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「四半期開示」をやめると長期的な経営になるかしら [経済を眺める楽しみ]

岸田首相が所信表明演説をされた。

首相は、新自由主義的政策を見直し、新しい資本主義を目指すと表明されている。
日本の経済政策のうちどのようなものが「新自由主義的政策」であったのか、
そしてそれがどのような弊害をもたらしたのか、
ほかにどうすればよかったのか、
「新しい資本主義」とはどのようなものなのか、
私には今一つピンと来ないのが正直なところなのだが、
それはこれからの政策で見えてくるのだろうと思う。

さて、所信表明の中では「四半期開示の見直し」にも触れられていた。
一般的な関心はあまりない分野の話だと思うが、ちょっと気になった。
演説における該当箇所は、以下のような内容である。

・・・ 岸田首相の所信表明から抜粋 ・・・
企業が、長期的な視点に立って、株主だけではなく、従業員も、取引先も恩恵を受けられる「三方良し」の経営を行うことが重要です。非財務情報開示の充実、四半期開示の見直しなど、そのための環境整備を進めます。
・・・ 抜粋終わり ・・・

本題とはそれるし、粗探しをするつもりも全くないのだが、最初の文章の「三方良し」にちょっと違和感。
この演説では、株主・従業員・取引先の三方が良い経営を三方良しとされているようだが、
通常「三方良し」は、「売り手良し・買い手良し・世間良し」なので、微妙にというか、かなり違う。

さて、四半期開示は、経営実績の透明性を高めるために、1999年から上場企業に義務づけられたものであり、
その後2008年に金融商品取引法で義務化された経緯がある。
四半期としたのは、
時代の変化が激しい中、年に一度や、半期に一度の情報開示では、市場に大きな混乱を招きかねないし、
経営がブラックボックス化してしまう恐れもあるからであろう。

一方、四半期開示については、
企業側からは大きな負担になっているという声が上がっているほか、
短期的利益志向を助長しかねない、
との批判もある。
今回の首相の方針は、そのあたりに配慮したものだろう。

投資家からすれば、情報は早ければ早いほど、多いければ多いほどいい。
それは投資家の立場からだけではなく、経営者としても同じだろう。
首相の意図も、
四半期ごとの決算を止めるというのではなく、
四半期ごとの決算を公開することを止めるということなのだろう。
ただし、四半期開示を止めれば「三方良し」になるというメカニズムは、やはりピンと来ない。
四半期開示を止めれば、株主に敬遠されることはほぼ間違いないが、
それを上回る恩恵が従業員や取引先に及ぶのだろうか。
単に「開示が大変だから」というのだとすると、上場企業としてはちと情けない。

ここで首相がおっしゃっている「四半期開示の見直し」の真意がどこにあるのか、
政策のパッケージの一つとしてどのように企業統治の改善につながっていくのか、
これらも今後見えてくるところだと思う。
「金融所得課税の見直し」といった声も聞こえているが、
株式市場を敵視するような政策を取られるようなことにならないように祈りたい。
もちろん、そんなことはないと信じているけれど。

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