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金利のある世界への復帰 [診断士的経済アプローチ]

日銀が3月18、19日に開く金融政策決定会合で、
マイナス金利政策の解除を決める見通しとなったと、
大きく報じられている。
かねてから、マイナス金利の解除は3月か4月と言われていたので、
ここでの解除に驚きはないが、
それでもやはり大きな転換点である。
利上げは2007年以来17年ぶりのことになる。

マイナス金利の解除は、
いわゆる「金融政策の正常化」のために日銀としてはなんとしてもやりたかったことだろうが、
過去にはすぐに解除を取り消した前歴がある。

1度目の解除は2000年8月。
しかし、当時はITバブルが崩壊していく時期に重なっていて、
2001年には再びゼロ金利への回帰を決定せざるを得ない状況となってしまった。

2度目は2006年7月。
翌2007年2月にも追加利上げに踏み切ったのだが、
2007年から2008年にかけては世界金融危機が発生。
日銀もゼロ金利への復帰を余儀なくされた。

こうした過去の例を見ると、
マイナス金利の解除に慎重になるのが当然であろう。
さすがに3回連続の判断ミスは避けたい。

金利はあって当たり前。
金利がない世界が異常だった。
適切な金利を払いながら、
着実に成長する、
そんな当たり前の経済に戻るまで、あと一息。

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日本の映画料金は高くないか [診断士的経済アプローチ]

TOHOシネマズが、6月1日から映画鑑賞料金を値上げすると発表した。
これにより、一般料金は1,900円から2,000円となる。

同社は
「エネルギー価格の高騰や円安による仕入れコストの上昇、アルバイト人件費を中心とした運営コスト増や各種設備投資における負担増等により、企業努力だけではこれらの吸収は極めて困難であると判断し、鑑賞料金の改定を行うことといたしました」
としている。

まあそうだろうとは思う。
数年前と今と比べると、
確かに円安は進んだし、
光熱費は上がったし、
アルバイトの人件費も上がった。
だから、やむを得ない面があるのはわかる。

では、海外と比べてどうだろう。
アメリカの映画料金は、映画館の業界団体「National Association of Theatre Owners」のウエブサイトにAnnual Average U.S. Ticket Priceとして記載されていて、
それによれば2022年で$10.53となっている。
今の相場で言えば1,400円くらいか。
日本より安く見えるが、日本も子供料金、シニア料金などあるので、
平均すればこのくらいの値段になるかもしれない。

その他の国、
イギリスや中国、韓国などはネットで調べる限り、日本よりかなり安いようだ。
物価などを勘案しても、日本の映画料金が高いというのは本当らしい。

また、アメリカも含め日本以外の国では、
地域によって、
映画館によって、
作品によって、
料金にかなり大きな差を付けているようだ。
日本の場合、
東京でも滋賀でも、
最新鋭の映画館でも昔ながらの映画館でも、
製作費数十億円というハリウッド映画でも数百万円の日本映画でも、
大抵は一律の料金設定であり、この点も他国との大きな違いとなっている。

私は映画ファンであり、特に邦画を中心に毎週映画館に足を運んでいる。
しかし残念ながら、1,900円の価値がある作品に出会えることは稀である。
「なんだこれ?」
と呆れてしまうほど気持ちの入っていない映画に出会うこともしばしばである。
金返せ、とは思わないけれど、
ひどいな、とは思う。

演劇などなら、
製作費が高いものの入場料が高くなるのは普通だし、
音楽などなら、
人気のアーチストの入場料が高くなるのも普通である。
なぜ映画だけほぼすべて一律の料金設定にしているのだろう。

時代は変わり、映画も変わっていかなければならない。
映画料金についても同じことだろう。
是非ちゃんと考えていただきたいものである。

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すべてのソーシャルレンディングがよろしくないとは限らないが [診断士的経済アプローチ]

一時期、「ソーシャルレンディング」が新しい形の金融の形として注目を集めた。
ソーシャルレンディングとは、Wikiによる定義をかいつまむと、
「ネット上で『お金を借りたい人』と『お金を貸したい人』を結びつける融資仲介サービス」
というものである。

