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日本株式の存在感の後退はやむを得ないとしても [経済を眺める楽しみ]

5月の初旬から中旬にかけて日本株は軟調だったが、
その原因の一つが、
MSCI指数から多くの日本株が除外されたから、
だったそうだ。

MSCI指数のMSCIとは、
モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル
の頭文字をとったもの。
つまりMSCI指数とは、同社が算出・公表する指数のことを言う。
日本株でいう日経平均株価のようなものだろう。
先進国、新興国合わせて約70カ国・地域の株式市場をカバーしており、
多くの投資家のベンチマークとして採用されているらしい。
この指数に連動する投資信託などもあるため、
MSCI指数から外された銘柄の株価は下がる傾向にある。
売り圧力として、5,000億円規模とも言われたようだ。

5月のMSCI指数銘柄の定期見直しでは、
日本株のうち29銘柄が採用除外となった。
なかには、
カルビー、西武ホールディングス、しまむら、帝人、
といったよく知られた会社も含まれている。
一方、新規採用はゼロだった。
去年11月の見直しでは、
21銘柄が除外された一方、5銘柄が採用された経緯がある。

このことについて市場では
「日本株式の存在感が後退している」
との声が出ているそうだ。
残念ことだが、やむを得ないとも感じる。
日本経済の成長よりも、いわゆる新興国の伸びの方が大きいから、
中国をはじめとする成長途上にある国の株式が評価されるのは、
ある意味当然だと思うからである。

これからも、世界経済が拡大するペースと比べて、
日本経済が成長するペースは、小さいと思われる。
そのため、存在感も希薄化していくだろう。
しかし、相対的な規模は小さくなっても、きらりと光る企業が出てくればそれでいい。
そうした芽を生み出し、育てていきたい。
日本より規模の小さい成熟国は、そうやって成功しているように見える。
そのための政策は、おそらくバラマキではないだろう。

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映画評 「地獄の花園」 [映画評]

バカリズムさんの脚本によるコメディ。
『ろくでなしBLUES』『クローズ』『BE-BOP-HIGHSCHOOL』
といったいわゆるヤンキー漫画のパロディで、
戦場は学校ではなく会社、
主役は学生ではなくOL。
普通に働きながら、そこらじゅうで衝突が起きるという設定で、
リアリティは全くないが、突き抜けた方が笑いになる。

主演は永野芽郁さん。
会社の同僚でヤンキーを演じる面々として、
広瀬アリスさん、菜々緒さん、川栄李奈さん、大島美幸さん。
敵対するOL役に、遠藤憲一さん、勝村政信さん、松尾諭さん、丸山智己さん。
「どうしてエンケンさんたちがOL?」となるだろうが、実際にそうなのだから仕方がない。
ハチャメチャな設定で、エンケンさんが出ているところが特に面白い。
ちなみに遠藤憲一さんは今年で60歳、還暦である。
最強の敵を演じるのが小池栄子さん。
伝説的な存在として室井滋さんも出演される。

喧嘩のシーンが多いのだが、パロディということもあり、作り込まれてはいない。
それでも広瀬アリスさんはそれなりにやられているが、
永野さんは極端に華奢なこともあって様にならない。
ここはもう少し頑張った方がよかった気がするが、まあゆるい映画だからこれはこれでいいのだろうか。
惜しい気はしたが。

終始楽しく観ることができて、概ね満足だったのだが、
最後の戦いがちと長い。
また、大オチがまったくはまっていない。
台無し感さえある。
あと20分ほど短くしていただいて、
大オチを差し替えてくれたら、思い切り勧められたのだが。

監督の関和亮さんは、主にミュージックビデオを撮ってきた方。
華やかで、わかりやすい映画を作られた。
もうワンパンチ。

「地獄の花園」は、こんなときにこそ観たいおバカ映画。
おバカ映画ファンの方はもちろん、
意外と楽しめるのでおバカ映画ファンではない方もよろしければ。

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ファンは勝ち負けだけを見るのではない ~ 大坂さんの会見ボイコットは残念 ~ [ヨモヤ]

