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不便だからこそ映画がいい ~ 時間がわからない、早送りできない、途中で立てない ~ [ヨモヤ]

日本経済新聞に、
「倍速ニッポン」
と題した特集記事が掲載された。
内容は、動画やオンライン授業を倍速で見る若者が増えていて、
いろいろなことをとにかく手早く済ませたい、
いいところだけ見れればいい、結果だけわかればいいと思っている人も増えている、
というものだった。

そこからすると、映画は最悪である。
時間は2時間きっちりかかってしまうし、
早送りはできないし、
ながらスマホもできない。
つまらないと思っても、ほかのものに切り替えることもできない。

しかし、だから、いい。
映画を観ながら、
「これ、ビデオで観てたら飛ばしてたな」
「テレビで観てたら消してたな」
と思うことがある。
しかし、映画館ではそうするわけにはいかない。
すると、段々面白くなってくることがある。
序盤の退屈なシーンにいろいろな意味が込められていたことがわかることもある。
(もちろん、最後まで面白くないこともしばしば起きるけれど)

2時間ドラマなら、残り時間との絡みで、
そろそろクライマックス、とわかる。
映画の最中は時計を見たりは普通はしないので、
どこか最後のヤマなのかわからない。
終わったと思ったらまだあった、
という驚きがある。
(もちろん、なんでもいいから早く終わってくれということもしばしば起きるけれど)

映画館で映画鑑賞。
2,000円で2時間。
暗闇に閉じ込められ、
ずっと座りっぱなし。
つまらなくても観続けるしかない。
コスパが悪いのかもしれない。
しかし、それが、いい。
大抵はがっかりするが、
たまに、一生心に残るような作品に巡り会う。
それが、いい。

今週末も暗闇で2時間。
いい出会いがありますように。

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映画評 「犬も食わねどチャーリーは笑う」 [映画評]

本作は、市井昌秀さんが監督・脚本を務められたコメディ。
仲睦まじく見えていた夫婦だったが、
実は妻がネットに不満を書き込んでいる。
それを知った夫は・・・
という展開。

もちろんタイトルは、「夫婦喧嘩は犬も食わぬ」という諺から来ている。
夫婦喧嘩は、放っておいてもどうせ仲直りするのだから犬も相手にしない、
という意味だが、この映画ではもうちょっとシリアス。
ちなみにチャーリーというのは、この映画に出てくるフクロウの名前。

夫役に香取慎吾さん、
妻役に岸井ゆきのさん。
ほぼ二人の映画である。
香取さんは役作りでもあっただろうが随分お太りになり、もとスーパーアイドルの面影はほぼない。
岸井さんは今年だけで出演する映画が5本も公開されるという売れっ子。
だって、岸井さんが出ているだけで映画がぐっとよくなるんだから、誰だって使いたくなる。
本作でも変幻自在。

贅沢にも?クライマックスが2回ある。
2回目の波が来るのには意外性はあったが、
ちとやり過ぎ。
コメディとは言え、
展開が唐突過ぎるし、説得力もなし。
せっかく1回目のクライマックスで絆が深まったのに、あんなに簡単に。
山がたくさんあった方が盛り上がりが持続するように思えるけれど、
心に響くかどうかという点では逆効果。
波は1回でよかったかも。

出演は、香取さん、岸井さんのほか、
井之脇海さん、的場浩司さん、眞島秀和さん、余貴美子さんら。
皆さんなかなかいい味を出されていた。
きたろうさんが美味しい役。
私の愛する「君が世界のはじまり」から中田青渚さん。
本作では今ひとつ輝かなかったかな。

「犬も食わねどチャーリーは笑う」は、岸井さんの演技を楽しむコメディ。
後半、ぶっ飛んだ展開になってしまい、そこはちょっと残念だが、まあ。
この映画を観て、「言われる前に、家事しっかりやろ」と思う男性諸氏は少なくないだろう。

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日本経済は相対的には意外と明るい [経済を眺める楽しみ]

物価高
円安
財政赤字
などなど、悪い面ばかりが伝えられる日本経済。
そんな話しか聞かされていないからそんな気になってしまうが、
今は世界各国が苦しい時期。
日本経済は、相対的には意外と暗くない。