お金を借りたい人と貸したい人は、通常金融市場で出会う。
銀行などの金融機関が最もわかりやすい形だし、
株式を発行するというパターンもある。

しかし、お金を借りたい人の中には、金融機関からの融資に苦戦することもある。
金融機関は、実績や担保を重視するため、
新しく起こした企業にはハードルが高い面があるからである。
また、株式を発行しようにもノウハウも引き受け手もないこともある。
そのため、せっかく技術力があったり、見込み客がいたりしても、資金がないために、手をこまねいているばかりとなりかねない。

一方、運用できるお金を持ちながら、ほとんど遊ばせてしまっている人もいる。
銀行に預けても、信じられないくらいの低い利息しか付かないし、
上がり下がりの激しい株式には投資したくないからである。

そこで、ソーシャルレンディングの出番となる。
借りる側は、自らの強みをアピールして出資を募る。
貸す側は、魅力的な起業を探し、有利な利回りでお金を運用する。
うまく回ればとてもいい仕組みである。

しかし、金融機関からお金を調達できない企業が、高い利率の借入金を返済できるだろうか。
実績のない企業が、見込み通りに事業を展開し、利益を上げられるだろうか。
少し考えるだけで、かなりリスクがある仕組みだとわかる。
さらにリスクと利回りが合っているかどうかにも検討の余地がある。

ここで、ソーシャルレンディング会社が、maneoマーケットから破産を申し立てられたとの記事が掲載されていた。
これは特別な事例ではなく、いくつものソーシャルレンディング会社が金融庁から指導を受けている。
投資家に損失を与えている事例も少なくない。

ソーシャルレンディングは新しい仕組みであり、まだ試行錯誤の時期と言えるだろう。
しっかりと運用している事例も、もちろんあるのだと思う。
うまく回るようになれば、新たな金融インフラになる可能性もある。
ただ、現時点では、十分にリスクを見分ける必要がある。
ソーシャルレンディング会社に信用がおけるかどうか、
投資を募っている企業が大丈夫かどうか。
低いリスクで高い利回りを得られるはずはない、
という当たり前のことを肝に命じながら。

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もう内部留保を目の敵にしないで [診断士的経済アプローチ]

去年まで、企業の内部留保を目の敵のように言う政治家の方が多かった。
「ため込まずに人件費に回せ」
「内部留保をためるのは知恵がない証拠」
「内部留保に課税せよ」
といった具合である。
「内部留保を吐き出させよ」
といった意見もあった。

内部留保は、売上から人件費などの経費を差し引いて生み出した利益から、税金を払ったのちに生じる。
企業としては、しっかり税金を払い、経営判断のうえで内部留保としているのに、
それをとがめられてはたまらないだろう。

そもそも企業の内部留保を減らすためには、企業を赤字にする必要がある。
赤字になってしまえば、人件費は当然削減の対象だろう。
そうなっていいはずがない。
内部留保を取り上げようとされていた方は、何をしたかったのだろう。

さて、2019年度法人企業統計調査で企業の内部留保が8年連続過去最高となったらしい。
今から思えば平和だった去年の数字である。
これを受けて麻生財務相は、
「内部留保がやたら厚くなけりゃ今回のコロナ対応はもっときつかったろうな。財務大臣の口車に乗って設備投資しなくてよかったと思っている経営者もいるんじゃないか」
「結果論だが、内部留保が厚かったところの方が、コロナの騒動に耐えるだけの企業体力があったってことになる。そこはちょっとあれだが……。もう少し設備投資や給与に回ってしかるべきではないか」
とおっしゃったらしい。

麻生大臣らしい表現で、実にわかりやすい。
ただ、内部留保が多かったのは結果論ではない。
企業としては、まさかに備えて一定のたくわえを持っているのであり、
2020年にそのまさかが来たことはたまたまではない。

さすがに、今年や来年には内部留保撲滅論は出ないだろうが、
ほとぼりが冷めたら、まだ言い出す人がおられるかもしれない。
「内部留保を吐き出させろ」
と。
しかし、今回のことを教訓に、内部留保を叩くのはもうおやめいただきたい。
筋がいいとは言えないし、
企業人からすれば、よくおわかりになっておられないように映ってしまうからである。

今思えば、内部留保を叩くとは、牧歌的な時代があったものだ。
去年のことだが。

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雇用の確保は世界的な課題 [診断士的経済アプローチ]

コロナは経済に大きなダメージを与えているが、なかでも労働環境の悪化が深刻である。
世界最大の経済大国であり、コロナの感染者も最も多いアメリカで、その状況が顕著に表れている。

