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否定しないし卑怯とも思わないが、侍ならやらなかっただろうとは思う  ~ 美しくはなかった日本代表の時間稼ぎ ~ [ヨモヤ]

スポーツのよさはなんだろう。
いろいろあると思うが、少なくとも勝ち負けがつくことではないはずだ。
勝てばいい、というだけなら、世界中が熱狂するわけはない。
そこに熱いもの、美しいものがあるからこそ、私たちは時間やお金や、ときにもっと大切なものさえ犠牲にして、スポーツにかける。

サッカーのワールドカップで、日本は久しぶりの決勝トーナメント進出を決めたが、その戦いは苦いものだった。
ポーランド戦の残り10分、負けている日本代表が、まるで攻める気を見せなかったからである。
このまま負けてしまっても、同じ時間に行われているコロンビア戦でセネガルが負ければ、決勝トーナメント進出が決まるため、負けを受け入れてしまったのだ。
もっと言えば、自力での決勝トーナメント進出をあきらめ、よその国に任せてしまった格好でもあった。

過去2戦の戦いでそれなりに世界の注目も受け、サポーターの統率の取れた行動で称賛も浴びてきた日本だが、時間稼ぎの最中は大変なブーイングを受けた。
それはそうだろう。
人生の中でおそらく一度きりしかない自国でのワールドカップを楽しみにしていた人にとっては、怒りたくもなる。
スポーツの美しさを信じる人にとっては、嘆きたくもなる。

決勝トーナメントに行けたんだから、それでいい、という人も多いようだ。
そう思うのも自由だが、せっかくスポーツを見ているのに、そこで考えを止めてしまうのももったいない。

子供でも分かることだが、これも戦術の一つだから否定はしない。
同じようなことをする国もあるだろうし、卑怯とも思わない。
しかし、美しい光景ではなかった。
日本の代表が行うこととして、見たい姿ではなかった。
少なくとも、名誉を重んじ、名を大切にする侍ならやらないだろうとは思った。

決勝トーナメントへの出場権は獲たが、失ったものも小さくはない。

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映画評 「ワンダー 君は太陽」 [映画評]

邦画を中心に観ることにしているので、洋画はかなりの大作でもスルーしているのだが、本作は非常に評判がいい。
傑作だったら後悔することになるので、ちょっと時間が空いた隙に覗いてみた。

ストーリーはこんな感じ。
 10歳のオギーは、両親と姉の愛情に恵まれて育った少年。だが、彼は普通の子ではない。遺伝子の先天性疾患で、変形してしまった顔の持ち主なのだ。そのため、今まで学校に行ったことがなかった。27回の整形手術に耐えて初めて通うようになった学校生活で困難にぶち当たる。

このストーリーからは、わかりやすいお涙頂戴が予想される。
最初いじめられていた子が、周囲の支えもあって立ち直って、ハッピーエンド、といった。
しかし、本作は、姉の視点や姉の友だちの視点、クラスの友人の視点なども併せて描くことで、映画に膨らみが出ている。
いじめられている子だけでなく、周りの人たちもそれぞれ大変な日々を過ごしているのであり、そこがキチンと描けていることには好感が持てる。
支持が高いのも、このあたりが理由だろう。

ただ、それでも甘々だった。
登場人物が、皆、最後にはいい人、いい子なんだもの。
こんな世界だったら素晴らしいけれど、そんなことはない。
ラストも、砂糖多めのパンケーキに、シロップをかけ、はちみつを塗り、ジャムを乗せたくらいに甘く、私の口には合わなかった。
こうした映画が好きだという方がおられるのはわかるし、ひどい映画でもないとは思うけれど、ほかに観るべき映画が山のようにあるのではないか、というのが私の感想である。
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ここまでのところ、今回も駄目っぽい北朝鮮の非核化 [ヨモヤ]

米朝首脳会談が行われるまでの大騒ぎはどこへやら、終わってしまえばすっかり過去の話である。
あれだけ期待を高めておいて、出されたものが案外では、記憶から早めに消えるのもやむを得ない。

多くの日本人は、「歴史的」とも言われた米朝首脳会談に期待をしながら、
トランプ大統領と金委員長の顔合わせでの成果には、
どうしても懐疑的にならざるを得なかった。
そしてここまでのところ、その心配がズバコンと的中している。

ジュネーブ軍縮会議において、日本が演説で、北朝鮮に米朝首脳会談の合意に基づいて非核化に向けた行動を取るよう求めたのに対し、北朝鮮の代表は
「当事国でない日本が口をはさむべきではない」
などと反論したという。

