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2022年の邦画を振り返る ~ その3 困った映画たち ~ [映画評]

2022年も月10本くらいのペースで日本映画を観た。
いい映画に巡り合いたいと思い、
それなりに選んで観に行っているつもりなのだが、
去年もやっぱりがっかりが多かった。
がっかりが多くても、大当たりもそれなりにあれば救われるのだが、
そちらも少なかった気がする。

「テーマソング」「概観」に続く邦画振り返り企画の3回目は、
「困った映画たち」
について書いてみようと思う。

まず、トンデモ映画としてぶっ飛ばされたのは
「麻希のいる世界」
という作品。
ご覧になった方は少ないだろうけれど。
「さよならくちびる」という佳作を送り出した塩田明彦監督がなんちゅう映画を。

いい作品を送り出された監督の次回作でがっかりしたと言えば、
「雨を告げる漂流団地」。
大好きな「ペンギン・ハイウェイ」を撮られた石田祐康監督の新作ということで思い切り期待したのだが、ううむ。

監督さんで期待して観に行ってがっかりシリーズでは、
「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督による
「ポプラン」
を挙げないわけにはいかない。
「カメ止め」以来、連続してハズシまくっておられる上田監督。
そろそろ頼みます。

河瀬直美さんが監督ということで期待していた東京オリンピックの記録映画。
評判も興行も散々だったが、特に、
「東京2020オリンピック SIDE:B」
は、ご勘弁いただきたい作品だった。

覚悟していたよりは面白く、観ているときはまずまず楽しめたものの、
しばらくしてから、こういう映画がこんなにヒットしていいのかというなんとも言えない感覚になったのが、
「ONE PIECE FILM RED」。
映画としてマジになって語る作品ではないのかもしれないが、
アニメ界の才能が結集しての出来栄えに、なんとも寂しい気持ちにさせられた。

プロデューサーして数々の大ヒット作を世に送り出してきた川村元気さんが監督をされた
「百花」
も寂しい出来栄え。
当然のことながら、プロデュースと監督は全く違う。

つまらなかった作品は、
まだまだ挙げだしたらキリがない。
有名どころでは
「大怪獣のあとしまつ」
「ブラックナイトパレード」
「沈黙のパレード」
「鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー」
あたり。
どこでどう間違ってしまったのやら。

つまらなくても、
「その意気やよし」
ならまだいいのだが、
小さく当てに行って、なおかつつまらないとなると何もいいところがない。

映画を作れるのは、
ごく一部の限られた方たちのみである。
是非、観る側をあっと言わせるような作品を届けてほしい。
こんなことよく思いついたな、
とうなるような企画を届けてほしい。
それは決して無理な望みではないと思う。

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建設的とは思えない首相の「育児中の学び直し」をめぐる議論 [ヨモヤ]

国会における岸田首相の「育児中の学び直し」についての答弁に、
なにやら強烈なツッコミが入っているらしい。
ネットにもいろいろ書き込みがあるようだし、
立憲民主党の蓮舫参院議員は
「育児の現実、両立の不安を知らない答弁を止める人が岸田総理の周辺にいないの?」
と投稿され、
共産党の小池書記局長は
「育休中にリスキリング。育休中は子育てと格闘しているときに、できるわけがない」
とおっしゃったそうだ。

ここまで言われるとは、
育児中に学び直しを義務付けるとでもおっしゃったのかと思いきや、
まったくそんなことはない。
やり取りはこんな感じであった。

【質問】
産休・育休中のリスキリングによって、一定のスキルを身につけたり、学位を取ったりする人々を支援できれば、子育てによるキャリアの停滞を最小限にし、逆にキャリアアップが可能になることも考えられる。
リスキリングと産休・育休を結びつける企業を国が支援すれば、親が元気と勇気をもらい、子育てにも仕事にも前向きになれるのではないか。

【岸田首相】
リスキリングへの支援を抜本的に強化していく中で、育児中など様々な状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々をしっかり後押ししていく。提案を参考にしながら取り組みを進める。

首相は、育児中に学び直しを行うことを前提とされているわけではなく、
いろいろな状況に合わせて対応をしていくべきであり、
その一環として育児中であってもできる後押しはしていく、と述べられている。

この答弁に批判が集まっているということは、
答弁内容がよろしくないと考えておられることになる。
となると批判している人は、
以下のような答弁がふさわしいと考えておられるのだろうか。