株価を見ると、日本株も下がっている。
しかし、年初からの下がり幅は、
アメリカよりも、
中国よりも、
ドイツよりも緩やか。

なぜ株価が持ちこたえているか。
円安の要因もあるだろうが、日本の景気が相対的に悪くないと見られているのも一因ではないか。
OECDの見通しによれば、2023年の成長率見通しは、
アメリカ0.5%、
ユーロ圏0.3%
に減速するのに対し、
日本は1.4%と見込まれている。
日本の成長率が欧米を上回ると予想されているのである。

投資先としての日本はどうか。

円安が進んでいるのをみて、ひろゆきさんは
「労働人口は毎年減っていきますが介護職員は5万人づつ増えていくそうです。
そんな国に投資したい?」
とつぶやかれたそうだ。
円が売られるのも当然で、
海外勢が日本に投資する意欲はわかないだろう、
という意味であろう。

実際海外からどう思われているか気になるが、
経営コンサルティング会社A.T. カーニーの海外直接投資信頼度指数によれば、
日本は世界で第4位に位置付けられている。
投資先として十分魅力があると見られているようだ。(1位はアメリカ)

こうして日本が評価されている情報を集めると、
そういうところに逃げ込んでいる、とか言われたりするらしい(なんでだ?)。
現実から逃げていると言われたりもする(なんでだ?)。
しかし、事実は事実。
世界経済が苦境に陥っていくなかにあって、日本経済が相対的には評価されているのが今の局面である。

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映画評 「ONE PIECE FILM RED」 [映画評]

私はワンピースのファンではないし、
予告編もピンと来なかったし、
観た人のレビューもあまりよくなかったので、
本作を観るつもりはなかった。
しかし、興行収入が日本歴代ベスト10にも入ろうかという大ヒットであるなら、
喰わず嫌いはよくないかと思い直した。

とは言いながら、ほとんど期待はしていなかったのだが、
それなりに楽しめた。
なぜこんなに大ヒットしているのかはわからなかったけれど。
今作については、大真面目に批評するようなものでもないのだろう。
楽しめる人が楽しめばいい、という映画。
クオリティはさておき。

ワンピースについてはほとんど観ていないのでその世界観はよくわからないが、
本作の世界観はプリキュア。
プリキュアにこういう話、ありそうである。
見たことあるような気さえする。

主要キャラクター総出演的なにぎやかさがあり、
ファンにとっては楽しいのかしら。
知らない人にとってはさっぱり伝わらないけれど。

よかったところを挙げろ、と言われたら困る。
面白かったか、と言われても困るが、
最高につまらなかっただろ、と言われたら、さすがにそんなことはない。
誰かに勧めるか、と言われたら、それはまあ、はい。

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NISAをやれば自然に資産が増えるわけではない [経済を眺める楽しみ]

岸田首相が、ニューヨーク証券取引所で講演され、
時限措置のあるNISAについて「恒久化が必須だ」と表明された。
首相が外国での講演でおっしゃったのだから、この方向で進むのだろう。

現在のNISAには課題があるというか、課題だらけである。
日本の制度にはよくあることだが、
つぎはぎや細かな改正の積み重ねでなんだかわからなくなっている。
わかりやすい問題点は、
・期間限定のため、投資のタイミングが難しく、長期投資にも向いていない
・金融商品の入れ替えができず使い勝手が悪い
・他国と比べて、上限が低い
・NISAの種類がいくつもあってわかりにくい
などである。
今回の恒久化とそれに伴うもろもろの改正で、
わかりやすく使いやすい制度になるだろうか。

報道では、NISAについて
「新しい資本主義の柱」
とされていたりするのだが、NISAが柱ではあまりにも細い。
当たり前だが、NISAをやれば資産が増えるというわけでもなんでもないからだ。

NISAの利点は、金融商品から得られる利益が非課税になることだが、
逆に言えば、それだけのことである。
100万円をNISAに入れて120万円になった場合、
通常なら利益分の20万円から20%の税金を払わなければならないが、
NISAならそれがゼロになる。
ありがたいと言えばありがたいが、ただそれだけのことである。
NISAにお金を入れれば自然に増えていくわけではないし、
株価が下がったら何のメリットもない。

NISAが恒久化されること、
ややこしい仕組みがなくなること、は大いに歓迎である。
是非実現していただきたい。
遅過ぎるとは言えるけれど、直さないよりずっとずっといい。
しかし、それで新しい資本主義が到来するかというと、
そんなことがあるわけはない。