一方、アメリカのポンペオ国務長官は、取材に応じて、北朝鮮の非核化に向けた交渉に
「期限を設けるつもりはない」
と述べたという。

これでは、何か意味があったのかさえ疑問になってくる。
北朝鮮の思うつぼとしか見えない。

アメリカの意図がどこにあるのかさっぱりわからないが、期限がない非核化では意義を見出す方に無理がある。
韓国もそれで不満はなさそうだし、
中国はもちろんのこと。
なにこれ?という感じである。
水面下では着々何かが進行しているのだと思いたいが。

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歴代最強の高校野球チームは? ~私が選んだのは、PLでも横浜でもなく~ [ヨモヤ]

6月20日付のNumberWebに、
「松坂の横浜か、KKのPLか。高校野球の最強校をプロ野球選手に聞くと……」
という記事が掲載されていた。
高校野球の歴代最強がどこだったのかを考えるのは、野球ファンとしてはたまらないテーマである。
世間がワールドカップ一色のなか、こんなことを考えている。

さて、最強を名乗るからには、夏の大会を制していなければ話にならない。
もっと言えば、歴代No.1となると春夏連覇か、夏春連覇か、夏夏連覇のいずれかが必要になるだろう。
そうした条件を当てはめると、私が知る範囲では、以下の7チームが候補に挙げられると思う。
(1960年の柴田さんのいた法政二高、1962年に春夏連覇をした作新学院、1966年に春夏連覇をした中京商業、の3校は見ていないので選ばなかった。)

その7校は以下の面々である。
1979年の箕島高校:石井&嶋田のバッテリーで春夏制覇。星稜と延長18回の死闘。
1982年の池田高校:やまびこ打線で夏春制覇。高校野球の流れを変える猛打。水野、畠山ら
1985年のPL学園:桑田・清原のKKコンビ。桑田は甲子園20勝、清原は甲子園13本塁打。
1987年のPL学園:野村、橋本、岩崎のトリプルエースに立浪、片岡、宮本という野手陣で春夏制覇。
1998年の横浜高校:松坂世代の強豪チームを破り続け、春夏制覇、公式戦無敗。
2010年の興南高校:トルネード島袋と強力打線。ほとんど苦戦することなく春夏制覇。
2012年の大阪桐蔭:藤浪・澤田の高いダブルエースと2年生キャッチャー森で春夏制覇。

この中で支持を集めそうなのは、85年と87年のPL学園と98年の横浜高校だろう。
興南、大阪桐蔭の夏春制覇は見事だったが、歴代最強と言えるまでのインパクトはなかったように感じる。
蔦監督の池田高校は鮮烈だったが、水野が3年生時の夏の甲子園、KKコンビのPLに大差負けしたのが痛い。

85年のPLは、単年度ではなく83年からの5季をセットで語られることになるだろう。
KKが1年生だった83年の夏に優勝、84年の春が準優勝、84年の夏も準優勝、85年の春がベスト4、85年の夏が優勝、
といった具合である。
一発勝負の高校野球で、これだけ続けて結果を出し続けたというのはすごい。
桑田・清原のプロ野球での大活躍を考え合わせても強さが引き立つ。

一方、87年のPLは、その層の厚さが高校野球離れしている。
野村、橋本の両投手がプロでも成功し、立浪、片岡、宮本の野手陣はプロでも大成功。
一つの高校の単一世代にこれだけの選手が揃うのは、ちょっと異常である。

98年の横浜は、一度も負けなかったという事実に加え、歴代最高試合と言われることの多い準々決勝のPL学園戦、奇跡的な逆転を演じた準決勝の明徳義塾戦、決勝でのノーヒットノーランとなった京都成章戦と、印象に残る試合を連発した。
レベルの高い世代と戦って公式戦全勝というのもすごい。

この3チームで比較すると、一発勝負なら松坂の横浜高校、複数試合があるなら選手層の厚い87年のPL、トータル勝負なら85年のPLといった感じかと思う。

では、甲子園歴代最強はどこか、となると、私はこの3校ではなく79年の箕島を推したい。
「そんなに強かったっけ?」
と思われる方も多いだろう。
どこと戦ってもいい試合になる感じで、強力打線で圧倒したり、投手がねじ伏せたりといったタイプではないが、負ける雰囲気がなかった。
どんなに苦しい場面に追い込まれても、最後に勝つのは箕島だと思えた。
もし横浜やPLと戦えば、下馬評は圧倒的に不利だろう。
しかし、なんだかんだ接戦に持ち込んで、最後はうっちゃってしまうのではないか、そんな気がする。