大坂なおみさんが、全仏オープンでは記者会見に応じないと表明された。
理由としては、
「全体的な状況は落ち込んでいる人間を踏みにじるものだし、その背景にある理由が理解できない」
「アスリートの心の健康に敬意を払わない人がいると感じることがよくある。記者会見を目にするとき、または出席するときはいつもそう」
「私たちはそこに座り、以前に何度もされた質問をされ、私たちの心に疑問が生じるようなことを聞かれるときがよくある。私は自分のことを疑う人たちの前にさらされるつもりはない」
などとされている。

大会規定では、選手は必ず試合後に記者会見に出席しなければならないとされているので、
大坂さんの表明はこれに反することになる。
ペナルティとして、記者会見を欠席するごとに2万ドル(約218万円)の罰金を科される可能性があるらしい。
一般の方なら、目の玉が飛び出るほどの額だが、
年間3,700万ドル(40億円)も稼ぐとされる大坂さんとしては、
そこまでの大金でもないのだろうか。

この大坂さんの意思表示について、フランステニス協会のジル・モレットン会長は、
「これはとんでもない間違いであり、強力な規定が必要かもしれないほどの事態だ」
「私の意見では、このようなことは許されることではない。われわれはテニスの促進を目指している」
とおっしゃったという。

大坂さんの気持ちはよくわかる。
スポーツ選手へのものに限らず、
多くの記者会見やインタビューは陳腐なものであり、
相手を怒らせたり、揚げ足を取ろうとしたりしたものであることも少なくない。
意味が見い出せない、と嘆く気持ちも理解できる。

しかし、試合の勝ち負け以外のことを知りたいと思うファンも少なくない。
あのショットはどういう意図があったのか、
相手プレイヤーの成長をどう感じたのか、
憧れのプレイヤーと試合をしてどう思ったか、
マッチポイントを先に奪われたときの心境はどうだったのか、
秘策はあったのか、
などなど。
どちらが強いか、
どちらが勝ったか、
だけではないものを知りたいのがファンの気持ちである。
それに応えるのは、プロとして果たすべき役割の一つだと思う。

大坂さんは、日本のみならず、世界中が注目する選手である。
優等生でなければならないとは思わないが、
その肉声が聞けないのは残念である。
自分の言いたいことを一方的に言うだけのSNSでは伝わらないものもある。

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見ている番組はテレ東一色 [ヨモヤ]

テレビ東京が、4月改編について、
「手応えを感じています」
とした。
これは、コロナの影響で社長定例会見を中止したことを受けて、
質問状に文書で回答したもの。

私事になるが、決まって見るようにしている番組はテレ東一色である。
朝を「モーニングサテライト」で始めるのは、もう何十年も続く習慣。
それでも毎朝のように思う。
「いい番組だ」と。

「カンブリア宮殿」と「ガイアの夜明け」も、番組開始当初から欠かさず見ている。
予約録画をしているので、見逃すこともない。
「カンブリア」は、以前は切れ味があったのに、
このところは企業のよいしょ番組のようになっているのが正直不満だが、
それでも毎週見ている。
面白い回もある。
「ガイア」は、どんな深刻なテーマでもハッピーエンド的にしてくれるので安心して見られる。
取材力に感心することもしばしばである。

この4月改編でテレビ東京は、
「思い切り第一歩 新テレ東はじめます」
をキャッチフレーズに、
「ワールドビジネスサテライト」を午後11時放送から午後10時枠へ移動するなど、
かなり思い切った手を打った。

午後10時と言えば、テレビ朝日系の「報道ステーション」の枠であり、
これに真っ向から喧嘩を売った形である。
なんでも視聴率は堅調に推移しているらしく、
「上昇の余地はまだあります」
としている。

ちゃんとしたニュース、ちゃんとした報道が見たいと思うと、
今はテレ東になる気がする。
他のチャンネルは、NHKも含めて、ちゃんとしていないように思える。

堅調、といっても、他の放送局と比べると、弱小であることは否めない。
しかし、弱者の戦い方を知っているテレ東はしたたかである。

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経験則的には日経平均はダウとの差を縮めていく [経済を眺める楽しみ]

