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消費税を引き下げたら ほぼ確実に起きること [経済を眺める楽しみ]

コロナショックに対応するための経済政策として、
消費税減税を求める声が高まっている。
野党だけではなく、与党内からも。

私は、消費税増税はするべきではないと思っていたクチであるが、
だからといって今の段階で減税すべきと考えているわけでもない。
現段階では、政府も否定的である。
消費税減税を訴えておられる方々は、意義があると信じておられるのだろうから、
見解は割れているということになる。
実際の効果はやってみないとわからないところが多く、事前に甲乙つけるのは難しいが、
消費税減税をしたら起きると思われることは整理しておきたい。

確実に起きると思われること
・買い控えが起きる
 税金が下がるとわかっているのなら、それまで待とうと思う人が増えることは確実である。
 駆け込み需要と逆のことが起きるだろう。
 実際に税が下がるまで、消費が一層減退することは確実だと思う。

・現場は混乱する
 税が上がったり下がったりするのだから、混乱するのも当然である。
 システム改修などの経費もかさむだろう。

・税収が下がる
 当たり前である。

・消費税分を充てている社会保障関係予算に不足が生じる
 消費税収は、年金-介護-医療-少子化対策に使われている。
 消費税を下げるということは、そうした予算に充てる税収が減ることになる。

ほぼ確実に起きること
・消費税が下がっても下がった分消費が増えるわけではない
 消費税が5%に下がったとして、その分消費を増やす人はほとんどいないだろう。
 これも当たり前だが。

・危機終了後も、消費税率をもとに戻すのは難しくなる
 普通に考えたらそうなる。

・今回のショックをまともに受けておられる業態への効果は小さい
 観光業や飲食業への効果は限定的であろう。

こうしたことは、消費税減税を訴えておられる方々は、先刻承知されているだろう。
それでもなお、効果の方が勝ると判断されているのだと思う。
これから経済政策について議論が深まるだろうが、
しっかりメリットデメリットを出し合い、叡智を結集した内容にしていただきたいと願う。
実際の効果はやってみなければわからないところがあるが、
事前の議論は、日本最高レベルの内容でお願いしたい。
もちろん、そんなことはお願いされなくてもなされるはずではあるが。
とはいえ、お願いしたくなる気持ちがわかる人も少なくないと思う。

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125キロプロジェクトは構えの模索中 [55歳125キロプロジェクト]

令和2年、西暦2020年に行う個人的お祭り、
「55歳過ぎの腰痛持ちが、125キロの速球を投げるプロジェクト」。
2020年中に125キロを投げるのが目標である。

オリンピックのある2020年に合わせて企画したのだが、
オリンピックは1年先に行ってしまった。
アスリートの皆さんは、この1年でさらに鍛錬を積まれるのだろうが、
私はこの1年でさらに衰えてしまう。
なので、2020年をターゲットとすることに変更はない。

暖かい日も増えてきたが、
まだ全力でブンブン投げる季節ではない。
肩も全然できていないし。
まずは、できる限り筋力がなくても速い球が投げられるようなフォームを探そう。

現在模索中なのは、始動時における利き腕の位置である。
試合に投げるピッチャーなら、グラブと同じ位置、つまり胸元あたりに置くしかないのだが、
私の場合、握りを隠す必要がないので、どこに置いても構わない。
そこで考えてみた。

私の癖は、腕が横振りになることである。
おそらく、その方がスムーズに投げられるのだと思う。
それ自体、必ずしも悪いこととは限らないのだが、
こと速い球を投げることに関しては、あまりいいことではない。
横振りより、振り下ろした方が速い球が投げやすいのである。
速球派、と呼ばれる投手はほぼ例外なくオーバーハンドであるが、それは偶然ではない。
重力というものがあるのだから、当然と言えば当然だが。

3年前に120キロプロジェクトを行ったときには、
右腕を下げた状態から始動する形とした。
横振りにしないためには、はじめから下げておいて、
そこから上げた方がいいように思ったからだ。
しかし、あとでビデオを見返すと、やはり腕は横振りになっている。

