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2021年の邦画を振り返る ~ その1 概観 ~ [映画評]

2020年に続いてコロナ禍の1年となった2021年の邦画を振り返ってみたい。
一年中緊急事態宣言が出っぱなしだったイメージがあるが、
2020年と違い、映画館が閉鎖される事態にはならなかったのは救いだった。

しかし、映画制作には困難が付きまとったことだろう。
2021年に公開された映画は2020年に撮影されたものが多かったと思うが、
感染予防に最大限の注意を払わなければならず、いろいろ制約があっただろうし、
実際に感染者が出て撮影が頓挫するケースもあっただろう。
公開時期についても毎度ややこしい判断が必要とされたのではないだろうか。

だから、ある程度やむを得ない感はあるのだが、
2021年の邦画はあまり元気がなかった気がする。
巨匠の作品も、
中堅の作品も、
若手の作品も、
ズドンと来るものが非常に少なかった。

ちなみに、2021年の邦画興収トップ10は以下のとおりである。

1位「シン・エヴァンゲリオン劇場版」102.8億円
2位「名探偵コナン 緋色の弾丸」76.5億円
3位「竜とそばかすの姫」65.3億円
4位「東京リベンジャーズ」44.7億円
5位「るろうに剣心 最終章 The Final」43.4億円
6位「新解釈・三國志」40.3億円
7位「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM “Record of Memories”」40億円
8位「花束みたいな恋をした」38.1億円
9位「マスカレード・ナイト」37.7億円
10位「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション」33.7億円

アニメが強いのは例年どおり。
エヴァンゲリオンの完結編が唯一の100億円超え。
作家性の高い作品が最も観客を集めたというのは明るい話題だろう。
大ヒットにはならなかったが、「映画大好きポンポさん」「漁港の肉子ちゃん」といった佳作もあった。
なお、「呪術廻戦」は、公開時期が遅かった関係でここには入っていない。

実写作品として最大のヒットとなった「東京リベンジャーズ」は、近年勢いのあるヤンキー系の作品。
これだけヒットすると、夏といえばヤンキー映画、が定番化するかもしれない。

このなかで予想以上のヒットとなったのは、8位の「花束みたいな恋をした」だろう。
挿入歌を謳ったAwesome City Clubが紅白に出場するなど、社会現象的な興行となった。
こうした、口コミで観客数を伸ばす作品がトップ10にもう2本ほど入っていれば彩りが豊かになる。

2022年に公開される映画のうち少なくない割合が、
2020年や2021年に撮影されたものだろうから、
やはり撮影に様々な障害があったことと思う。
そんななかでも、しっかり魂の籠った作品が届けられることを祈りたい。
堅苦しい作品である必要はなく、娯楽作なら娯楽作として、しっかり突き詰めていただきたい。
ドラマの映画化作品にありがちだが、コアなファンにだけわかればいいといった、
内輪受けの、ちっぽけな作品が目立つのは残念である。

映画館にとっても厳しい時期が続く。
我々映画ファンは観に行くことで支えるので、
映画に携わる方々は、いい映画を作ることで映画館を支えてほしい。

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