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植田総裁 エコノミスト採点は77点 [経済を眺める楽しみ]

日本銀行の植田和男総裁が就任1年を迎えるに当たって、
産経新聞と日本経済新聞が主要エコノミストにアンケートを行った。
産経新聞が20人、日本経済新聞が16人と人数にばらつきはあるが(ダブっている人も少なくないが)、
点数はお揃いの77点。

特に合格点が設定されているわけではないが、77点はなかなかの高得点。
植田総裁の1年間は順調な滑り出しだったと言えそうだ。

前任の黒田氏がサプライズを好み、
「黒田バズーカ」などと呼ばれたのと対照的に、
植田総裁は市場と丁寧にコミュニケーションをとりながら政策を進めている。
評価する声の中にも、
「サプライズを起こすことなく、事前に市場に織り込ませるよう努力している」
との指摘があった。

また、慎重さが評価される一方で、
「政策判断は大胆で思い切りが良い」
との意見もあった。

もちろん、評価する声ばかりではない。
マイナス金利の解除は時期尚早とし、
「日銀の金融政策の変更は拙速」
との意見もある。
逆に、マイナス金利解除が遅いという考えもあり、
もっと大胆に行動すべきとの提言もなされている。

政府が日銀に頼り過ぎている、
との指摘もあるが、政府が頼ろうと頼るまいと、
日銀の金融政策は大切なもの。
黒田氏がよかったのは、
それまでの日銀総裁と違い、
しっかり責任をかぶってやり遂げようとしていたところだと思う。
政策の方向性は違っても、
その覚悟は引き継いでいただきたい。

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日銀が金利を上げようとする一方で世界は利下げへ [経済を眺める楽しみ]

日本銀行は、2024年3月の金融政策決定会合において、
マイナス金利政策を解除し、17年ぶりの利上げを行うことを決定した。
いわゆる「金融政策の正常化」は、これで終わりというわけではなく、
さらなる利上げに向かっていくのだろう。
慌てず、時間をかけてということになるとは思うが。

一方、世界の動きは真逆である。
つまり、利下げの方向に動いている。

3月21日、スイス国立銀行は、主要金利を25ベーシスポイント引き下げ、1.50%とすると発表した。
主要中央銀行としては、現在の局面で初の利下げということになる。
しかしこれはスイスに限った話ではなく、
欧州中央銀行もアメリカも利下げに向かっている。

このうちアメリカは、
予想以上に経済が強くインフレも進んでいることから、
利下げの時期が遅れる可能性が指摘されている。

また、アメリカが利下げしている時期に日本が利上げをするとなると、
ダブルで影響が拡大するので、
タイミングが難しい面もありそうだ。

日本銀行としては、
まずは正常な水準に金融政策を戻したいところだろうが、
経済環境がそれを許すかどうかは微妙。
世界の中央銀行で最も舵取りが難しいのが日本銀行ではないだろうか。

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経済の重大事件 自分が選ぶなら [経済を眺める楽しみ]

日本経済新聞土曜日の別刷り「NIKKEIプラス1」では、
「何でもランキング」として毎週いろいろなベスト10が紹介されている。
例えば、
「文豪気分で散策 東西の名湯10選」
「『昭和』にタイムスリップ? おすすめ体感スポット10選」
など様々である。

2024年3月30日付紙面では
「知っておきたい50年の経済史」
と題して、ここ50年間での経済関係での世界の大ニュースが紹介されている。
ランキングは以下のとおりである。

1位 ニクソン・ショック(1971年)
2位 世界金融危機(2008年)
3位 ベルリンの壁が崩壊(1989年)
4位 第4次中東戦争(1973年)
5位 日経平均、3万8915円に(1989年)
6位 WHOがパンデミック宣言(2020年)
7位 プラザ合意(1985年)
8位 鄧小平氏「南巡講話」(1992年)
9位 日銀が「異次元」金融緩和(2013年)
10位 欧州連合(EU)誕生(1993年)