案1
「産休・育休中の親にリスキリング支援を行う企業があっても、国は支援を行いません」
案2
「産休・育休中の親にリスキリング支援を行う企業があるかもしれませんが、産休・育休中はそんな余裕があるはずがないので、国はそれを奨励しませんし、支援もしません」
案3
「趣旨はわかりますが、産休・育休中にリスキリングをしようと考える方がおられるとは思えないですし、現実的に不可能だと思いますので、国としても支援は考えていません。
案4
「なにをおっしゃっているのですか。産休・育休中は、そんな余裕は全くなく、学ぼうという人がおられるはずがありません」

さて、子育てを経験された方、周りに子育て中の方がおられる方ならおわかりかと思うが、
子育ては人それぞれである。
悪戦苦闘となってしまう方もおられれば、
軽やかにこなされる方もおられる。
そして、やたらと手がかかる子どももいれば、
拍子抜けしてしまうほどに手がかからない子どももいる。

産休・育休中に子育て以外に何の余裕もないと決めつけてしまうのは、
産休・育休中に何かを学ぼうと思う人がいるはずがないと決めつけてしまうのは、
それこそ現実とは離れているし、
ちょっと失礼であるようにも思う。
また、これから子どもを作ろうという方はこの議論を聞いてどう思うだろう。
子育てに前向きになれるだろうか。

明るい未来を作るための少子化対策・子育て支援なのに、
どうしてこんな議論になってしまうのだろう。
やれやれ、
というより、
かなしい。

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映画評 「マリッジカウンセラー」 [映画評]

わかりやすい映画が好きだ。
しかし、わかりやすくて面白い映画を作るのは、実は簡単ではない。
わかりやす過ぎて、先が見え見えではつまらないし、
ご都合主義が過ぎるストーリーでは興醒めである。
期待どおりに進ませながら、なおかつ楽しませ続けるというのは、実は大変なことである。
大抵は妙にこねくり回して失敗する。

わかりやすくて思い切り楽しめた映画と言えば、
「Bの戦場」
という作品を思い出す。
そう言えば、こちらも結婚がテーマであった。

本作は、結婚相談所にまつわるあれやこれやを描いたコメディ。
不動産会社のモーレツ社員だった男が結婚相談所への出向を命じられ、
最初は馬鹿馬鹿しいと思っていたが、段々その意義に目覚め、
失敗を重ねながらも奮闘する。
主演の渡辺いっけいさんが、実にわかりやすい演技で盛り上げてくださる。
渡辺さんは、この映画の舞台となっている愛知県の豊川市の出身とのことで、
故郷に錦を飾られた格好である。
ヒロイン役に、松本若菜さん。
綺麗過ぎるのが欠点と思われる松本さんだが、年を重ねるにしたがって女優さんらしくなってきた。
これからますますの活躍が期待される。

「こうなるだろうな」
「こうなったらいいな」
という期待にほぼほぼ応えながら物語は進み、
最後まで楽しいまま映画は終わる。
観てよかったと思わせてもらえる映画である。

わかりやすくて、
先が読めて、
なおかつ楽しかった。

出演は、いっけいさん、若菜さんのほかに、
宮崎美子さん、青山倫子さんなど。
我が愛する「ちはやふる」組から、坂口涼太郎さんが相変わらず癖の強い役を演じる。

監督の前田直樹さんは、いっけいさんと同じく愛知県の出身。
しかし、ご当地映画というより、純粋に娯楽作として楽しめる。

「マリッジカウンセラー」は、楽しい映画。
傑作、というのとはちょっと違うけれど、こういう映画があるのは嬉しい。
人を好きになる素晴らしさを思い出させてくれる。

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少子化問題の「当事者」とは [ヨモヤ]

岸田首相が、少子化問題に本気で取り組む姿勢を強調しておられる。
施政方針演説でも、かなりの部分をこの問題に割かれた。
具体的にはこんな感じである。

・・・ 施政方針演説引用 ・・・
「急速に進展する少子化により、昨年の出生数は80万人を割り込むと見込まれ、わが国は、社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際と呼ぶべき状況に置かれています。子供・子育て政策への対応は、待ったなしの先送りの許されない課題です。
子供ファーストの経済社会をつくり上げ、出生率を反転させなければなりません。
こども政策担当大臣に指示した、3つの基本的方向性に沿って、子供・子育て政策の強化に向けた具体策の検討を進めていきます。高等教育の負担軽減に向けた出世払い型の奨学金制度の導入にも取り組みます。
検討に当たって、何よりも優先されるべきは、当事者の声です。まずは、私自身、全国各地で、子供・子育ての「当事者」である、お父さん、お母さん、子育てサービスの現場の方、若い世代の方々の意見を徹底的にお伺いするところから始めます。年齢・性別を問わず、皆が参加する、従来とは次元の異なる少子化対策を実現したいと思います。
・・・ 引用終わり ・・・