コロナ前の失業率は3.5%と、約50年ぶりの低水準だった。
それが4月には14.7%となり、1930年代の世界恐慌以降で最悪の水準となってしまった。
4月の失業者数は約2050万人。
すごい振り幅である。

アメリカ議会予算局の予測によれば、
4月から6月の平均が15.1%となったあと、7月から9月では15.8%と、
さらに悪化すると見込まれている。
大統領選挙の時期にあたる10月から12月でも失業率の平均は11.5%と急速な回復は期待できないとしている。

こうした状況は、もちろんアメリカだけではない。
ILO(国際労働機関)によれば、
18歳から29歳までの若者6人に1人が勤務先の休業や解雇などで仕事をしていない状況にあるという。
仕事を続けている場合でも、労働時間はこれまでより23%減少したらしい。
「ロックダウン世代」なる言葉さえ生まれてしまったようだ。

日本も労働環境の悪化から逃れられない。
総務省が発表した4月の労働力調査によると、完全失業率は前月比0.1ポイント上昇の2.6%となり、
2017年12月以来2年4カ月ぶりの高水準となった。
とはいっても2.6%の失業率は他国と比べるとかなり低い。
しかし、
求人数が8.5%減と、過去最大のマイナス幅を記録し、
仕事を持ちながらも仕事をしていない「休業者」が過去最多となるなど、影響は広がっている。

日本は、他国と比べると解雇しくにい法制度となっており、
人口減により人手不足でもあったので、
はっきりと失業率という数字に出てくるまでには時間がかかる面があるのだろう。
すでに黄色信号だが、
失業率が如実に上昇してしまうようだと、赤信号に切り替わる感じだろうか。
感染者数と同様、この分野でも、他国から奇妙に思われるような成果が収められればいいのだが。

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コロナに関する補償の国際比較  ~ 日本はヨーロッパと比べてどうか ~ [診断士的経済アプローチ]

コロナ禍で、世界経済が苦境に立たされている。
特に、休業を余儀なくされている企業や店舗は、
収入がまったくなくなっているのだから、本当に大変である。
通常の不況であれば、工夫や努力の余地もあるが、
今回は営業自体を差し止められているのだから、頑張りようがない。

収入が激減した事業者に対して、各国が様々な補償策を出している。
これについて、ヨーロッパに比べると日本は劣っているのではないかとの意見がある。
いろいろな見方があるとは思うが、単純な比較はあまり意味がない。
ヨーロッパの一部の国のように、強制的な外出制限をかけている国と日本では状況が違うし、
感染者の数も全く異なっているし、
国家体制も国柄も違うからである。

とはいっても、諸外国の動向が気になるのも自然だろう。
よくネットに取り上げられるが、個人的にはほとんど見たことのない「サンデー・ジャポン」という番組の中で、
元衆院議員でタレントの杉村太蔵さんがこんなことを話されたという。
「欧州なんかでは手厚い補償があるという報道がありますけど、
ドイツは消費税が19%でイギリスも20%なんです。
日頃、国民が負担してるんです」
「日本はまだ消費税10%。
低負担・高福祉を求める。
これは、これからなかなか通用しないんではないかというのが私の考え」

これに対してネットでは、
「消費税は低いかもしれないが、日本ではその他の税目もある」
「税金をトータルで比較すべき」
との意見が出ていた。
そこで、直近のデータでヨーロッパ各国の租税負担率を見ると、以下のようになる。
※租税負担率=国民所得に対する租税収入金額の割合

イタリア 42.3%
フランス 40.8%
イギリス 36.3%
ドイツ  31.2%
日本   25.1%

これで見る限り、消費税以外の税目を足しても、やはりヨーロッパの方が税金が高いことがわかる。
さらに社会保障費を加えた国民負担率を見てみると以下のようになる。

国民負担率
フランス 67.2%
イタリア 60.9%
ドイツ  53.4%
イギリス 46.9%
日本   42.1%

高いと思われている社会保障費を加えても、
ヨーロッパに比べると日本の国民負担は大きくないことがわかる。

もちろん、だからコロナへの補償が少なくても仕方がない、とはならない。
支えるべきは国が支えるべき局面だと思う。
しかし、ヨーロッパに比べると国民の負担が小さいことは前提として知っておきたい。
また、国が打ち出の小槌を持っているわけではないから、
ここで使った分は税金として私たちが払っていかなければならないことも、
ごく当たり前のことだがしっかり覚えておく必要がある。