このうち、「ニクソン・ショック」と「第4次中東戦争」は、リアルタイムの記憶としては残っていない。
自分で日本に強く関係する経済ニュースを選ぶとしたらどうなるだろう。
10はちょっと多いので5つ選んでみよう。

上記のランキングの中から、「世界金融危機」は外せない。
連日のように株価が大幅に下がり、
モーニングサテライトの番組内でホリコ・キャピタル・マネジメントの堀古さんが、
「これではブラックマンデーどころか、ブラックエブリデーだ」
とおっしゃったのが記憶に残っている。
まさに世界経済崩壊の危機だった。

「ベルリンの壁の崩壊」も印象深い。
政治色の強い出来事だが、日経平均が最高値を記録したのと同じ年に起きたのは偶然ではないと思う。
壁がなくなり、ルールが変わり、
日本経済はそれに対応しきれなかったのだろう。

1997年から1998年にかけての日本における金融危機も忘れがたい。
三洋証券、北海道拓殖銀行、山一証券、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行などが破綻し、
日本経済の光景が一変してしまった。

1975年の第1回先進国首脳会議、いわゆるサミットへの参加は誇らしかった。
第1回会議の正式メンバーは、
フランス、西ドイツ、イギリス、アメリカと日本。
イタリアが強引に割り込んで来て6カ国となったが、
日本が先進国であることが国際的に認められたような気がした。

もう一つは、東日本大震災とそれに伴う原発事故を選ぶ。
阪神淡路大震災で、安全神話といったものはすでに崩壊していたと思うが、
まさか津波の被害があそこまでになるとは、
何重ものセキュリティ対策に守られているはずの原子力発電所が事故を起こすとは、
原発がなくても電力は賄えるのだということが明らかになるとは、
さすがに想像しなかった。

この50年間の世界経済を振り返れば、
悪いことよりいいことの方が多かったのではないか。
それは日本にとっても同じことだろう。
ニュースや重大事件となると、どうしてもショッキングな事柄を選んでしまうが、
おしなべて言えば、悪くない50年だったと思う。

一方、これからの50年には、不安ばかりが募るという方も少なくないだろう。
しかし、不安が大きいからといって本当に悪い時代がやってくるとは限らない。
そもそも、これからやってくる時代は
誰かに押し付けられるものではなく、
これから生きる自分たちが作り上げていくものである。

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テスラ株はどこまで下がるか [経済を眺める楽しみ]

アメリカの電気自動車企業の代表格であるテスラの株価下落が続いている。
現在の株価は170ドル近辺。
2011年に付けた最高値では410ドルを超えていたから、半分以下になった格好である。

近年の業績が振るわないというわけではない。
過去五年間の売上高の推移は以下のとおりであり、順調に右肩上がりになっている。

決算期  売上高
2019.12 24,578百万ドル
2020.12 31,536百万ドル
2021.12 53,823百万ドル
2022.12 81,462百万ドル
2023.12 96,773百万ドル

では、なぜ株価が下がっているかというと、
・成長はしているが、思ったほどではなかったこと
・2024年の決算に不透明感が漂っていること
・もし「EV嫌い」とされるトランプ氏が大統領になったら一層逆風になりそうなこと
などが原因とされている。

そもそも、株価の上昇があまりにも急ピッチだった。
あれだけ急激に騰がれば、反動減が来ても当然である。
そこへ来て、マスク氏のカリスマ性にも陰りが見えてきているので、
売りやすくなっている面もあるだろう。
EVバブルとマスク氏バブルが同時に弾けてしまった感じである。

とはいえ、車産業のEVへのシフトは、
そのスピードがゆるむことはあっても止まることはないだろう。
だから、株価がいつまでも下がり続けるということもないはずだ。

EVの世界での覇権争いはここからが本番。
テスラ1強から、レッドオーシャンでの戦いへ。
トヨタの本格参入もこれからである。
中国メーカーも強力。
勝者がどこになるか、今はまだわからない。

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バブル期とはけた違いの利益を上げている日本企業 [経済を眺める楽しみ]