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映画評 「沈黙のパレード」 [映画評]

東野圭吾さんのガリレオシリーズの映画化。
2008年の「容疑者Xの献身」、2013年の「真夏の方程式」に次ぐ3作目となる。

私はガリレオシリーズのファンでもなんでもなく、
テレビドラマも全く見ていなかったが、
映画化された2作には楽しませていただいた記憶がある。
どんな話だったかさっぱり覚えてはいないけれど。
今作はどうか。

よく知らない私が言うのもなんだが、
このシリーズの面白さは、捜査とは門外漢の物理学者が、
その専門知識を使って真相に迫る点なんだろうと思う。(ですよね)
本作では、科学者である必要があまり感じられない。
湯川先生が主体的に活躍し、謎解きもしてしまう。
単なる探偵ものになってしまっている。
事件の全貌も、
「はぁ?」
と言わざるを得ない意味不明の力業。

悪役に得体のしれない怖さも感じないし、
設定もなんだか雑。
謎解きの面白さもほとんど感じられず。
突っ込みどころも満載で、
真面目に観ると力が抜ける。

主演はもちろん福山雅治さん。
相変わらずカッコいいが、さすがにこの作品では輝けない。
柴咲コウさん、北村一輝さんはなおさら。
お二人のよさはまったく引き出されず。
被害者の父役の飯尾和樹さんはなかなかいい味。
岡山天音くんが、「キングダム2」「さかなのこ」「百花」に続いて出演。
このところ引っ張りだこである。
本作ではへんてこりんな役を振られたが。

似たような設定の映画として「検察側の罪人」を思い出した。
このときの悪役で出演していたのが酒向芳さんだったが、本作では趣の違う立場。
さすがの存在感だった。

本作は、監督も脚本もこれまでと同じだというのに、
どうにもイケてない作品になってしまった。
一定のヒットが約束された作品なので、邦画としてはまずまずお金をかけている感があったが、
それが有効に使われたとはとても思えない。
いやはや実にもったいない。

本作の感想を観終わると、多くの人が登場人物の名セリフをもじって、
「実に面白くない」
とつぶやくことと思う。

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強打者を歩かせるのはいずこも同じ [ヨモヤ]

ヤクルトの村上が、歴史に残るシーズンを過ごしている。
すでにホームランは55本に達し、日本人として歴代最多タイであり、
5打席連続ホームランという新記録も打ち立てた。
2年連続のMVPはすでに確定的で、
18年ぶりの三冠王も視野に入っている。
「村神様」という言葉は流行語大賞にも選ばれそうだ。

さて、ここに来て毎試合報道されるのが村上へのフォアボールでのブーイング。
村上のホームランを楽しみに球場に足を運んでいるファンとしては、
ブーイングしたくなる気持ちもよくわかる。
ただ、こういうときに必ず出てくる勘違い、
「メジャーなら真っ向勝負するのに」
には、そんなことはまったくないとお伝えしておきたい。

記憶に新しいのは、去年終盤の大谷に対する四球の連続。
2021年9月24日の試合では1試合に4四球。
3試合合計で11四球という徹底した避けられ方だった。

なにより強烈なのは、シーズン最多ホームラン記録を持つバリー・ボンズからの逃げ方。
最盛期の2004年には、
年間四球数232、
敬遠数は120に上った。
その年、ボンズの出場した試合数が147だから、ほぼ毎試合2つの四球があり、
そのうち1つは敬遠だったことになる。
メジャーが真っ向勝負などというのは勘違いである。

四球が増えるのは強打者ならば仕方がない。
全打席勝負を避けられるわけではないので、
限られたチャンスを活かすしかない。
それは日本でもアメリカでも同じこと。
むしろ勝負を避けると決めたら徹底して避けるのはアメリカの方である。

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再生数3,000万回超の港町ブルース [ヨモヤ]

YouTubeやTikTokをきっかけに、1980年代の日本のシティポップが注目されている。
代表例は、
竹内まりやさんの「プラスティック・ラヴ」や
松原みきさんの「真夜中のドア〜Stay With Me」。
日本人が忘れていた楽曲を掘り起こして
世界中の人が聴いてくれているところが面白い。

さて、森進一さんの大ヒット曲に「港町ブルース」という歌がある。
歌詞に全国各地の港町を織り込んでいるのだが、
情景が浮かんでくるようだ。
「背伸びして見る海峡」という出だしからしびれる。
演歌らしく、女心の切なさも伝わってくる。

