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本屋さんがない街でできること [ヨモヤ]

本屋さんが地域に1店舗もない「書店ゼロ自治体」が増えている。
2017年時点で、420の自治体・行政区で本屋さんがなかったそうだから、
今はもっとだろう。
なにしろ、
人口減少、若者減少、
スマホ普及、活字離れ、
アマゾンをはじめとしたネット書店の拡大、
コンビニとの競合、
新古書店との競合、
店主の高齢化、
など悪材料が目白押しなのだから。

しかし、人口がもともと少なく、それがさらに減っているという地域ならともかく、
首都圏や大阪圏で、人口も減っておらず、開発も止まっていない、
という街から本屋がなくなったとしたら、それはなぜだろう。
何か意味があるのか、単にたまたまなのか。

埼玉西武ライオンズが本拠地を置く埼玉県所沢市は、今開発ラッシュである。
所沢駅周辺では新たな商業施設がオープンしたが、その後さらに別の商業施設の建設が進んでいて、マンションも次々作られている。
ドーム球場周辺のボールパーク化や西武ゆうえんちの改修も進められ、
東所沢ではKADOKAWAがすごい施設を建設中である。
なのに、この状況にあって所沢駅周辺から本屋さんが消えてしまっている。
新たな商業施設には入ってくるものと期待されるが、空白期間ができたのは紛れもない事実である。

そんな折、こんなイベントがあることを知った。
「西埼玉暮らしの学校」さんが主催されたこのイベントの告知内容を抜粋するとこんな感じである。
・・・・引用・・・・
”34万人の都市でありながら、その中心駅に本屋が一軒もない!という、なんとも残念な状況にこの街は置かれています。
とはいえ、西武がダサいとか、踏みとどまらない芳林堂書店が悪いとか、それを許してしまう住民の民度が低いとか、そんな愚痴を言っていても何も変わらないので、住民である自分たちでやってみようじゃないかと、小規模ではあれ「本の空間」を作ることにしました。
題して「読書の日曜日」。
愚痴を言っていても何も変わらないので、住民である自分たちでやってみようじゃないかと、小規模ではあれ「本の空間」を作ることにしました。」
題して「読書の日曜日」。
営業時間の13:00~19:00、本を読むことに最適化された空間をご用意しております。”
・・・・引用終わり・・・・

本好きとしては、こう書かれては行かないわけにはいかない。

イベントといっても、喫茶店で黙って本を読むだけ。
それだけ。
しかし、丁寧に淹れていただいたコーヒーを飲みながら、
見ず知らずの本好きの方々と共有する時間は、実に得難いものだった。
ここで本を読んだところで、本屋さんがオープンするものではないとわかっているが、
本を読むことが好きだ、本を読む時間が好きだ、ということを再認識できた。
素敵な空間だった。

街に本屋さんがなくても、ちょっと不便なだけである。
東京で買えばいい、ネットで買えばいい。
しかし、本屋さんを失うことは、何か大切なものも失った気になってしまう。
そして、本屋さんがない街は、寂しい。

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