当事者の声を聞くのは、至極もっともであるように思えるが、
政策を進めるうえで「誰が当事者なのか」を見極めることが大切である。
今回の場合、
「子育て」の当事者であれば、子どもを持っている親御さんに聞けばいいかもしれないが、
「少子化」の当事者は別におられるのではないだろうか。

子育て中の方は、子育て政策の充実を求められるだろう。
それは児童手当の充実かもしれないし、保育施設の整備かもしれない。
それはそれで必要なことだと思うが、
従来から進めてきたことであり、
少子化を止めるには至らなかった政策である。

額を増やす、
という発想もあるかもしれないが、
それではとても「次元異なる政策」とは言えないだろう。

少子化対策に政府が本気になる、
というのは遅きに失していようがなんであろうが大切なことで、
うまくいくことを願っている。
しかし、ここまで伝えられている内容は、
これまでやってきたこと(失敗してきたこと)の延長線上にあり、
うまくいくイメージが全く持てない。

子育て予算が大幅に膨らみ、
金額だけは積み上がったが、
「次元の異なるバラマキ」
に終わってしまった、
などということにならないように願っている。
ここまでの議論では、不安な思いにしかならないけれど。

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「野球」のWBCでの優勝を心から祈る [ヨモヤ]

2006年に開催された第1回のWBCで、
日本チームは見事に初代王者の栄冠を勝ち取った。
私は自分でも驚くほど興奮し、感激した。
自分のことでもない、
身内のことでもないことで、
こんなに嬉しい気持ちになれるものかと驚いた。

第2回大会でも日本は優勝し、連覇を果たした。
決勝戦でのイチローの決勝打は、
日本スポーツ史に燦然と輝く名シーンである。

第3回、第4回大会は、惜しくも準決勝で敗退。
それでも4大会すべてでベスト4に入っているのは日本だけだから、
これまでのWBCでは、十分に野球大国の力を見せてきたと言えるだろう。

いよいよ第5回大会が近づいている。
これまでも大きな注目を集めてきたが、
今回はさらに関心が高まっている感がある。
その一番の理由は、何といっても大谷の参加であり、
ダルビッシュ、鈴木といったメジャー組の加入である。
アメリカやドミニカもメジャーのスーパースターが集結する模様であり、
世界一決定戦にふさわしい戦いが見られそうである。

正式に日本代表のメンバーが発表されたが、
今回の日本チームは、過去最強と言われているようだ。
おそらく投手陣のことを指しているのだろう。
先発の4人が、
大谷、ダルビッシュ、山本、佐々木
というメンバーなので、そういう触れ込みになるのもわかる。
ただ、球数制限もあり、先発がよければ勝てるというものではないこと、
抑えが決まっていないこと、
セットアッパーの専門家や左キラー的存在が希薄なことなどが気になる。

また、過去の大会において、負けた試合は打てなくて負けているので、
投手陣がいくらよくても勝ち切れない心配はある。
強いボールを投げる左投手や
力任せに投げてくる投手などを攻略できるだろうか。
走れる選手が集まっているというわけでもないので、
打てないときの試合運びに不安が残る。

勝負は時の運であり、
優勝を心から祈るけれど、
そうは行かないこともあるだろう。
それでも、準決勝まではなんとか行ってほしい。
ベースボールとは異質の進化を遂げた
「野球」の力を見せてほしい。

見ているこちらの心臓が飛び出る戦いまで、
あと2月足らず。

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日本アカデミー賞 「ハケンアニメ!」のノミネートは嬉しい [映画評]

日本アカデミー賞のノミネートが発表された。

例年、ノミネートされた作品や俳優さんたちを眺めていると。
「なんでそれを選ぶかな?」
「なんであれを選ばないかな?」
という「?」が頭に浮かびまくる。

今年も、そうした感想を持たないわけではない。
しかし、この一点ですべて許せてしまう。
私の大好きな「ハケンアニメ!」への高評価である。
「ハケンアニメ!」は、優秀作品賞をはじめ、
優秀監督賞、優秀主演女優賞、優秀助演男優賞、優秀助演女優賞に選ばれている。
これは素直に嬉しい。

私が去年複数回観た映画は、
「ハケンアニメ!」と「恋は光」の2本だけ。
残念なことに、この2本とも興行的には成功しなかった。
作り手の思いのこもった作品が、
掛け値なく面白い作品が、
多くの人に知られないまま埋もれて行ってしまうのは悲しい。
だから、このノミネートは嬉しい。