前提をしっかり踏まえたうえで、
地に足の着いた議論を進めたい。

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「内部留保を吐き出せ」と言っていた方々は、今何思う [診断士的経済アプローチ]

実感できない、とさんざん言われてきたが、ここ数年は景気がよかった。
実感できないのに景気がいいとはなんだ、となるが、経済指標的には上向きだったということである。
すべての人に恩恵が及んだかどうかはさておき。

この期間、大企業を中心に利益が積み上がった。
企業は、配当や自社株買いにも回したが、利益剰余金として残る部分も少なくなかった。
2018年度の法人企業統計によれば、
「利益剰余金」が前年度比3.7%増の463兆円となり、7年連続で過去最高を更新したのだという。
利益剰余金は「内部留保」とほぼ同義でとらえられることも多いことから、
「内部留保が過去最高」
と報じるメディアも少なくなかった。

この状況を見て、
「内部留保が積み上がるのはけしからん。これを吐き出させよう」
と主張される政治家の方が増えた。
法人税増税を訴えられたり、
内部留保自体に課税することを主張されたり、
なにやら内部留保を目の敵にされているようですらあった。

企業としてみれば、
一生懸命に事業活動を行い、
なんとか利益を出し、
そこから税金を払い、
その残りが利益剰余金となるのに、
それを巻き上げられるのはあんまりだ、という気持ちだったのではないだろうか。
また、企業が内部留保を持つのは、
環境の変化に対応するため、
という経営判断をもとにしているのであり、
それを悪いことのように言われるのは心外だっただろう。

現在、世界はかつてない危機のただなかにいる。
需要が消失してしまったような業態もあり、
日々の資金繰りに苦慮している事業者も少なくないだろう。
こうした環境の激変に備えるのが内部留保である。
「そんなに貯めこんでどうする」
と散々批判されてきた内部留保は、こうしたときにこそ活かされる。

今の状況を見て、内部留保を吐き出させと主張されていた方々はどうお考えだろう。
「コロナショックは特別な状況であり、これを見込むのは神様でなければ無理」
などと開き直られるのだろうか?
内部留保は、予見できない危機に備える意味があり、予見できないことだから仕方がないでは済まないのだが。
ひょっとしたら、内部留保を目の敵にされていた方は、今の状況を見てもなんとも思っておられない可能性もある。
たぶん、そうだろう。
政治家や評論家には、「忘れる能力」が必要であるとも思うが、しっかり反省しないと次に活きてこない。
実施されなかったのだからいいじゃないか、ではなく、自分たちの主張を実体経済に合わせて、随時振り返っていただきたい。
そして、反省すべきは反省して、次につなげていただきたい。

もし、内部留保を減らす政策が間違っていないとお考えであれば、引き続き堂々と訴えていただきたい。
今のような状況でこそ、堂々と訴えていただきたい。

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株価急上昇もまだ去年より低い水準 [診断士的経済アプローチ]

13日の日経平均株価は前日比598円高と急伸、
終値で24,023円となり、24,000円台を回復した。

株価上昇のきっかけは、なんといっても米中貿易戦争の休戦である。
米中通商協議で一部の関税引き下げと追加関税の発動延期で合意したと伝わり、
これがポジティブサプライズと伝わった。
この報を受けて、アメリカ株が上がり、
さらに円安にも振れたため、日本株も上昇しやすい環境が整った。
イギリス総選挙の結果も、前向きにとらえられただろうか。

こう急に上昇すると、すぐにバブルだ何だと言い出す人が出てくる。
特に日本の場合、景況感が微妙なので、
足元の景気が悪いのに株が上がるのはおかしい、と考える人もいるだろう。

そう言いたくなる気持ちもわかるが、冷静に考えるとそうでもない。
まず、株価水準だが、やけに高い位置に来たように見えるかもしれないが、
まだ去年の高値を回復してもいない。
2018年の1月時点で24,000円レベルにあったことを思い起こすと、
2年近く経ってようやくそこに戻ってきただけ、とも言える。
だから、とんでもなく高い所に来ているわけでもなんでもない。