「港町ブルース」をYouTubeで検索すると、
森進一さんバージョンよりはるかに多く再生されているものがある。
NHKの番組で、
島津悦子さん、五代夏子さん、八代亜紀さん、松原のぶえさん、石原詢子さんの
5人が共演した際の映像である。

UPしたのは中国の方らしく、コメント欄にも中国語が目立つが、
ほかにも
英語はもちろん、
ロシア語、スペイン語、韓国語も見られる。
どういうわけか、日本語はほとんどない。
そしてこの動画が3,000万回以上再生されている。
世界中で日本の演歌が聴かれているというのは、なんだか嬉しい。
何度聴いても飽きない。

よろしければこちらからご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=d0Zdar4SPhA

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映画評 「雨を告げる漂流団地」 [映画評]

本作を撮った石田祐康監督の前作「ペンギン・ハイウェイ」は、素晴らしい作品だった。
面白くて、切なくて、心に残る一本となった。

その「ペンギン・ハイウェイ」の石田監督の新作なのだから世の中的にもっと大きく取り上げられてもいいように思うが、
意外にひっそりと公開。
そういうものだろうか。
真っ当に評価されていないように感じる。
残念。

というわけで、個人的には非常に大きな期待を持って観に行ったのだが、
「ありゃりゃ?」
オリジナル脚本ということで気合の入った作品なのだと思うけれど、
どうにも空回りしている。

子どもが主人公、
現実味のかなり薄いSF、
というしつらえは「ペンギン・ハイウェイ」と同様。
しかし、ペンギンではビタビタはまった演出が、本作ではまったく決まらない。
子どもたちの関係性もイマイチだし、
とんでもないことが起きた理由も意味も、
なんだかよくわからない。
同じようなことでワーワー言う流れも心地よくない。

序盤はそれでもまずまずだったのだが、途中からはずっとしんどい感じ。
ラストもなんだか。

「ペンギン・ハイウェイ」という作品を届けてくれた恩は忘れないので、
石田監督の次回作にはもちろん期待する。
それが駄目でも、その次の作品を期待する。
のだが、さすがに今回はがっくり。
いいところが見つからない。
ペンギンとの格差はあまりにも大きい。
やはり2作連続で快作を生み出すことは難しいようだ。
「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督しかり。

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供託金制度は必要か [ヨモヤ]

畠山理仁さんが書かれた「黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い」という本を読んだ。
マック赤坂さんを筆頭に、選挙に出てもほとんど報じられない候補者の奮闘が描かれている。
(その後マックさんは、2019年港区議会議員選挙において14回目の出馬で初当選)

この本の中で、供託金の問題が取り上げられていた。
多くの候補たちが、有り金をはたいたり借金をしたり、大変な思いで供託金を払っていた。

供託金として払う金額は選挙によって異なっていて、法定得票数に達しない場合は全額没収される。
立候補する権利を抑制しているように見えるが、
売名や泡沫候補の乱立を阻止するための制度として、合憲とされている。
具体的な金額は、
国会議員や知事選挙で300万円、
市区長選挙で240万円、
市区議会議員選挙で30万円、
といった具合である。

私も、供託金は当然あるものとして受け入れていたが、国際的にはそうでもないようだ。
Wikipediaに各国の状況が掲載されており、そのうちG7各国を見ると、
アメリカ:なし
ドイツ:なし
イギリス:約8万円
フランス:なし
イタリア:なし
カナダ:約10万円
という具合であった。

つまり、G7の7カ国中、4カ国は供託金制度がなく、
供託金制度がある3カ国のなかで日本が断然高い、
ということになる。

供託金制度がないと、立候補者が乱立することにならないかと心配になるが、
そのとおり、乱立するようだ。
例えば前回のアメリカ大統領選挙では1,214人が立候補していたという。
それで混乱しないのかと思うし、事務的な労力も相当なものになるだろうと思うが、
立候補する権利や自由を確保するためには当然受け入れるべきコストととらえているのだろう。

供託金制度があることによって現役の長や議員が守られている面があると考えると、
この制度をなくそうとするインセンティブは極端に少ないと思われる。
ゆえに、ずっと同額で続きそうだ。
さて、それでいいのかしら。
あれ、よくないんじゃないかしら。

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