そこで、いっそ初めから肘を上げておいてはどうかと考えた。
どうせ上げる肘なら、初めから上に置いておいて、
そこから弓を弾く要領で後ろに持っていこうというわけである。

画像は、左から通常のセット、2017年版、模索中の形、である。
セットポジション.jpg
模索中の形は、ちょっと馬鹿っぽいが、とりあえず試みである。

この形の欠点は、
・利き腕を大きく使えないこと
・動きが堅くなりがちなこと
・下半身との連動が図りにくいこと
などである。
やってみて駄目そうならあきらめる。
ただし、できる限り上から投げ下ろす形は探っていきたい。

スケジュール的には、
5月 100キロ
6月 103キロ
7月 106キロ
8月 110キロ
といった感じで行ければと思っている。
もっと暖かくなったら、ピッチを上げて行こう。
あきらめず、コツコツと。

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「映像研」を観終わって改めて思う「氷菓」の素晴らしさ [ヨモヤ]

NHKで放送されていたアニメ番組
「映像研には手を出すな!!」
が終わった。
評判になった作品で、私も5話から飛び乗った。
4話まとめての再放送で、全体をおさらいできた。
3人のメインキャラクターの面白さ、
アニメ表現の豊かさ、
ストーリーの面白さに引き込まれた。
とんでもない作品であるように思った。
そのことは、このブログにも書いた。
https://matoko.blog.ss-blog.jp/2020-03-01

「映像研」は、全12話で完結した。
後半もそれなりに面白くはあったが、最初に観たときの衝撃はどんどん薄まってしまった。
3人のキャラは立っているのだが、それに頼り過ぎたように思えた。
ストーリーは同じ展開の繰り返しとなり、
となると驚きは縮小されていく。
最終回に向けて私の気持ちはなだらかになった。
初めて観たとき、
「すごっ」
「氷菓を超えるかも?」
と思ったが、ちょっと過剰に期待し過ぎたようだ。

改めて、アニメ「氷菓」の素晴らしさを思い知った。
毎話毎話面白い作品を作るのは、本当に大変なことなのだ。
ご存じない方も少なくないと思うので「氷菓」について簡単に説明すると、
原作は米澤穂信さんの「古典部シリーズ」であり、
2012年に千葉テレビやMXなどの独立局で深夜に放送された作品である。
設定についてウィキペディアの説明を引用すると、
“文化系部活動が活発なことで有名な進学校・神山高校で「古典部」という廃部寸前の部活に入部した男女4人が、学校生活に隠された謎に挑む、「日常の謎」に分類されるシリーズ。
基本的に、主人公であり探偵役でもある折木奉太郎の一人称で語られる。”
となる。

全22話だから「映像研」の倍ほど続いたのだが、
毎回驚いていた記憶がある。
「真夜中に、メジャーじゃない放送局で、どんだけクオリティの高い作品を放送してるんだ」
と。
ほとんど奇跡である。
作中のいろいろなシーンや、
登場人物のセリフなど、
今でも心に残っている。

「氷菓」は京都アニメーションの制作で、監督は武本康弘さん。
武本さんは、残念ながら昨年の放火事件により亡くなられている。
悔しい思いが募るが、作品は永久に残る。

検索してみたら、おやまあ、「氷菓」は現在BS11で再放送中ではないか。
残念なことに、もう11話ほど進んでしまっているが、まだ半分あるとも言える。
久し振りに見返そう。
毎週火曜日 深夜1時00分~1時30分からである。
不朽の傑作を是非皆さんも。

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映画「ちはやふる」への恋心はまだおさまっていない [映画評]

3月22日の午後、映画『ちはやふる -結び-』が日本テレビ系列で放送された。
前にテレビで放送されたときにも観て、すでに知っていたのだが、
無残なまでにカットされていた。
ズタズタに切り刻まれ、
「え、あのシーンを?」
「まさか、あのセリフを」
と絶句してしまうような大切な箇所が捨てられていた。