どう考えても、日本株の上げ方は速過ぎる。
今年に入ってから、日経平均で6,000円ほども上げている。
これはいくらなんでもスピード違反だろう。
どこかで調整が入るのが自然だと思う。
3月7日には500円ほど下げたが、この先もっと下げても驚かない。

しかし、今の株式相場がバブルかといえば、
必ずしもそうではないだろう。
バブル期のPERが約60倍だったのに対し、
今は20倍を割り込む水準。
買われ過ぎとまでは言えないと考えるのが普通ではないか。

実際、企業の稼ぐ力は上がっている。
先日、日本経済新聞に日本企業の純利益ランキングが、
1989年と2023年を比較する形で掲載されていた。
これによると、
1989年も2023年も1位はトヨタなのだが、
1989年の純利益が3,462億円であるのに対し、2023年は2兆4,513億円。
さらに、2023年では6位の日本郵船までが純利益1兆円超えとなっていて、
まさに桁が違っている。
日本企業はしっかり稼いでいるのである。

もちろん、そうして得た利益がきちんと活かされていないという問題はあるだろう。
労働者への還元が不十分であるだけでなく、
魅力的な商品づくりでも力を発揮していない。
それにしても、利益が上がっていることは確かであり、
それに合わせて株価が上がっている。

この30年間を「失われたもの」としてとらえている人からすれば、
株価の高騰や賃上げの流れを見ても、
経済の好循環など生まれるはずはない、
そんなにうまい話があるはずがない、
と思うのだろう。
確かに、そう思うのが自然かもしれない。
しかし、本当にうまく回り始めているとしたら、
その足を引っ張るのだけはやめていただきたいと願う。
うまく行き始めているのなら、
素直に喜べばいいし、
それに乗っていけばいい。

今の株高は日本企業の力を海外投資家が評価していることが大きい。
日本人が悲観している日本の力を海外投資家が評価しているのは皮肉だが、
近過ぎて見えないこともあるのかもしれない。

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ちょっと意外なゴールドマンが選ぶ「7人の侍」 [経済を眺める楽しみ]

「マグニフィセント・セブン」という映画がある。
邦題は「荒野の7人」。
黒澤明監督の名作「7人の侍」の舞台を、
西部開拓時代のメキシコに移した描いたリメイク作品である。

近年、アメリカの株式市場で「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる銘柄が注目を浴びてきた。
その7社は、GAFAMとまとめられることの多い、
アルファベット(グーグルを傘下に持つことからG)
アマゾン
メタ(旧フェイスブックであることからF)
アップル
マイクロソフト
の5社に
テスラ
エヌビディア
を加えたものである。

この7銘柄は、その時価総額を合計すると、
実に1,800兆円にもなり、それだけで東証上場企業全体の2倍になるという。
2024年2月24日時点でのアメリカ市場での時価総額ランキングで、
この7社はすべてトップテンに入っている。

そんな折から、なんでもゴールドマンサックス証券に
「マグニフィセント・セブンに該当する日本企業を紹介してほしい」
との要望が顧客から寄せられたらしい。
そしてゴールドマンは、それに応えて
「セブン・サムライ(七人の侍)」と名付けて公表した。

その7銘柄は、
SCREENホールディングス
アドバンテスト
ディスコ
東京エレクトロン
トヨタ自動車
SUBARU
三菱商事
である。
なんでも、過去12カ月間の利益率が高く、2020年以降に損失を出していない企業の中から選出したとのことだが、基準としては非常にあいまいであると言えるだろう。
選ばれた企業も、なんだかまとまりがなく、バラバラである。

この7社中、時価総額ランキングで10位以内なのは、トヨタ、東京エレクトロン、三菱商事の3社。
その他の会社もそれなりの数字ではあるが、日本を代表する企業とまでは言いにくい。

