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映画評 「ツユクサ」 [映画評]

平山秀幸監督作品。
平山監督は71歳になられたというから、大御所の域に入られたと言えるかもしれない。
1990年代半ばの「学校の怪談」シリーズが大好きだった。
1998年の「愛を乞うひと」のすさまじさも忘れがたい。
本作は、肩の力を抜いて見られる大人のメルヘン。
ベテラン俳優の皆さんの安定感のある演技を得て、ゆっくり丁寧に作られた映画である。
伊豆の風景も美しい。

主演は小林聡美さん。
大林宣彦監督の「転校生」は1982年の作品というから、もう40年になる。
小林さんが出ているだけで、なんだか良質な映画っぽくなる気がする。
職場の同僚役に、平岩紙さんと江口のりこさん。
3人ともワケありの設定であるがそれを飲み込んで過ごしている。
彼女たちの軽妙なやり取りが楽しい。
松重豊さんが、「マディソン郡の橋」でのクリント・イーストウッド的存在で出演。
いい大人どうしの、ちょっと臆病な距離感にくすぐられる。

悪くない映画なのだが、
この設定でこの監督でこのキャストを得たなら、
もっとよくなってもいいような気もした。
ちょっと設定を盛り込み過ぎただろうか。

「ツユクサ」は、さわやかな気持ちになれる大人のおとぎ話。
悪くない、
そう悪くないのだが、
ズンと来るまでには至らなかった。

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