SSブログ

格差と分配の議論 まずは正しい事実認識から [ヨモヤ]

10月16日付の日本経済新聞の1面に、
「データが問う 衆院選の争点」
として、格差の問題が取り上げられていた。
今回の衆議院選挙においては、与野党がこぞって分配を強調しており、
格差が広がっていることも指摘されている。
成長のために分配を、との議論もある。
日本経済新聞では、これらについてデータで問いかけている。

データとして書かれているのは以下のような内容である。
・日本は英米に比べて富や所得の偏在が小さい
  上位1%世帯の試算が全体に占める割合で見ると、日本はアメリカイギリスだけではなく、
  ヨーロッパ各国と比べても低い数値である。
・ジニ係数で比較しても日本は米英よりも格差が小さい
・アベノミクスで格差が拡大したとの見方もあるが、ジニ係数は2010年代にむしろ改善した
・購買力平価実質ベースは、日本は過去30年間でほぼ横ばい、アメリカは1.5倍

こうしたことから日本経済新聞は、
「新政権、分配へまず成長を」
と主張している。
選挙では分配の規模を競い合うのではなく、
成長戦略を示すべき、というのである。

格差を示すジニ係数が2010年代に改善した、
というのは実感とは異なっているかもしれない。
なぜそうなるかというと、再分配が機能しているからである。
当初所得のジニ係数は、
1999年:0.4720
2017年:0.5594
と、実感どおり上昇している。
しかし、再分配所得によるジニ係数を見ると、
1999年:0.3814
2017年:0.3721
と改善している。
つまり、分配はすでにかなり行われていると言える。
それでも不十分である、
と認識するのは人それぞれであるが、少なくとも、
分配が全く行われていない、
分配が少しも機能していない、
というのは事実と違うと言わざるを得ない。

ジニ係数については、実態を表していない、との批判もある。
だとしても、なんらか拠り所となる指標を持たないと、
政策効果さえ検証できないこととなってしまう。
だから、ジニ係数が当てにならないというのなら、
その代わりとなるものも示す必要がある。

衆議院選挙において、与野党がいろいろな主張を展開されている。
これからの国の行く末を見定めるうえで、大切な議論であると思う。
批判合戦ではなく、
サービス拡充競争ではなく、
切磋琢磨により政策を磨き上げていかれることを期待したい。
もちろん、この期待が叶うことはどこまでも望み薄だが、
期待くらいはさせていただきたい。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。