それでも、やはり、素敵な映画だった。
広瀬すずさん演じる「ちはや」、
野村周平くん演じる「太一」、
真剣佑演じる「あらた」
の3人は勝手に子どものように思っている。
上白石萌音さんが演じる「かなちゃん」も、
矢本悠馬さんが演じる「肉まんくん」も、
森永悠希さんが演じる「机くん」も、
松岡茉優さん演じる「しのぶちゃん」も、
とても大切な存在である。

「上の句」が公開されたのが2016年、
完結編の「結び」が公開されたのが2018年。
待っている2年間も楽しかったことを覚えている。
「結び」からさらに2年経ち、
広瀬すずさんも、真剣佑も、上白石萌音さんも、松岡茉優さんも、
大きな大きな存在になった。
野村周平くんは炎上に次ぐ炎上だが、それも彼らしい。
彼らの姿をスクリーンで観るたびに、
「がんばれ!」
と応援している。
勝手に身内のような気持になって応援している。

改めて、「ちはやふる」が好きだなあ、と思う。
好きな作品とか、ひいきの映画、というレベルではなく、
これはほとんど恋である。
観るたびになんだかどきどきしてしまう。
いろいろなシーンを思い出すと、胸が痛くなる。

またいつか、そんな作品に出会えるだろうか。
出会えないかもしれないが、ふいっと出会いがあるかもしれない。
だから、劇場に足を運んでしまう。
大抵はガッカリしてしまうのだが、それもまたよきかなである。

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この際、横文字を総ざらいする勢いで [ヨモヤ]

河野防衛大臣が、参院外交防衛委員会で、
新型コロナウイルス対応に絡んでカタカナ語を多用しないよう、
厚生労働省に申し入れたことを明らかにされた。

河野大臣は、先日、自身のツイッターで、
「クラスター集団感染
オーバーシュート 感染爆発
ロックダウン 都市封鎖
ではダメなのか。なんでカタカナ?」
とつぶやき、大きな反響を得られていた。

私も、クラスターまではまだいいとして、
オーバーシュートとかロックダウンとかになると首を傾げたくなった。
一体、誰に伝えようとされているのか疑問に感じたからだ。
わざわざ、わかりにくく定着もしていない言葉をどうして使うのだろう。

今回のことに限らず、役人の皆さんの中には、どうしようもなく横文字が好きな方がおられるのだろうか。
若しくは、日本語に直す力が不足しているのだろうか。
少し前も「ホワイトカラーエグゼンプション」なる制度がわかりにくいと批判の声が上がったことがあった。
その頃から、少しも前には進んでおられないようだ。

河野大臣は厚生労働省に申し入れられるそうだが、
この際、厚労省だけではなく国だけではなく地方も含めて、定着していない横文字は使わないようにすべきではないだろうか。
例えば、スケジュールならいいが、アジェンダとかはどうだろう。
プロジェクトならいいが、スキームとかはどうだろう。
一般の人にわかりにくいだけでなく、個人的には実にカッコ悪く映ってしまう。

コロナには、世界中が酷い目にあわされていて、まだまだ出口が見えない。
しかし、そんななかでも、少しでもプラス面を見つけていきたい。
この機会にわかりにくい横文字が排除されるようになれば、
怪我の功名的によき遺産になるのではないだろうか。

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映画評 「劇場版おいしい給食Final Battle」 [映画評]

「おいしい給食」というドラマをご存知だろうか。
テレビ神奈川、テレビ埼玉、TOKYO MX、BS12などで放送された学園ものである。
私は何回かちらっと見たが、きちんと通しで見たことはなかった。
本作はその映画版。
残念ながら、「いや、知らんし」という人がほとんどだろう。

しかし、ドラマを見ていなくても、映画の序盤にいろいろな設定の説明があるので、心配ご無用。
1980年代の中学校が舞台となっていて、
給食が大好きな教師と生徒が、
「どちらが給食をおいしく食べるか」
を競い合うというコメディである。

