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消費税を減税すれば景気がよくなるという根拠は? [経済を眺める楽しみ]

私は、消費税増税については懐疑的な立場である。
財政赤字は深刻な状況だし、
高齢化が進む日本社会の状況を考えれば、
財政再建を進める必要はあると思うが、
増税するたびに景気が冷え込んでしまう我が国においては、
消費増税が最良の策とは思えない。

かといって、消費税を下げれば景気がよくなるとも思わない。
もちろん、減税は景気にプラスだろうが、
それが継続的な効果を持つとも、劇的な変化をもたらすとも思えないのである。

先日MX系の「モーニングCROSS」という番組に京都大学の藤井聡教授が出演された。
藤井教授は、財政拡大派の急先鋒のような存在である。
教授は、以下のようなことをおっしゃったようだ。
「(消費が振るわないことについて)政府は消費税のせいで景気が悪くなったって言いたくないので、経産省から内閣府から官邸から、みんな一包みになって景気が悪くなっているのを隠蔽しているんですよ、と僕は思うんですよね」
「97年の5%増税、14年の8%増税、19年の10%増税、(小売業販売額は)どれでも増税すると前年同月比がズドンと下がっている」
「過去の増税では駆け込み需要があって(販売額が)ドンとあがってズドンと落ちた。今回も駆け込みしてるんですけど弱々しい」
「日本が駄目になったのは1997年に増税したから」
「過去20年間、世界の中で最も成長していない。(日本は)文字通り世界一の低成長国家」

ここらあたりまでは大体同意なのだが、
「消費税を5%にしない限り、日本経済は奈落の底に沈むことは避けがたい」
とまでなってくると首をかしげざるを得ない。

減税すればどんなことが起こるか想像してみよう。
当然、増税時と逆のことが起きるだろう。
増税時には増税される前に駆け込み需要が発生するが、
減税されるとあれば、反対に買い控えが起きるのは避けられない。
少し待てば安くなるのだから当然である。
それで減税後に下げた分以上の需要が増えればいいが、
そうなるとは思えない。

繰り返すが、減税は当然のことながら景気にはプラスである。
しかし、その効果が税収減に見合うものであるかどうかは冷静に考える必要がある。
そして、ひどい財政赤字の中、消費増税に反対するにはしっかりした理論構築が求められる。
大衆受けする主張だけに、なおさら気を付けたいところである。

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