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映画評 「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」 [映画評]

エヴァンゲリオンのテレビ放送が始まったのが1995年のこと。
阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件という日本を揺るがす大事件があった年であり、
Windows 95が発売された年でもある。
振り返って、時代の画期となる年だったと言えるのかもしれない。
それから26年。
ついにエヴァンゲリオンが完結した。

先日、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」にエヴァンゲリオンの総監督、庵野秀明さんが出演されていた。
制作現場に4年間密着取材したという力の入った企画。
庵野さんの常人ではない映画への入り込み方がよくわかった。

私は、エヴァンゲリオンを遠くから眺めていたクチである。
テレビシリーズはちらっとしか観ていないし、
映画も飛び飛びに足を運んだ。
普通の映画なら、
「商業映画として公開する以上、初見の客にもしっかりわかるものを作るべき」
と言いたくなるところなのだが、
エヴァンゲリオンに限っては、その常識が当てはまらない気がする。
門外漢が何を言っても始まらない。
わかる人がわかればいい、
伝わる人に伝わればいい、
という思いが貫かれている。

映像は強烈なものがあり、
凄い情報量を受け取っていることを実感する。
ストーリーや展開は、作品が積み重ねてきた時間の長さや多くの人の思い入れからすると、
正直なところ「へ?」という感じだが、
よく知りもしない私のような人間があれこれ言うべきではないだろう。
そう思わせる力があった。

ただ、本作をエヴァンゲリオンをあまり知らない人に勧められるかというと、
映画はそれほど好きではないという人にまで観た方がいいと伝えられるかというと、
一本の映画として新しい地平を切り拓いたかというと、
そうは思えなかった。
だから、一見さんに「是非どうぞ」とは言えない。
怖いもの見たさで足を運ぶ、というのなら大いに賛成だが。

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