「ある男」が最多のノミネートとなっていて、
おそらく作品賞でもこれが本命になるのであろう。
いかにも、日本アカデミー賞っぽい感もあるし。
「ハケンアニメ!」が獲ったら素敵なことだと思うが、
そんな痛快な話はないだろうか。
あったらいいのだが。

※主なノミネート作品は以下のとおり。

■優秀作品賞
ある男
シン・ウルトラマン
月の満ち欠け
ハケンアニメ!
流浪の月

■優秀監督賞
石川慶『ある男』
小泉堯史『峠 最後のサムライ』
樋口真嗣『シン・ウルトラマン』
廣木隆一『月の満ち欠け』
吉野耕平『ハケンアニメ!』

■優秀主演男優賞
阿部サダヲ『死刑にいたる病』
大泉洋『月の満ち欠け』
妻夫木聡『ある男』
二宮和也『ラーゲリより愛を込めて』
松坂桃李『流浪の月』

■優秀主演女優賞
岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
のん『さかなのこ』
倍賞千恵子『PLAN 75』
広瀬すず『流浪の月』
吉岡里帆『ハケンアニメ!』

■優秀助演男優賞
柄本佑『ハケンアニメ!』
窪田正孝『ある男』
坂口健太郎『ヘルドッグス』
目黒蓮『月の満ち欠け』
横浜流星『流浪の月』

■優秀助演女優賞
有村架純『月の満ち欠け』
安藤サクラ『ある男』
尾野真千子『ハケンアニメ!』
清野菜名『ある男』
清野菜名『キングダム2 遥かなる大地へ』
永野芽郁『母性』
松本穂香『“それ”がいる森』

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映画評 「イチケイのカラス」 [映画評]

テレビドラマの映画化、
というと、いい顔をしない映画ファンも少なくないと思うが、
雑食の私はなんでも観る。
「コンフィデンスマン」シリーズのように面白い映画もあるし。
本作の監督は、コンフィと同じ田中亮さんだし。

ドラマ版は未見。
映画になるくらいだからそれなりの人気作だったのだろうと思うが、
どんな話かも全く知らなかった。

映画は、というと、
残念。
典型的なドラマからの映画化の失敗パターン。
スクリーンのサイズに合わせてなのか、
金を取る以上、話を大きくしなきゃと思うからなのか、
予算が大きくなったから、つい、なのか、
やたらと風呂敷を広げ、
収拾はつかず、興味も湧かず、説得力もなく、
という例の奴。

フジのドラマらしい軽いノリと豪華キャストも、
ふわふわした脚本のもとに大きなスクリーンで観ると空回る。
黒木華さんの演技でなんとか持たせるが、
正直しんどい。
主演の竹野内豊さんを含め、
残念ながら印象的な演技をされる方も見当たらず。
あれだけのメンバーをそろえてもったいないところだが、
まあ、よくあること。

ただ、ひょっとしたらドラマファンにはある程度刺さるのかもしれない。
まあ、だったらいいか。
私のような門外漢は最初から相手にされていないのだとすれば、
まあ、だったらいいか。
別にいい作品を作る気なんか最初からなくて、一定の人が観てくれればいいと思っていたのだとすれば、
まあ、だったらいいか。

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2022年の邦画を振り返る ~ その2 概観 ~ [映画評]

勝手に2022年の邦画を振り返る企画の第2回。
1回目は「2022年映画音楽大賞」として、
「ちょっと思い出しただけ」より「ナイトオンザプラネット」を勝手に選ばせていただいた。
2回目の今回は、概観。

2022年はコロナ禍3年目。
映画館が閉鎖されたりすることはなく、
座席制限もなく、
ほぼほぼ通常営業に戻った。
しかし、撮影の苦労は相変わらずだったと思う。
同時期に同じ監督さんや俳優さんの作品が重なったのも、
そのあたりが影響したのだろうか。

アニメ作品が強いのも相変わらず。
邦画の興行収入ランキングはこんな感じであった。

1 ONE PIECE FILM RED
2 すずめの戸締まり
3 名探偵コナン ハロウィンの花嫁
4 THE FIRST SLAM DUNK
5 キングダム2 遥かなる大地へ
6 シン・ウルトラマン
7 余命10年
8 沈黙のパレード
9 コンフィデンスマンJP 英雄編
10 映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争