また、景気がよくないのに株価が上がっていることについて、
「マネーゲーム」
「投機的な動き」
と言いたがる方がおられるが、株価は足元の景気と連動するものではないことを改めて押さえたい。
株価は経済の先行指数として、半年くらい先の景況感を見越していると考えられる。
つまり、現時点が悪くても、半年後にはよくなるとみなされれば株価は上がる、
ということである。

このまま一本調子で上がり続けることはないだろうが、
2019年は株価的には順調な一年だった言える。
株価は、一気にぐわっと上がるより、ジリジリゆっくり上がった方がいい。
来年も再来年も、ゆっくりじっくり騰がる相場を期待したい。

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SDGsに取り組むとROEが上がる?  ~ それって、因果関係履き違えてない? ~ [診断士的経済アプローチ]

犯罪が多い地域には、多くの警察官が投入される。
逆に、犯罪が少ない地域には、少数の警察官が配置されるだろう。
この関係をグラフ化すると、犯罪件数と警察官の数は比例関係にあるように見える。
つまり、警察官が多ければ多いほど犯罪も起こりやすい、と読めてしまう。

さすがにそんな勘違いをする人はいないだろうが、因果関係をしっかり確認しないままに、
現象面だけをとらえて結論に飛びつくケースは少なくない。

12月2日付日本経済新聞朝刊の一面に、
SDGsに積極的に取り組んでいる企業はROEが高い、という趣旨の内容が掲載されていたが、
本当にそうだろうか?
もちろん、本当にそうかもしれない。
しかし、少なくとも記事を読む限り、そう信じることはできなかった。

記事では、
「SDGsを経営に生かしている企業ほど、収益力が高い傾向が鮮明となった」
とある。
SDGsに取り組みことが収益力を高めている、
と決めつけているように読めるが、
収益力が高い企業が、SDGsに取り組んでいるのかもしれない。
少なくとも、
SDGsがどのように収益に貢献しているのか、という具体例も、
SDGsに取り組む前と後での業績の変化といったデータも、
特に示されてはいなかった。

データやグラフから見えるわかりやすい結論に飛びつくと、大抵は間違っている。
間違った結論から導き出された判断は、うまくいかない可能性が高い。
気を付けよう。

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消費増税でも物価が上がらない [診断士的経済アプローチ]

世の中で、物価が上がってほしいと願っている人はほとんどいないだろう。
むしろ下がってくれと念じているはずだ。
しかし、経済的には緩やかに物価が上昇してくれた方が、八方丸く収まる。
そのため、政府・日銀は物価の安定目標として2%の物価上昇を掲げている。
たかが2%と思うが、なかなかここに届かない。

総務省が発表した10月の全国の消費者物価指数は、
変動の大きい生鮮食品を除く総合で、前年同月に比べて0.4%上がった。
しかし、伸び幅は消費税率引き上げの影響を差し引くと0.2%。
これは、2017年3月以来2年7カ月ぶりの低水準であるという。

もちろん、増税に加えて物価まで上がれば、家計にはダブルパンチになる。
だから、物価が上がらなくてよかったではないか、という意見もあるだろう。
生活実感としてはよくわかるが、物価が上がらないのは経済全体に力を欠いているからと思えば、
あまり喜べる話ではない。

経済全体に勢いがあれば、消費増税のタイミングはそれにつれて物価が上がってもおかしくないところである。
それが上がらないとなると、先行きはさらに厳しくとらえておいた方がいいのかもしれない。

いつまで経っても上がらない物価を見て、
日銀の政策に疑問を呈する人も多い。
しかし、日銀が緩和姿勢を続けていなければ、
円高が進み、さらなるデフレ傾向になっていた可能性も否定できたい。

私は、アベノミクス下での日銀の対応は概ね間違っていないと考えるが、
一方で、ターゲットとしている物価水準に達していないのも、また事実である。
副作用が心配される劇薬を使っておいて、その効果もないとあっては、
そんな政策すぐにやめてしまえとなりそうだが、
効果が出るまでやり続けることに意味があるという考え方もある。

消費増税で景気が腰折れすれば、
財政出動とともに、再び金融政策にも期待が集まる。
日銀は、
「まだまだ手はある」
と言うスタンスだが、手はあってもそれが功を奏するかどうか、未知数というより厳しそうである。

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