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映画評 「神田川のふたり」 [映画評]

本作は、40分のワンシーンワンカットの長回しで始まる。
屋外ロケで40分。
4分ではなく40分。
自転車に乗った人間を追いかけて、
道路を渡ったりしながら40分。
一体どうやって撮ったんだろう、
よくやったなあ、と思う。
ただし、その必然性はどうか。
インパクトはあるけれど、そんなに無理しなくても。
もちろん、演技が自然に見えるといった効果もあったけれど。

ストーリーというようなストーリーはないまま、
ジタバタと映画は進んでいく。
素っ頓狂な展開もあり、ここでついていけなくなる人もいるだろう。

タイトルになっている「ふたり」は、
高校に入ってから久しぶりにあった中学時代の同級生。
この二人がどうなるかが映画の焦点だが、
まあ大したことは起こらない。

あからさまに、
低予算、
手作り、
という作品だが、だからといってチープでいいというわけはない。
本作も「トップガン」も、製作費にかかわらず同じ土俵で観るのが礼儀だろう。

そして、私は妙に楽しめてしまった。

意味不明な展開の連続であるに関わらず、
等身大の高校生の男女が描かれるというギャップ。
それが成功しているかというと、必ずしもそうとは言えないと思うが、
それでも、私は妙に楽しめてしまった。

ラストシーンは、出演者総出のどんちゃん騒ぎ。
それを見た私は、久し振りに映画で「多幸感」を味わった。
まあ、おバカなシーンなんですけどね。

監督は、『れいこいるか』のいまおかしんじさん。
ということだが、『れいこいるか』は未見。
主役のふたりを演じるのは、
『スパゲティコード・ラブ』の上大迫祐希さんと『アルプススタンドのはしの方』の平井亜門くん。
ほぼほぼ二人の映画であり、自然な演技で飽きさせない。

「神田川のふたり」は、実験的な要素もある手作り映画。
大作ファンの方、
アクション好きの方、
リアリティのある映画が好きな方、
有名どころの俳優さんの出演を楽しみにされる方、
どんでん返しが好きな方、
などなどには全く不向きだが、
邦画ファンの方には届くかも。
私は、好きでした。

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