5月24日付の日本経済新聞に、同社が開催した景気討論会の様子が報じられていた。
今後の日本経済の行方を占うものだったが、そのなかで年末の日経平均株価も予想されていた。
景気予測ならともかく、株価予測となると当たるも八卦という感じになるが、
やはり気になる。
出席されていた皆さんの予想は以下のとおり。

大橋徹二・コマツ会長
日経平均株価:2万9000円~3万円

高島誠・三井住友銀行頭取
日経平均株価:3万0500円

白井さゆり・慶応義塾大学教授
日経平均株価:2万9500円

岩田一政・日本経済研究センター理事長
日経平均株価:2万5000円

岩田一政さん以外は、現在の株価よりも上昇すると予想されている。
それでも30,000円を少し超えるあたり。
今年の3月頃にすでに30,000円を超えていたことを考えると、
今よりは上昇すると予想されているとはいえ、強気とは言えない。

アメリカと中国は順調に景気を回復させているが、
日本は、ワクチン・景気の両面で出遅れている。
それが株価の推し下げ要因になっているのだろうが、
逆に言うと伸びしろがあると言えなくもない。
肝心の企業業績も、観光や航空、飲食などを除けば、それほど悪くなさそうだ。

アメリカダウは最高値を更新し続けており、
現在34,000ドル近辺。
28,000円あたりをうろうろしている日経平均とはずいぶんと差が付いた。
近年の経験則からは、この差は埋める方向で動くことが多い。
アメリカが下がることによって埋められる可能性もあるが、
日経が追っていくパターンの方が一般的だろう。

もちろん、だからといって日経が34,000円あたりまで駆け上がっていくとは考えにくいし、
今が日本株の底だとも思えない。
それでも、下を見るより上を見る方がスタンダードな予想となる相場環境ではないだろうか。

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映画評 「いのちの停車場」 [映画評]

観る映画を選ぶとき、どんな基準があるだろう。
好きな俳優さんが出ているから、
原作が好きだから、
といった答えが多いだろうか。
私の場合、手当たり次第に観ている感じなので選んではいないが、
楽しみにする基準はある。
それはやはり監督さんである。
過去にいい作品を作られた監督さんの映画は楽しみになる。

本作は、吉永小百合さんと広瀬すずさんの共演が話題だが、
成島出さんの監督作品というところに魅かれた。
「八日目の蟬」が実に印象的だったし、
ちと古いが「フライ,ダディ,フライ」は楽しかった。
本作は、在宅医療をテーマにしていて重い作品となるだろうが、
成島監督なら上手に料理されることと期待した。

最初のシーンは意外なもの。
派手なアクションから始まり、さすがにメジャー系の作品は金かけるなあ、と妙な感心をする。
そこからの流れは強引でやや陳腐だが、短い時間で物語を展開させるためにはやむを得ないと飲み込む。
映画が転がり始めると、その先はエピソードの詰め合わせ。
泣かせる設定が次々に出てくるのだが、どれも既視感満載である。
それぞれ心震える瞬間がないわけでもないのだが、
ブツ切れで、ありがちで、気持ちを入り込ませるには至らない。

そして、ラストに向かっていくにつれ、
さらにアラアラ感は募り、最後のシーンでピークに。
宙ぶらりんなままエンドロールが流れるに至って、
「なんだそれ?」とつい突っ込んでしまった。

在宅医療に関しての問題提起や死に際の描き方としては、
この冬に公開された「痛くない死に方」の方がはるかによかった。
本作は、吉永さん演じる女医さんの人生見つめ直しの面も、
広瀬すずさんの成長物語の面も、
どれも中途半端。
いい作品はなかなか生まれないものである。

よかった点を探すと、金沢の街が美しく撮られていたこと。
季節ごとの風景も素敵で、
旅したくなったし、住みたくなった。

出演は、吉永小百合さん、広瀬すずさんのほか、
西田敏行さん、松坂桃李さん、
南野陽子さん、伊勢谷友介さん、柳葉敏郎さん、小池栄子さん、
伊勢谷友介さん、石田ゆり子さんといった豪華な面々。
しかし、脚本・演出がほにゃほにゃで、ほとんど活かされていない。
印象的だったのは子役の佐々木みゆさんくらい。

