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映画評 「世の中にたえて桜のなかりせば」 [映画評]

乃木坂46の岩本蓮加さんが映画初主演、
ということだが、失礼ながら岩本さんのお名前は全く知らなかった。
お姿は歌番組などで拝見したことがあったのだろうけれど。

アイドル映画で、おそらく低予算。
悪い予感満載ながら恐る恐る劇場に足を運んだが、
あらまあ、意外と、と言っては失礼だがちゃんとした映画だった。

エグゼクティブプロデューサーを、出演もされている宝田明さんが務められている。
宝田さんは今年の3月にお亡くなりになっており、この映画が遺作となった。
本作の舞台あいさつで宝田さんは、ロシアのウクライナ侵攻に言及され
「この現実を見た時に、もっと社会性を持った映画を作らなきゃいけないと思っています」
と語られ、さらに、
「蓮加さんとも来年もう1本仕事がしたいな、っていう気持ちでいます。ぜひご期待ください」
とおっしゃっていたという。
ご本人としては、まだまだ映画に関わりたい気持ちがあったのだろう。

不登校、終活、いじめ、
といった要素が入り混じるが、深入りはしていない。
また、意外とちゃんとしていた、と書いたが、
ツッコミどころも満載。
説明不足な箇所や意味不明な設定、ご都合過ぎる展開など、
「おいおい」という点がボコボコあるが、
そこはまあ、大きな気持ちで。

なんだかあっという間に終わったな、
と思ったら、尺は80分。
もう少し長くしてきちんと脈絡を持たせる、
という選択肢もあったのだろうけれど、
本作の場合、多少わけがわからなくてもこのくらい短い方がよかったと思う。

岩本蓮加さんは頑張っておられたが、演技の方は、
ふむ、これから成長されるのだろう。
宝田明さんも吉行和子さんも、大げさな演技ぶり。
らしさ全開とも言えるが、
もう少し落ち着いて演じてくださってもよかった気がする。

映画の中で、宝田さん演じる男性が、自らの出身を満州であると語るシーンがある。
実際、宝田さんも満州で育たれたらしい。
その意味で自伝的な要素もあり、
「顔を上げて生きよう」
というメッセージもある映画が遺作になったということになる。
死について語られるシーンもある。
何かを感じておられたのだろうか。

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