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映画評 「破戒」 [映画評]

原作は、有名な島崎藤村の長編小説。
この原作は、木下恵介監督や市川崑監督という巨匠によって映画化されたことがある。
これを今の時代に再度映画化しようという勇気にまずは敬意を表したい。

丁寧にしっかり撮られていて好感が持てる。
下手に現代に置き換えたりせず、当時の日本を描いているところに、
テーマに真っすぐ向き合っている姿勢がうかがえる。
ラストが甘いと言えば甘いのだが、それまで十分辛いのだからよしとしたい。

出自を隠しているので、主人公が直接差別を受けるシーンは少ないのだが、
それだけに悔しい気持ちが伝わる。
今の自分たちはどうだろう、とつい考える。

しかし、説教臭い作品になってはいない。
一般向けの映画としてのよさもしっかり保たれている。
セットや風景も美しい。

間宮祥太朗さんが、差別に苦しむ青年を正攻法で演じられた。
映画の真ん中に立つにふさわしい主演ぶりであった。
友人役に矢本悠馬さん。
矢本さんは、コミカルな役を演じられることが多いが、本作はおふさけなし。
俳優としての力を発揮されている。
二人の共演は、私にとっては
「殺さない彼と死なない彼女」の殺さない彼と
「ちはやふる」の肉まんくんという、夢の顔合わせになった。
眞島秀和さん、高橋和也さん、竹中直人さん、本田博太郎さんといった癖のある面々が脇を固める。
ヒロインに石井杏奈さん。
E-girlsの、という肩書がつくことが多いが、私にとっては映画女優さんである。

「破戒」は、ちゃんと作られた日本映画。
そんな人はいるわけないと思うけれど、「トップガン」とどっちを観ようか迷っている方がおられたとしたら、
是非こちらを。

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