教師役を市原隼人さんが全力投球。
大げさな演技がおかしい。
同僚の先生役に武田玲奈さん。
こちらもヒロイン役をわかりやすく演じている。
校長先生役の酒向芳さんは、このところいろいろな映画でいろいろな役で見かける。
本作の時代設定となっている80年代にアイドルだった、いとうまい子さんが給食のおばさん役で出演。
口うるさい教育委員役に直江喜一さん。
直江さんと言えば、こちらも80年代に活躍された方。
「金八先生」では大人に反抗する役だったが、本作では子供を一方的に押さえつける役。
このあたり、くすぐりが効いている。

映画の前半は、給食をいかにおいしく食べるかというバトルが繰り広げられる。
いわばコメディパート。
後半は給食を守る戦いが展開される。
わかりやすい笑いと
わかりやすいホロリ。
低予算映画であり、派手な仕掛けもなければ有名な役者がぞろぞろ出てくるわけではないが、
これはこれで楽しめる。

「劇場版おいしい給食Final Battle」は、安心して観られる作品。
傑作には遠いし、それどころか映画化にふさわしいかどうかもちょっと微妙だが、
おだやかな2時間を過ごすことができる。
子供からおじいさんおばあさんまで、すべての給食を食べた人たちが楽しめる作品と言えるだろう。
これはこれで。

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日経平均とダウが接近 [経済を眺める楽しみ]

世界の株が軒並み下げているなか、
24日の東京株式市場の日経平均株価は大幅続伸。
終値は前日比1,204円57銭高の18,092円35銭となった。
終値の上昇幅としては約4年半ぶりの大きさで、歴代でも9位になるという。

ニューヨークも今日は上げているようだが、
この1月ほどで30,000ドル近くあったものが20,000ドル割れにまで売り込まれた。

日経平均は円で表示されるものであり、
ダウはドルで表示される。
構成銘柄の数も違うし、
絶対値を単純に比較することに意味はない。
しかし、直感的に比較しやすい面はある。
コロナショックの局面においては、ダウが日経より大きく下げていて、
結果的に両者の値が接近しているのである。

これにはいくつかの要因があると思う。
具体的には、
・日本の感染者数がアメリカよりかなり少なく、経済活動も比較的滞っていない
・ドルが買われ、円安が進んでいる
・もともとアメリカの株が高過ぎた
といったものである。

日本も大きく下げていることは変わらないので、胸を張れるようなものではないが、
リーマンショックの時は、震源地のアメリカより日本の下げの方がキツイということもあったので、
それと比べれば今回はましである。

アメリカとヨーロッパが、ほぼ経済活動をストップさせてしまったような状況にあり、
これからアフリカや南アメリカ、東南アジアに感染が拡大していくと考えると、
先行きを楽観できる要素はほとんどない。
株価が下がる余地は、まだまだあると思う。
それでも、徐々に落ち着きを取り戻している感はある。

株価が下がると、投資家にマイナスの資産効果が生じるだけでなく、
企業の業績に影響が出るし、
年金の運用にも影を落とす。
株を買っている人にとっても買っていない人にとっても、株は上がる方がいい。

もとはと言えば、日経平均株価はダウの値よりはるかに高かった。
このままダウを抜き去り、差を広げていったとしても、それほど奇異なことでもないはずである。
現下の危機状況は、日本企業の底力が評価される局面であるかもしれない。

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映画評 「岬の兄妹」 ~ 参りました。映画ファンに心からお勧め。 ~ [映画評]

遅ればせながら「岬の兄妹」を観た。
ロードショー当時も気になってはいたのだが、
ちょっと設定がしんど過ぎるような気がして二の足を踏んでしまった。
この映画を勧める方がおられ、ふとネットを観るとキネカ大森で上映していた。
これも何かの縁である。

ネットに公開されているあらすじは、こんな感じである。
「港町に暮らす良夫はある晩、自閉症の妹の真理子が、男に体を許して金銭を受け取ったことを知る。そのころ、良夫が勤める造船所でリストラがあり、良夫は足が不自由であることを理由に辞めさせられてしまう。困窮した良夫は妹の売春のあっせんを始めるが、次第に妹の喜びや悲しみを知り困惑する。さらに売春のことを知った友人が、良夫に忠告しに家にやって来る。」

