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映画評 「99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE」 [映画評]

本作はテレビドラマの映画化。
このパターンは、良作である確率が極端に低い。
作り手としては一定のヒットが確実なのでどうしても手を出したくなるのだろうが、映画ファンからの信頼度は異様に低い。

駄作が累々と積み重なってはいるが、なかには、
「踊る大捜査線」のように社会現象的なメガヒットになることもあるし、
「モテキ」のように作品が高く評価されることもある。
なので、なるべく先入観を持たずに観に行くようにしている。

「99.9」というタイトルは、
裁判有罪率が99.9%とされる刑事事件に残りの0.1%の可能性に懸けて挑んでいく、
という意味が込められている。
個性豊かな弁護士の面々が、あれやこれやぶつかりながら真相に迫っていく、という筋立て。
あまりシリアスな話にしてしまうと視聴者がついてこないからだろうか、コミカルな設定にされている。
会話も常に軽妙。
ドラマであればだんだんキャラクターが定着していくからそれでいいのかも知れないが、
映画で一見さんが観ると、まったくしっくり来ない。
大の大人がどうしたのだろう、
と見えてしまう。
笑えもしないだけに、ただ寒い。

映画では、15年前に判決が出されたかなり大きな事件の再捜査を行い、
多くの弁護士を総動員で臨むのだが、
誰がどのように費用負担しているのかしら。

もちろん、コメディ映画であり、シリアスに観たって仕方がない。
残念ながら、制作陣は映画ファンをうならそうなどと微塵も思っておられないようだから、
こちらも肩の力を抜いて、流して観ればいい。
しかし、そう思ってみても、それで面白みが増すものでもない。
事件の真相は想像を超えたものだが、
いくらなんでも・・・。

とてつもなくつまらない映画ではないが、
劇場で公開する意味がどこにあるのか、私にはとても見つけられそうにない。


監督は木村ひさしさん。
「屍人荘の殺人」「仮面病棟」に続いて、ため息をつかせていただいた。

主演は松本潤さん。
香川照之さんが、なにやら大騒ぎされている。
杉咲花さんのはっちゃけた演技が救いと言えば救い。
蒔田彩珠さんが出演されていたが、どうしても芋生悠さんと混ざってしまう。
お二人は「#ハンド全力」で共演されていて、
その後、蒔田さんは「星の子」「朝が来る」といった佳作に出演され、
芋生さんも「ソワレ」「ひらいて」といった良作に出られている。
日本映画界において重要なお二人を混同してしまうのが我ながら情けない。

「99.9-刑事専門弁護士- THE MOVIE」を、期待を持って観に行く映画ファンはいるのだろうか。
もしおられるとしたら、その期待はできる限り捨て去ってご覧になることをお勧めする。
映画という土俵に乗る気もなさそうなので、まともに向き合うと悲しくなってしまう。
ドラマファンの方はどうご覧になるのだろう。
ドラマファンが楽しめれば成功という作品なので、楽しめればいいですね。

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