「いのちの停車場」は、社会派にはなり切れず、物語も強くない、という残念な作品。
吉永さんのファンにも勧めきれないが、
金沢という街のファンの方はどうぞ。

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オリンピック どちらかに決まったらその時は気持ちを合わせたい [ヨモヤ]

オリンピックに関して、聞くに堪えない、読むに堪えない、
罵詈雑言が続いている。
世界最大のお祭り、
平和の祭典、
のはずなのに、日本国民の心をかき乱しに乱している。
もちろん、
賛成にしても反対にしても、
ネットやらなにやらで、
ああ言えばこう言う的な揚げ足取りをしている人や、
反対者に対する人格攻撃や、
運動としてどちらかに寄った活動をされている方は、
一部であろうとは思う。
それにしても、本当に美しくない。
見たくない光景がずっと続いている。

ただ、これはもう止まらないだろう。
止めてほしいけれど、
賛成にしても反対にしても、
それぞれの立場からの、美しくない言質は収まりそうにない。
それが一つの生きる糧のようになっているようにさえ見える。

心から願うことは、
どちらかに決まったら、その方向で心を揃えられますように、ということである。

もし中止や延期が決まったら、
賛成していた人たちは不本意かもしれないけれど、
ぐっとこらえて受け入れたい。
そして、選手たちの気持ちに寄り添いたい。
この日のために人生をかけてきた選手たちの気持ちを慮りたい。
選手を支えてきた家族や周りの人たちの気持ちや、
準備をしてきた人たちの労苦にも思いをはせたい。
そら見たことか、的な言葉は聞きたくない。

もし開催が決まったら、
反対していた人たちは不本意かもしれないけれど、
いつまでもあれこれ言うのはやめたい。
大会の成功に向けて、力を尽くしたい。
安全に開催するための建設的な意見ならいいけれど、
選手たちや
懸命に大会を支えようとしている方たちを貶めるようなことはやめたい。

今は、美しくない言葉がはびこるのも仕方がない、と割り切るとして、
どちらかに決まったら、その方向で一つになりたい。
いつまでも互いをやり込め合おうとするのは止めたい。
賛成している人も反対している人も同じ日本国民であり、
日本がよりよくなることを願っているはずなのだから、
仲たがいはおかしい。
決まったら、その方向でよりよい未来が描けるように一つになりたい。
それもできないようなら、あまりにも情けないし、あまりにも悲しい。

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2年ぶりのプロ野球交流戦が始まる [ヨモヤ]

昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となったプロ野球交流戦が、今シーズンは行われる。
両リーグのファンにとっては、ドキドキの季節となる。

過去15年の成績では、パが圧倒している。
データを見ると、
通算勝利は、パの1,102勝、セの966勝。
パの勝ち越しが14回、セは1回。
優勝チームは、パのチームが12回、セは3回。
セのチームで勝率が5割を超えているのは巨人だけ。
などなど、パの優位を証明する数字が次々出てくる。

しかし、トータルの結果はそうでも、一試合一試合は手に汗握る内容が少なくない。
また、セのチームにも故障者は少なくないが、パの各チームにも、
ソフトバンクに千賀、東浜、グラシアルがいないこと、
西武に外崎がいないこと、
日本ハムが不調で中田もいないこと、
などなど、不安要素がある。

一方、交流戦でなければ見られない対戦が見られるのは楽しみである。
今シーズンで言えば、
楽天・早川 対 阪神・佐藤 ゴールデンルーキー対決
セの奪三振王 中日・柳 対 三振を忘れた男 オリックス・吉田
ソフトバンク・柳田 対 ヤクルト・村上 左の飛ばし屋対決
などなどである。

パ・リーグファンの私からすると、
オリックスの山本・宮城がセの打者にどう投げるか、
西武・源田がたまらん守備を見せるか、
楽天・マー君がどんな投球を見せるか、
ロッテ・佐々木がどういう成長を遂げるか、
などなど、見せ場はいくらでもある。