まあ、この7つの企業は、ゴールドマンサックスの一つの意見としてとらえればいいだろう。
見立てが正しかったかどうか、一年後にはある程度はっきりしているはずだ。

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素直に祝いたい 日経平均の史上最高値&ダウ超え [経済を眺める楽しみ]

2月22日の東京株式市場は急伸。
終値は前日比836円52銭高の3万9,098円68銭となり、
約34年ぶりに史上最高値を付けた。
これまでの最高値は1989年の大納会日である12月29日。
このときは、年明けから急落し、そのまま奈落の底へ沈んでいった。
今回は年末でも年度末でもないし、そうはならなそうだ。
まずはめでたい。

ついでに、といってはなんだが、ダウの値も超えた。
日経平均は円表示で、
ダウはドル表示。
単純に比べるものでもないのだが、
一時はダウの7割以下の値になっていたことを考えると、
近年はアメリカ株以上に上昇を続けていることがわかる。
これもめでたい。

この日の上昇は、朝の段階から予想されていた。
きっかけは、アメリカの半導体企業エヌビディアの超好決算。
売上高が前年比3.7倍、
純利益が8.7倍と市場予想を大きく上回る数字を提示し、
このことが日本の半導体関連銘柄にも火を付けた。

そのため、株価の上昇が一部の銘柄に偏っている面はある。
それにしても、節目の突破はめでたい。

株が上昇すると、
喜んでいる人を報じる一方で、
「実感がない」
「潤っているのは一部の人だけ」
という声も紹介される。
まあ、実際にそうなのかもしれないし、バランスをとった報道のためにはいろいろな意見を紹介することも必要なのだろう。
しかし、株価が上昇することは、日本経済にとって悪いことであるはずはなく、
昔と違い手数料も取引単価も低額という時代では、誰しもが株を持つことができる。
今回のように史上最高値を更新するというビッグイベントは素直にはしゃいでもいいのではないだろうか。

もちろん、日本経済が盤石とはいえないし、
将来が明るさに満ちているということもない。
自国のことはどうしても悲観的に見てしまいがちだが、
海外投資家が日本株を有望と判断していることは知っておくべきだろう。

次の焦点は4万円、そしてその次は5万円。
当然上がり下がりもあり、下がったときには悲観論者が勢いを増すだろう。
しかし、本来株価は上がっていくものである。
今回の最高値更新は、正常な市場に戻ったことのわかりやすいメッセージととらえるべきなのかもしれない。

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「自分が持っている株だけ上がってない」わけではないですよ [経済を眺める楽しみ]

株式相場の好調が連日のように伝えられる。
新聞やネットはもちろん、
テレビのワイドショーでも取り上げられるようになり、
日経平均の最高値更新も現実的なものとして語られている。

個々の投資家に目を転じても、儲かっている人は多いだろう。
一方、儲かっていない人も少なからずおられると思う。
いや、意外と結構な割合でおられるのではないか。
「株価全体は上がっているのに、自分の持っている株だけが上がっていない」
という気持ちになっている方もおられるかもしれない。

しかし、そんなことはない。
むしろ、
「株全体は下がっているのに、日経平均は上がっている」
という日もある。

2月9日の日経平均株価は、一時34年ぶりに37,000円を突破し、前日比34円プラスで終えた。
そんな全体的には好調ムードの相場において個々の銘柄はどうだったかというと、
プライム市場の銘柄のうち、
上昇 565
下降 1,048
変わらず 44
という内訳だった。
つまり、上昇した銘柄の2倍ほども下がっている銘柄があったということになる。

9日の日経平均は、ソフトバンクGが一時15%高となり、
1銘柄で指数を約130円押し上げたとされている。
ソフトバンクを除けば、日経平均もマイナスだった。

これはこの日に限ったことではなく、
日経平均はもともと値嵩株に大きく影響される構造となっている。
値嵩株(ねがさかぶ)とは、単純に株価の高い銘柄を指す言葉である。
いくら以上なら値嵩と呼ぶという基準はないが、一つの基準は10,000円だろうか。
それ以下でも、値嵩株的に扱われている銘柄はあるが。