夏の甲子園は、今年が記念すべき100回目。
これからさらに何百年も大会が続くことを祈る。
語り継がれる名勝負が生まれることも期待したい。

実は、本当に面白いのは予選の方だけれど。
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新聞を読まない層が自民党支持なのは何故か [ヨモヤ]

麻生太郎副総理兼財務相が新潟県新発田市で講演し、30代前半までの若い有権者層に自民党の得票率が高いとしたうえで、
「一番新聞を読まない世代だ。読まない人は全部自民党だ」
とおっしゃったそうだ。

もちろん、新聞を読まない人がみんな自民党支持であるわけはないが、新潟に限らず、若年層に自民党支持者が多いことは確かなようだ。
かつては、
保守的な思想を持ちがちな高齢者が自民党を支持し、
世の中を変えたいという思いを持つ若い層が野党を支持する、
という形だったと思うが、これがひっくり返っている。

さて、若い層、つまり新聞を読まない層に自民党の支持が多いのはどういうわけだろう。

自民党から言わせればこういうことになるだろうか。
新聞のように偏った情報を一方的に垂れ流すメディアと違い、ネットは自分から情報を取りに行き、正しいか正しくないか、自分で取捨選択できる。
そうやって自分で情報を仕入れれば、いろいろな意見を知ることができ、正しい情報を知るものは、結果として自民党支持になっているのだ、と。

一方、野党側からすればこういうことになるだろうか。
玉石混交で怪しい情報が紛れ込んでいるネットの世界と違って、新聞は複数のプロのフィルターを通った意味のある情報しか流さない。
その新聞をじっくり読んでいるのは、物事をじっくり考える人たちであり、その人たちは反自民党になるのだ、と。

さて、各種の世論調査で、安倍内閣の支持率が持ち直しているようだ。
散々モリカケで叩いてきた新聞各社としては実に不本意な結果であろうが、これが世論の実態である。
安倍内閣に問題があったとしても、とって代われる存在がいなければ、政権批判にも迫力が出ない。
そして、批判ばかりしている人のうさん臭さも、有権者は十分にわかっている。

若者は、絶対数が少ないうえに、投票率も低い。
だから、彼らの意見は重んじられるにくい傾向がある。
しかし、若者に支持されないようでは、政権交代などありえないだろう。

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映画評 「カメラを止めるな!」  超オススメ! 一年に一本あるかないかレベルの快作! [映画評]

「カメラを止めるな!」という映画を観た。
都内2か所のみで上映しているレアものだが、毎週チェックしている日本経済新聞金曜夕刊の映画評で
「ギャグまたギャグでつづった怪作。サービス精神満点。とにかくオモシロイので一見をオススメ。」
と書いてあったので、これは行かねば、と。
結果、行ってよかった。
とんでもない掘り出し物。
ノンストップの面白さに、ものを作り上げる熱や愛が絡み合い、心が動く傑作。
新しい才能に触れた喜びもあり。
ここまでの作品には、一年に一度出会えるかどうか。
少なくとも、去年は出会えなかった。

と、勝手に盛り上がっても、ご存じない人の方が圧倒的に多い作品だと思うので、ネットに落ちている作品紹介を少し。
『監督・俳優養成の専門学校「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾となる異色ゾンビムービー。
前半と後半で大きく赴きが異なる異色の構成や緻密な脚本、30分以上に及ぶ長回しなど、さまざま挑戦に満ちた野心作』
『無名の新人監督と俳優達が創った”まだどこにもないエンターテインメント”を目撃せよ!』
『「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018」でゆうばりファンタランド大賞(観客賞)を受賞。インターナショナル・プレミアとなった「ウディネ・ファーイースト映画祭(イタリア)」では上映後5分間に渡るスタンディングオベーションが巻き起こり、アジア各国の錚々たるコンペ作全55作の中でシルバー・マルベリー(観客賞2位)を受賞。』
とまあ、こんな感じである。

上田慎一郎監督については、“新世代の三谷幸喜”と言われることが多いようだ。
本作も、三谷監督の「ラヂオの時間」を若干彷彿させるものがある。

どんな映画だったのか書きたいのだが、ネタバレしてしまうと驚きが減ってしまうだろうから、書かないでおく。
ただし、決して誤解してほしくないのは、ドンデン返し一本勝負の作品ではないということだ。
現に私は、無性にもう一度観たくなっている。
絶対二回目の鑑賞は一回目以上に面白いだろうという確信もある。
単なるゾンビ映画ではないし、
単なるコメディでもない。
声を出して笑えて、
しかも胸が熱くなる。
どしどし回収される伏線に、胸がスーッとなる。
奇跡的な傑作である。

