨモヤ]

日本ハムの斎藤佑樹が、今シーズン限りでの現役引退を発表した。
11年のプロ野球生活でわずか15勝という投手だが、
スポーツ新聞では1面から3面までをぶち抜き。
大スターであったことを改めて思い知る扱いだった。

早稲田大学時代も華々しい活躍を見せた佑ちゃん(以下、親しみを込めて「佑ちゃん」と呼ばせていただく)であるが、
最高の輝きを見せたのは何と言っても2006年の夏の甲子園である。

佑ちゃん擁する早稲田実業高校は、
1回戦の鶴崎工戦を13-1で破ると、2回戦では大阪桐蔭高校と対戦。
早実は、初戦で横浜高校を下していた大阪桐蔭を11-2で撃破。
当時、超高校級と騒がれていて、後にチームメイトとなる中田翔を4打数無安打3三振と寄せ付けなかった。
3回戦は福井商業を7-1、
準々決勝は日大山形高校を5-2、
準決勝は鹿児島工業を5-0で下した。
準々決勝くらいからか、マウンドで汗をハンカチで拭う姿が話題になり始めた。

決勝の相手は、駒大苫小牧高校。
駒苫は、前年、前々年と夏の甲子園を制覇していて、戦後初の3連覇を目指していた。
何千校も出場する大会で、毎年選手が入れ替わる学生野球で、
3年連続で全国の頂点を決める舞台に上がってくるというのは、奇跡的なことである。
ただ、駒苫の場合、残念ながら不祥事が繰り返されていて、甲子園の判官びいきもあり、
決勝での応援は早実に偏っていたように記憶している。

駒苫のエースは、言わずと知れた、後のヤンキースのエース田中将大。
この試合は延長15回でも1-1のまま決着がつかず、翌日再試合。
佑ちゃんは、再試合にも先発し、4-3で勝利、優勝を飾った。
最後の打者としてマー君を迎えたシーンはもはや伝説である。

この夏の佑ちゃんは、いくつも記録を打ち立てた。
過去最高記録は、
1回戦から決勝再試合まですべて登板したことによる7登板、
最多投球回の69イニング、
そして、最多投球数の948。
一大会における奪三振78は歴代2位であり、松坂などの記録も上回った。

なにより凄かったのが、そのスタミナ。
真夏の大会で準々決勝から4連投し、
しかもそのうちの1試合は延長15回。
それでいて、再試合の最後の打者に145㎞超のキレのある球を投げ込んだ。

こんなことができた投手は、おそらく空前絶後。
プロの世界を含めても、世界中探しても、ほかに誰もできないと思う。
このときの佑ちゃんは、世界最高の投手だった。

プロに入ってからの佑ちゃんには、甲子園当時の輝きはなかった。
レベルの違いというより、佑ちゃんがあの頃に戻れないという感じだった。
プロでの成績は残念なものになってしまったが、
野球ファンはあの夏の佑ちゃんを永久に忘れない。
凛々しく気高く勇ましかった。

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