具体的に日経平均への寄与度が高い銘柄は、
ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ソフトバンク、KDDI、ファナック
といったところである。
こうした銘柄が上がれば、たとえ下がった銘柄の方が多くても、
日経平均は上昇することがある。

だから、
自分の持っている株だけが下がっている、
と悲観する必要はない。
日経が下げても自分の持っている株は上がっている、
という時だって来るかもしれない。

日経が上がると、何やら浮ついた気持ちになる。
しかし、周りの空気に惑わされず、
なぜその銘柄を買ったのか、
どうなったら売ろうと思っていたのか、
慌てずにじっくり考えるようにしたい。

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株は上がるもの [経済を眺める楽しみ]

アメリカの株式市場が好調である。
ニューヨーク株式市場でS&P総合500が史上初めて5,000ポイントの大台を突破した。
10年前は2,000ポイントを割り込んでいたので、
この間に3,000、4,000と大台を次々乗り越えてきたことになる。

これだけ上がると、
「バブルではないか?」
という疑問の声が上がってくる。
実際、予想利益に基づく株価収益率(PER)は20倍近辺となっており、
これまでの平均の15倍から比較するとやや過熱感がある。

それでも市場では楽観視する意見が多いようだ。
実体経済が強いことに加え、
FRBによる利下げも見え始めているからだろうか。

私の朝は、テレビ東京系の「ニュースモーニングサテライト」で始まる。
2月9日の番組内でもアメリカの株高が伝えられたのだが、
出演されていたマネックス証券の広木さんは、
「株は上がるもんなんです」
と断言されていた。
だから、そんなに騒ぎなさんな、ということだろうか。

日本の株式市場だけを見ていると、
「株は上がるもの」
と言われても眉唾だが、
アメリカだけではなくほとんどの国で株は上がっている。

もちろん、下げることもある。
特に、2008年の金融危機や2020年のコロナショックのような時期には、
大きく値を崩すことだってある。
しかし、歴史を紐解くと、これまでの危機はすべて乗り越えられてきた。

株は上がり過ぎ、きっと下がる、
と思っておられる方も大勢おられるだろう。
そういう見方もあるし、実際そうかもしれない。
ただし、常に悲観的なとらえ方をしていては機会をつかまえることはできない。
せっかく目の前に機会があるのに。

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規制で株価はなかなか上がらない ~中国当局の動きに既視感~ [経済を眺める楽しみ]

中国の株式市場がさえない。
今年に入ってから元気がない、
というレベルではなく、もう数年単位で下げている。

2年前と比較すると、
日経平均が30%ほど上がっている一方、
上海総合は逆に20%ほど下がり、
香港ハンセンに至っては40%近くも下がっている。

中国では不動産価格が大幅に下落しており、
そこへ持ってきて株価も底を抜けてしまうと経済に大きなダメージとなる。
そのため、当局がテコ入れを行っている。

ここで発表されたのは、譲渡制限株式の貸し出しの禁止。
未保有の株式を借りて売却することで利益を得る「空売り」を制限し、
株安を阻止する狙いとされている。

こうした中国当局の動きには、既視感がある。
日本でも似たようなことをやって来たからである。

「空売り」は、株の下げを予想した投資を行い、
下がれば儲かる手法である。
空売りが増えれば、株の下げを助長しているように見えるし、
下げで儲ける投資家がいるのもなんだか癪だから、
規制したくなる気持ちもわからないではない。

しかし、空売りの後には買い戻しが生まれるし、
そもそも株価は下げ切らないと反転しない。
人為的に下げを操作しようとしても限界がある。

当局も、そうしたことは了解しつつ、
急激な変動を避ける狙いや、
一方的な下げは許容しないという姿勢を見せるような意味で、
規制を行っているのだろう。
ただし、
規制をせざるを得ないということはそれだけ危機的なのだろうと見透かされ、
さらなる下げを助長しかねない面もある。

放っておくのが一番なのだが、それもできないのだろう。
これも、既視感がある。

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