俳優陣は、オーディションで選ばれたらしいが、知らない人ばかり。
大変な撮影だったと思うが、皆さん熱演されている。
映画の前半と後半で別の顔を見せる構成になっているが、それがスパーンとはまっているということは、俳優陣の演技もはまったということだろう。

「カメラを止めるな!」は、映画に少しでも関心がある人なら絶対に観た方がいい快作。
もしこの映画が海外の作品だったら、その国に激しい嫉妬を覚えただろう。
日本発でよかった。
予算は少なくても、傑作は作れる。
優れたアイデアとそれを実現する力があれば、世界をひっくり返すことができる。
そんな大いなる希望さえ感じさせる作品である。

上映されている新宿のK's cinemaでは満席の連続のようだが、もっともっと多くの人に観てもらいたい映画である。
そして、語り合いたい映画である。
勝手に観戦ツアーとかしたくなる。

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映画評 「空飛ぶタイヤ」 [映画評]

本作は、「半沢直樹」や「陸王」「下町ロケット」などの原作者として知られる池井戸潤さんのベストセラー小説を実写映画化したもの。
監督は、「超高速!参勤交代」で評判を取った本木克英さん。

池井戸さんの小説に人気があるのは、
・勧善懲悪
・弱者による逆転
・山あり谷あり
・スカッとするラスト
といった要素が揃っているからだと思う。
これを最もいい形で映像化したのがドラマ「半沢直樹」であっただろう。
テレビドラマに全く興味がない私も、この作品にはグイグイ引き込まれた。

本作「空飛ぶタイヤ」も、わかりやすい設定、ストーリーで観る者を飽きさせない。
すでにWOWOWでドラマ化された原作でもあり、テレビで十分という意見もあるかもしれないが、これはこれで楽しめた。
薄いかもしれないが、2時間の尺でできることはしっかりされた印象である。
何度も観たいとは思わないが。

主演は、TOKIOの長瀬智也さん。
いろいろな意味で中小企業の社長っぽくは見えないが、そろそろ40歳という年齢にふさわしい貫禄も身に着けてきておられて、映画を引っ張られていた。
ディーン・フジオカさん、高橋一生さんは、俳優としてのキャラが立ちすぎていて、映画の中での存在感が微妙な感じになる場合が多いが、今作もそんな感じ。
でもまあ、華がある。
社長を支える役の笹野高史さんが安定をもたらし、岸部一徳さんは例によって悪役を憎々しく演じておられた。
長瀬さんを支える妻の役で深田恭子さんが出演。
深田さんが出てくると、映画自体がちょっと違った空気になるくらいの存在感であった。
それがいいことかというと、実は微妙なのだが。

「空飛ぶタイヤ」は、わかりやすい映画。
期待通りの展開を、安心して観ることができる。
元気が出る、という人もいるだろう。
見せ場も多く、飽きさせない。
お金を払ってみるかどうか、これは好みによる。
映画独特のエクスタシーまでを期待すると、それはちょっと荷が重い。

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パ・リーグファンとしては胸をなで下ろした交流戦 [ヨモヤ]

パ・リーグファンの私は、交流戦が始まる前、今年はセ・リーグが勝ち越すのではないかと心配した。
珍しくソフトバンクの戦力が整っていないし、
日ハムは大谷がいなくなったし、
オリックスやロッテには大きな期待はできないし、
など、不安要素が多くあったからである。

途中、全試合をセのチームが勝つ日もありヤキモキしたのだが、終わってみれば、
パ・リーグが59勝48敗1分と勝ち越し。
これで、パの勝ち越しは9年連続!となった。
パは6球団中楽天を除く全球団が勝ち越し、
セは6球団中ヤクルトを除く全球団が負け越し、
という状況は、実力の違いをしっかり見せたと言っていいだろう。

個人成績で見ても、
打率上位5人中4人がパ、
本塁打上位7人(同数がいるため)中6人がパ、
打点上位5人はすべてパ、
と圧倒した。

観客動員は、
セの主催試合は2.9%減、
パの主催試合は8.5%増。
セの球団とすると、試合では勝てないし、客が増えるわけではないし、
と嫌なことずくめかもしれない。
雨のために日程が厳しくなったこともあり、またぞろ廃止論を出してくる輩もいかねないが、
お客さんは全体で2.1%増となったようなので、ファンには喜ばれていると思って欲しい。

