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映画評 「アルプススタンドのはしの方」 [映画評]

青春映画が好きな私。
野球映画も好きで、本作はレビューにも高評価が多い。
これは観に行かなければと。

楽しみにして観に行ったのだが、
なんというか、商業映画としてとらえると、あまりにもユルイ。
お金の問題もあるのだろうが、それを言ってはおしまい。
低予算映画だからしょうがない、と割り切らず、以下、真面目に評してみる。

映画の舞台は甲子園のアルプススタンドと設定されている。
しかし、実際のロケ地は典型的な地方球場であり、最初のシーンから「はれ?」となる。
地方球場でしかロケができないのならそれに合わせた脚本に直してほしかったし、
脚本が直せないなら甲子園っぽく見える工夫をしてもらいたい。
そのどちらもしないというのはどういうことなのだろう。
観る方で勝手に甲子園に補正しろ、ということなのだろうか。
おやおや。
ブラスバンドの演奏のあてぶりも、応援団も、球場の音も、球場アナウンスも、
臨場感がまるでない。

この映画の中では「しょうがない」という言葉がキーフレーズになっていて、
それを乗り越えようと登場人物の高校生たちがあがく姿が見せ場になっている。
しかし、この映画そのものが、
「お金がないからこのくらいでしょうがない」
になってしまっていないだろうか。
映画のメッセージを最も信じるべきなのは、映画の作り手なのに。

本来なら胸熱くなる展開なのだが、
オチありきでそこに持っていく感じ。
私は熱くなれなかった。

本作は、全国高等学校演劇大会で最優秀賞となる文部科学大臣賞を受賞し、全国の高校で上演され続けている戯曲を映画化したものであるらしい。
舞台なら映えるのだろう。
しかし、映画でははねなかった。
この題材で、惜しいことだ。
登場人物のセリフや行動も、なんだか腑に落ちないことばかり。
もっともっと遠くに行けたと思う。
残念。

出演は、失礼ながらそれほど知名度の高くない若手俳優の皆さん。
舞台っぽいといえば舞台っぽいお芝居なのだが、皆さんなんだか微妙。
私の心には響かなかった。
演出の問題なのだろうか。

もともとは兵庫県東播磨高校演劇部が上演した戯曲とのことだが、
なぜか映画の中では東入間高校となっていた。
今のところ、埼玉県入間市とのタイアップはなさそうだ。
ユナイテッド・シネマ入間では上映しているが。

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