う~ん、しんどい。

自閉症の妹。
足の不自由な兄。
二人暮らし。
貧困。
売春。
差別。
リストラ。
障害者の性。

きっついテーマがてんこ盛りである。
実際、映画も手加減なしにしんどい方にしんどい方に進んでいく。
しかし、観ていて不快ではない。
映画としてしっかり成立しているからである。
単に目を背けたいものを見せつけているのではなく、
意味のあるシーンやセリフで構成されている。
すごい脚本、すごい演出であり、
兄妹を演じる二人がそれにがっちり応えている。

大抵の映画を観ると、それが好きな映画や面白かった映画でも、
「あのシーンはない方がよかった」
「あのセリフは余計だった」
と思うことがほとんどだが、本作ではそれが見当たらなかった。
閉じた世界として完全に成立していた。
最初のシーンから、
印象的なラストの兄妹の表情まで、
見事としかいいようがない作品であった。

そして、底辺に漂うユーモアに、さらに心を持っていかれる。
悲惨なシーンであればあるほど、その状況はある種ユーモラスになってしまう。
そのユーモアは救いにもなり、
悲惨さを際立たせたりもする。

障害を持つ妹役を演じる和田光沙さんが圧巻。
恐れ入った。
兄役の松浦祐也さんも、情けない役を情けなく好演。
心を持っていかれた。
無名の役者さんがほとんどであるなか、ちょっとした役で風祭ゆきさんが出演。
80年代ににっかつロマンポルノで活躍された方であり、この名前を聞くだけでちょっとドキッとする方もおられるのではないか。

「岬の兄妹」は、観る人の心をグワシっと捕まえる力作。
奇跡的に成立した傑作と言っていいと思う。
テーマがテーマだけに、誰にでもお勧めするというわけにはいかない気がするが、
映画ファンは必見である。
心からお勧めする。

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「内部留保を吐き出せ」と言っていた方々は、今何思う [診断士的経済アプローチ]

実感できない、とさんざん言われてきたが、ここ数年は景気がよかった。
実感できないのに景気がいいとはなんだ、となるが、経済指標的には上向きだったということである。
すべての人に恩恵が及んだかどうかはさておき。

この期間、大企業を中心に利益が積み上がった。
企業は、配当や自社株買いにも回したが、利益剰余金として残る部分も少なくなかった。
2018年度の法人企業統計によれば、
「利益剰余金」が前年度比3.7%増の463兆円となり、7年連続で過去最高を更新したのだという。
利益剰余金は「内部留保」とほぼ同義でとらえられることも多いことから、
「内部留保が過去最高」
と報じるメディアも少なくなかった。

この状況を見て、
「内部留保が積み上がるのはけしからん。これを吐き出させよう」
と主張される政治家の方が増えた。
法人税増税を訴えられたり、
内部留保自体に課税することを主張されたり、
なにやら内部留保を目の敵にされているようですらあった。

企業としてみれば、
一生懸命に事業活動を行い、
なんとか利益を出し、
そこから税金を払い、
その残りが利益剰余金となるのに、
それを巻き上げられるのはあんまりだ、という気持ちだったのではないだろうか。
また、企業が内部留保を持つのは、
環境の変化に対応するため、
という経営判断をもとにしているのであり、
それを悪いことのように言われるのは心外だっただろう。

現在、世界はかつてない危機のただなかにいる。
需要が消失してしまったような業態もあり、
日々の資金繰りに苦慮している事業者も少なくないだろう。
こうした環境の激変に備えるのが内部留保である。
「そんなに貯めこんでどうする」
と散々批判されてきた内部留保は、こうしたときにこそ活かされる。

今の状況を見て、内部留保を吐き出させと主張されていた方々はどうお考えだろう。
「コロナショックは特別な状況であり、これを見込むのは神様でなければ無理」
などと開き直られるのだろうか?
内部留保は、予見できない危機に備える意味があり、予見できないことだから仕方がないでは済まないのだが。
ひょっとしたら、内部留保を目の敵にされていた方は、今の状況を見てもなんとも思っておられない可能性もある。
たぶん、そうだろう。
政治家や評論家には、「忘れる能力」が必要であるとも思うが、しっかり反省しないと次に活きてこない。
実施されなかったのだからいいじゃないか、ではなく、自分たちの主張を実体経済に合わせて、随時振り返っていただきたい。
そして、反省すべきは反省して、次につなげていただきたい。