アニメ&大作が並ぶなか、ちょっと毛色が違うのが
「余命10年」。
十年一日のごとき昔ながらの難病ものだが、ニーズがあるということなのだろう。

2022年は、残念ながら、
映画ファンをうならせつつ、大衆的なメガ人気も獲得するという作品はあまりなかった。
もちろん、いい作品もあるにはあったが、
全体として低調な一年だったと言わざるを得ないと思う。
ヒットする、しない、は、やってみなければわからないところもあるが、
予告編の段階から「観たい」と思わせてくれる作品が少ないのは悲しいことである。
邦画ファンとして、
もう少しなんとかならないか、
と言いたくもなる。
作り手からすれば、
思い切った企画を上げてもお金が集まらない、
やっと企画を通していい作品を作っても、
アニメじゃないと、わかりやすい話じゃないと客が集まらない、
ということかもしれない。
しかし、映画はもっと遠いところに私たちを連れて行ってほしい。
それは必ずしも大作を作ってほしいというのではない。
アイデアで世界は変わるということを証明してほしい。

そんななか、
メガヒットを義務付けられ、そこに正面から立ち向かいながら、
表現者の矜持も守り抜いた新海誠さんに感服した。
70歳を超えた原田眞人監督のたぎる思いが炸裂した「ヘルドッグス」にも興奮したのだが、
こちらは興行的な成功にはつながらなかったようだ。
「シン・ウルトラマン」も期待に応える作品だった。
「マイスモールランド」の川和田恵真さんをはじめ、今後に期待が高まる若手監督が出て来たのは明るい希望だった。

総合的に振り返れば、
2022年が、邦画にとって収穫が多い年だったとは言い難い。
2023年は、あっと驚く作品、まぶしさに目を細める才能に数多く出会いたいものである。

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後夜祭でライディーン [ヨモヤ]

1980年代初頭。
高校の後夜祭でYMOの「ライディーン」で踊ることが流行った。
はずだ。
ひょっとしたらごくごく局地的なムーブメントだったかもしれないが、
「ライディーン」をうまく踊れるかどうかが、
女子とコミュニケーションを図るうえでやたらと重要である時期があった。
ほかにも、「ジンギスカン」とかも流れたが、ちょっとこちらはコミカルな面もあり、
本命は「ライディーン」だった。
竹の子族の影響もあったのかしら。

YMOがデビューしたのは、
私が後夜祭で踊る数年前のこと。
気の利いた友人たちは、
「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」
「増殖」
といったアルバムを聞いていた。
それに感化されて
「いいものもある、悪いものもある」
といったフレーズが飛び交っていた。

私は、YMOには深入りしなかったし、
坂本龍一さんにも、細野晴臣さんにものめり込まなかった。
3人のなかで、一番普通っぽい高橋幸宏さんになんとなく興味は持ったが、
だからといって追いかけることもなかった。
「ライディーン」を書いたのが高橋さんだったこともあとから知った。

高橋幸宏さんが、70歳でお亡くなりになられた。
ファンからだけでなく、
ミュージシャンからも慕われた、粋な方であった。

この映像はいつまでも変わらぬYMOらしさにあふれている。
カッコいいって、こういうことかも知れない。
https://www.youtube.com/watch?v=yFtOfwlGWOA

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盛岡の皆さん、おめでとうございます [お役所内案内士]

アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が「2023年に行くべき世界の52カ所」を発表した。
そこで、ロンドンに続き2番目に紹介されたのが、
岩手県の盛岡市である。
日本の52カ所、ではない。
世界の52カ所、である。
この記事を読んで、早速盛岡を訪れている外国人観光客もおられるようだ。

盛岡が選ばれた理由としては、
・東京から新幹線で数時間で行ける
・大正時代に建てられた和洋折衷の建築や現代的なホテルのほか、伝統的な旅館がある
・城跡が公園になっているなど、歩いて楽しめる街である
・川が流れ、自然に満ちている
・車で1時間ほど走ると素晴らしい温泉がいくつもある
などが挙げられている。
「東京から新幹線で数時間」と言い出したら、
日本中の多くの都市が当てはまると思うが、まあそれはそれとして。

なんでも盛岡は、古い街並みを残すためにコツコツ取り組んできたのだそうだ。
コロナ前、国中がインバウンドで沸いているときも、
正直なところ盛岡がそれほど盛り上がっている感はなかったが、
目先のことにとらわれず地道に取り組んできたということなのだろうか。
地盤が強いことから、東日本大震災に見舞われても建物の倒壊はほとんどなく、
江戸、大正、明治と様々な時代の建物が点在しているのだそうだ。

盛岡を選んだ記者が、
「隠れた宝石のような街」
と表現したそうだが、
これほどうれしい誉め言葉もなかなかないだろう。

オーバーツーリズムになってしまうとせっかくの宝石が曇ってしまうかもしれないが、
世界中からちょうどいいくらいのお客さんが来られたら盛岡も大歓迎だろう。(それが難しいのだが)
盛岡の皆さん、まずはおめでとうございます。

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