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映画評 「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」 [映画評]

そういえば、去年の年末も大泉洋さんの映画を観た。
「探偵はBARにいる 3」であり、最高に面白かった。
今年の年末も大泉さん。
2連連続の快作となるか。

原作は2003年の出版。
私は、遅ればせながら去年読んだ。
素晴らしい本であったので、それがどのように映画になるのか、
期待四分の一、不安四分の三、
くらいの感じで劇場に足を運んだ。
しかし、幸いなことに不安は的中しなかった。
いい映画に仕上がっていた。

原作はノンフィクション。
鹿野靖明さんという、幼少の頃から筋ジストロフィーを患っておられ、体で動かせるのは首と手だけという人のお話。
重度の障害を抱えながら、病院を飛び出し、大勢のボランティアに囲まれながら自由に生きた方。
原作でも、わがままで、自分勝手で、しかも助平なところもある存在として書かれていた。
とてもいい本だったが、ノンフィクションだけにストーリーがない。
映画化に当たってどうするのかと思っていたが、高畑充希さんと三浦春馬さんの淡い恋愛を絡めることで、物語として成立させた。
通常、こうした話に色恋が混ざってしまうと陳腐な流れになってしまうのだが、本作ではそうはならず。
最後までしっかりと踏みとどまった。
この見事な脚本を書かれたのは、「ビリギャル」でも素晴らしい仕事をされた橋本裕志さん。
出身が舞台となっている北海道ということで、より気持ちも乗ったのかもしれない。
もちろん、前田哲監督が最大の貢献をしていることは言うまでもない。

大泉洋さんの出演作には、ほとんど外れがない。
今作も含め、いろいろな作品に出られ、ほとんどが水準を超える作品となっている。
すごいことだ。
高畑充希さんもよかった。
本作では、魅力的な女性というより未成熟な女の子といった役回りで、かえって難しいような気がするが、しっかり映画を引っ張っていかれた。
高畑さんの恋人役を演じる三浦春馬くんは、いつものように男前。

「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」は、2018年の年末を飾る良作。
お涙頂戴でなく、
綺麗ごとではなく、
ヒーローでもなく、
タイトルどおり愛しい人の話として成立させた。
大人も子供も、福祉に関心がある人もない人も、
すべての人が観て楽しめ、心に染みる作品となっている。

年末年始、なにか映画を観たいと思っている方もおられるだろう。
「シュガーラッシュ」や「ドラゴンボール」といったアニメもあるし、
「ボヘミアン・ラプソディ」「ファンタビ」といった洋画もあるが、
私のお勧めはバナナである。
きっといい一年の締めくくりになる。
きっといい一年の始まりになる。
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