もし、内部留保を減らす政策が間違っていないとお考えであれば、引き続き堂々と訴えていただきたい。
今のような状況でこそ、堂々と訴えていただきたい。

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給付金に関するネットの反応で思う [経済を眺める楽しみ]

コロナショックで経済が冷え込んでいる。
仕事に出られなくなってしまった方や、
資金繰りに窮している事業者の方など、
悲鳴に近い声は、今後さらに大きくなっていくのではないだろうか。

一番の対策がコロナを終結させることであるのは言うまでもない。
生活が正常に戻れば、一歩前進することは間違いない。
しかし、日本がよくなっても、世界の感染拡大が止まっていない可能性がある。
モノの流れは寸断されているし、
消費を支えていたインバウンドも、もとに戻るのに時間がかかることが確実である。

そこで、政府による景気対策が待たれている。
今はアドバルーンがポツポツ上がっている段階であるが、そのなかに給付金を配るという意見も出ているようだ。
2009年のリーマンショック時に配られた国民一人当たり12,000円を上回るような額で、
といった報道がなされている。

個人的には、給付金の効果はかなり限定的であろうと思う。
危機的な状況であり、なんでもやっていくという発想の中の一つとしてはわからなくないが、
現金で配っても貯蓄に回る可能性が高く、波及効果が小さいと考えられるからだ。
また、支給に向けた事務手続きは膨大なものがあり、自治体の現場が疲弊することも必至である。

しかし、ネットにあふれる批判の意見にも、今一つ共感できないものがある。
一つ一つ見てみよう。

その1 「こんな状況にしておいて12,000円かよ」論
書いておられる方は「こんな状況に」したのは安倍内閣と思っているのかもしれないが、
今の日本は先進国では唯一といっていいくらいにコロナの爆発を一定程度抑え込めている国である。
結果的に、ではあるかもしれないが、現在の状況は胸を張っていいくらいのレベルになっている。
こんな状況にしたのはコロナウィルスであり、政権を責めるのは筋違いであろう。

その2 「アメリカは10万円と聞いたぞ」論
これに限らず、他国のおいしいところだけを取り出すのは疑問である。
給付金が出ないところもあるだろうし、もっと税金が高い国もある。
普段はバラマキを批判しておいて、こういうときだけ乗ってくるのもどうかと思うし、
よその国と同じだけほしい、という発想もちょっと…。
もちろん、もらえるならたくさんほしいという気持ちはわかるけれど。

その3 「今はお金を配っても使えない状況なんだから、対策が間違っている」論
いや、配るのは、今すぐではないので・・・

その4 「12,000円ぽっちで何の意味がある」論
確かに12,000円で消費が喚起されるかというと、私も疑問である。
ただ、この額がどのくらいなのか、ちょっと消費税と比較してみよう。
例えば、4人家族なら給付額は48,000円になる。
1月に20万円の消費をする家計を想定すると、年間240万円の消費となり、
消費税を24万円納める計算になる。
48,000円は24万円の20%、つまりちょうど8%から10%への消費税増税分である。
消費税増税に猛反対していた人が、12,000円では少ないと言っているとすると、
ちょっと整合性が取れていない気がする。

ただでさえ日本は世界一の借金大国であるが、
今回のコロナショックで、令和2年度の税収は落ち込み、
借金は一層膨らむだろう。
そんな状況で打つ経済対策だけに、できる限り効果が高いものにしたいところである。
いつものメンバーで政策をひねり出しても、失礼ながら結果は見えている。
是非、日本の知恵を結集してほしい。
野党の皆さんも知恵を絞り、いい意見があれば与党もためらわず取り組んでほしい。
手柄争いや票へのつながりを意識している場合では全くない。

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