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映画評 「ビューティフルドリーマー」 この映画が好きだ [映画評]

好きになってはいけない映画を好きになってしまうことがある。
好きになってはいけない映画、なんてあるはずないとはわかっているけれど、
「いや、とてもではないが『いい映画』とは言えないでしょう」
というような映画があり、
観ながらそれをわかりつつ、
それでも好きになってしまうことがある。

この「ビューティフルドリーマー」という映画、
辛い点数をつける人も多いと思う。
それも納得である。
ストーリーはあってないようなものだし、
元ネタを知らないと何が何だかわからない感もあるし、
元ネタを台無しにしていると思う人もいるだろう。
それなのに好きになってしまった。

本作の元ネタは、アニメ史に残る傑作と言われる「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」。
そちらで監督・脚本を務められた押井守さんが、本作でも脚本を担当されている。
映画の中でも、アニメで出てきたシーンがいくつも出てくる。
アニメ版を知っている人はクスリとするかもしれないが、
知らない人にとってはさっぱり意味が分からないだろう。
私は、かなり前にアニメ版を観たが、正直記憶は薄く、
さっぱり意味がわからないクチだった。
それでも十分に楽しんだ。

映画の舞台は、文化祭を翌日に控えて華やぐ大学。
出し物もなくグダグダしていた映画研究会が、「夢見る人」という先輩が書いたと思しき脚本を見つけ、映画つくりを始める。
うる星版でも文化祭の前日が舞台で、同じ日をぐるぐる繰り返すというものだったが、
本作ではぐるぐる繰り返している感はない。
しかし、文化祭の前日だったはずが、いつまでたっても文化祭は始まらない。
全く違う話なのだが、根本は同じということだろうか。

わちゃわちゃしながら、とりあえず何かやってみようという雰囲気に惹かれる。
工夫して、ものを作っていくさまが楽しい。
くだらないギャグがいちいち面白い。
作っている映画はうる星版を下敷きにしているので、何が何だかわからないのだが、
不思議とそこは気にならない。

主演の小川紗良さんに注目。
彼女はモデルであり、女優であり、自身で監督もしているという。
作中で、監督役をやっているのだが、おそらく実体験が生きた面もあっただろう。
監督作品も観てみたい。

他の出演陣は、私の知らない人が多く。
しかし、それが実に自然でよかった。
学生映画的なグダグダ感と捉える人も多いだろうが、私には実に心地よかった。
面白かった。
実に楽しい時間が流れた。

全くはまらない人もたくさんいるだろう。
しかし私は、「ビューティフルドリーマー」という映画が好きになった。

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