世の中は、コロナ禍で揺れている。
なんとか無事に交流戦を行いたい。
そして、2年ぶりの対決を楽しみたい。
野球があること、スポーツがあることの素晴らしさを噛みしめたい。

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相撲界 大丈夫? [ヨモヤ]

子どもの頃は、よく相撲を見ていた。
北の湖関、輪島関による優勝争い、
アイドル的人気のあった貴乃花関、
なんとも言えない愛嬌のあった高見山関、
麒麟児関と富士桜関の突っ張り合戦など、
いろいろ思い出される。

いつごろからか相撲をあまり見なくなり、
白鵬の一人勝ち時代が延々と続く中で、気持ちも徐々に離れてしまった。
ご当地力士が幕内におられるので、その勝ち負けには一喜一憂するし、
優勝争いがどうなっているかも把握しているので、まったくの無関心ではないが、
子どもの頃のようなワクワク感は失った。

だから、相撲には門外漢なのだが、
そんな私でも失望するようなことが次々に起きる。

2010年以降、
朝青龍が数々の不祥事を起こして引退
野球賭博問題が発覚
なんといっても八百長問題による休場
日馬富士傷害事件
繰り返される暴力事件
などなどが起き、コロナ禍では規律違反もたびたび生じている。

現在開催中の5月場所では、
鶴竜の引退、白鵬の休場により、横綱が不在となっている。
看板選手がこうも長く不在となるプロスポーツがほかにあるだろうか。
さらに筆頭大関の朝乃山もキャバクラ通いとその虚偽報告で休場。
スポーツビジネスの体をなしているとは言い難い。

野球と違い、甲子園というスターを生み出す場所はなく、
サッカーと違い、世界につながる道もない。
ボクシングと違い、他国の王者と闘い強さを証明する舞台もない。
相撲を始めようとする子供たちもどんどん減っていきそうで、
相撲界の前途は明るいとは言い難い。

幸い、視聴率などを見ると、完全に見放された状況ではない。
巻き返しのチャンスは十分にある。
問題は、相撲界が健全な危機感を持っているかどうかである。
危機感はさすがに持っているだろう。
しかし、こうも問題が繰り返し起きるところを見ると、
どこまで身に染みておられるのか、はなはだ疑問に思えてしまうのである。

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映画評 「くれなずめ」 [映画評]

本作は、松居大悟さんの脚本・監督による作品。
松居監督作品では、去年公開された「#ハンド全力」が楽しかったし、
本作には、
話題作に出まくっている成田凌さんをはじめ、
「あの頃。」「街の上で」の若葉竜也さん、
「星の子」「あの娘は貴族」の高良健吾さん、
「his」「佐々木、イン、マイマイン」の藤原季節さん、
といった面々が出演されている。
このメンバーなら面白いに決まっている。
緊急事態宣言により公開が延びたことによって、飢餓感も増した。

しかし世の中、「決まっている」ことなどない。

全体の雰囲気は期待どおりだったし、
役者さんたちのやり取りも愉快だった。
前田敦子さんの怪演も好ましく、
日本映画らしい日本映画だなあ、と感じた。

だが、大満足かというと、まったくそうではない。
熱い映画なのだが、観終わったらすっと消えてしまった。
松居さんは劇団を主宰されているということなのだが、
本作も演劇的。
それは必ずしも悪いことではないのだが、
本作の場合、いい目が出なかったように思う。
終盤になればなるほど、
演劇だったらもうちょっと楽しめたのかなあ、という雰囲気に。
設定とかは、そそられるのだが。

高校時代からの友人関係が描かれるのだが、
その密度が伝わって来ないので、感情移入ができない。
基盤ができていないので、最後の大技が空回りしてしまった感じ。。

成田さんの演技はいつもどおりの安定感だが、
今作ではちょっといつもどおり過ぎた感があった。
若葉さんは、ノリに乗っている。
藤原季節さんも、若手サラリーマン役がはまる。
前田敦子さんは、性格派俳優として末永くやっていけそうだ。

「くれなずめ」は惜しい映画。
やたらと楽しみにしてハードルを上げていたこともあって、
なんだか肩すかし。
残念。

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