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ドカベンの思い出 [ヨモヤ]

秋田書店が、1972年に始まった水島新司さんの人気野球漫画「ドカベン」が完結すると発表した。
このことは大きなニュースになり、ネットはもちろん、主要新聞紙上も飾っている。

正直なところ、
「え、まだやってたの?」
という人の方が多いと思う。
しかし、この報に触れて、「ドカベン」を読んでいたころのこと、野球少年としてボールを追いかけていたころのこと、などを思い出した人も少なくないだろう。

「巨人の星」や「キャプテン」「メジャー」など、野球漫画は数多いが、「ドカベン」ほど長く続いた作品はない。
そして、野球少年への影響も、非常に大きかった。
野球で遊んだことのある人なら、ほとんどが、
「秘打 白鳥の湖」や
「通天閣打法」や
「背負い投げ投法」
などを真似したことがあるのではないだろうか。

主人公のドカベンこと山田太郎のほか、
里中、
岩鬼、
殿馬、
微笑、
土門、
不知火、
犬飼、
などなど、記憶に残る登場人物も多かった。
柔道編がやたらと長かったことも思い出される。

水島新司さんは、じき80歳になられる。
ライフワークのようにして、一つの作品を描き続けて来られたのは、見事であるとともに、幸せなことだっただろうと思う。
有終の美を飾られることをお祈りしたい。
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「子育てにお金がかかる」という気持ちの本当のところはどこにある? ~赤ん坊より大切なもの~ [ヨモヤ]

子育てにはお金がかかる、というのが国民的なコンセンサスになっている。
そりゃ、まあ、人ひとり育っていくのだから、かからなくはない。
しかし、
豊かな時代になり、
食べるものも十分ではなかった時代と比べれば、ずいぶんと余裕があるはずである。
世界的にみても所得は多く、教育環境も整っている状況にあり、
他の国と比べれば、恵まれた立場にいるはずである。

だから、子育てにお金がかかる、のは事実であるとして、
それが子供を産み育てる障害になっているのには、少し別の事情があるのではないかと思う。

ベネッセ教育総合研究所と東大・発達保育実践政策学センターが、
「乳幼児の生活と育ちに関する調査2017」
を公表した。
これによれば、
母親の約74%は「子どもをもっとほしい」と考えているという。
特に、現在子ども1人の母は約90%が次の子を望んでいるという結果らしい。
90%となると、ほとんど全員という感覚である。
では、なぜ2人3人と産まないのか。

この調査では、「子どもをもっとほしいが難しい」と考える母親にその理由を尋ねている。
すると、
「子育てや教育にお金がかかる」約81%
「子育ての身体的な負担が大きい」約50%、
「子育てと仕事の両立が難しい」約37%
と続いたという。
子供がほしい気持ちはあるが、お金がかかるから難しい、と答える人が8割以上いるということである。
子沢山だった時代よりずっと裕福になり、
世界有数の経済大国になったにも関わらず。

「いやいや、国民はちっとも豊かになっていない。年収が300万円未満の世帯もざらにある」
と反論したくなる方もおられるかもしれないが、この調査は世帯年収別の結果も出ている。
「お金がかかる」を選んだ人を世帯年収別にみると、
「600~800万円未満」でも約78%、
「800万円以上」でも約68%が金銭的な理由を挙げているというのである。
年収800万円以上となると、月給50万円にもなろうかという、かなり上位の所得層である。
それでもお金の心配をされている。
つまり、
「収入が少ないから子育てにかかるお金が払えない」
という図式ではない。

これは、どういうことだろう。

1990年に発表された岡村靖幸さんの名盤「家庭教師」に「祈りの季節」という曲がある。
この曲のなかで岡村さんは、
戦後の頃より大金持ちなのになぜ子供を産まないのか、と疑問を呈している。
30年も前に、少子化に警鐘を鳴らしていた岡村さんの感性はさすがというべきだろうか。
そして岡村さんは、簡単に親にならないのは、
「赤ん坊より愛しいのは自分だから?」
と問いかけている。

周りから見れば、十分にお金を持っているようでも、お金がかかるから子供をあきらめると思う方が多い。
どういうことか、よく考えたい。
少子化対策を考えるうえで、重要なヒントがあるような気がする。
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