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映画評 「護られなかった者たちへ」 [映画評]

瀬々敬久監督は、数々の作品で素晴らしいキャリアを築いておられるが、
大御所と呼ばれるような存在にはならず、次々に新作を世に送り出されている。
正直、当たりハズレはあるように思うが、果敢な挑戦を続けられている姿は素敵である。
昨年公開された「糸」には心を揺さぶられた。

本作も、気合の入った社会派作品。
東日本大震災、生活保護といった重い題材に挑んでおられる。
若手監督の多くが、
「なんでこんなの撮ってんの」という映画にかかずりあっているなか、
瀬々監督の創作欲はまだまだ旺盛のようだ。

前半から中盤まではうならされる展開で、「瀬々監督すごい」と思いながら観ていたが、
後半は「おやおや」という感じ。
二人の成人男性が、全身ぐるぐる巻きにされ、餓死させられるという猟奇的な事件が描かれるのだが、
動機も、
犯行可能性も、
かなり説得力に欠けていた。
俳優さんたちの演技は素晴らしかっただけに残念。

犯人を追う刑事役に阿部寛さん。
阿部さんが出ると、作品に力がみなぎる。
心に陰のある若者を佐藤健さん。
やるせなくギラギラした感じがよく出ていた。
倍賞美津子さん、清原果耶さんも熱演。
永山瑛太さん、緒形直人さん、吉岡秀隆さんが意外な役で出演されている。

「護られなかった者たちへ」は、重いテーマに挑んだ力作。
ミステリーと思って観に行くとあてが外れるが、
社会派と思えばじっくり観られる。
説得力という点ではイマイチだが。

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