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知っておきたい海外のロックダウンの効果 [ヨモヤ]

どうやら、3回目の緊急事態宣言となりそうである。
賛否あるだろうが、「仕方がない」と割り切るしかない。
ただし日本百貨店協会が、
緊急事態宣言が発出されても百貨店に休業要請をしないよう、
東京都と大阪府に要望書を提出されたように、
意見を出すのは悪いことではないと思う。
後からぶつぶつ言うより、きちんと伝えるべきは伝えた方がいい。
もちろん、しっかりとした実績を踏まえてのものでないと意味はないが。

緊急事態宣言や各種の休業要請が出されると、街の声として必ず聴かれるのが、
「遅すぎる」
「後手後手」
という意見である。
急にマイクを向けられて、ほかに言うことがなくて、ではあろうが、
感染が広がる前に手を打つ、というのは現実的には難しいことであろう。

気になるのは、いまだに以下のような声が伝えられることである。
それは、
「海外のように、ロックダウンといった強い措置で一気に抑え込むべき」
というものである。

日本の現行の法律上では海外並みのロックダウンはできない、ということはさておき、
よその国はロックダウンで感染を抑え込めているだろうか。
答えはノーである。
ヨーロッパはもちろん、アメリカでも、日本よりはるかに厳しい外出制限をしてきた。
レストランが営業できないのは当然のこととして、
映画館や劇場は全面封鎖、
学校にも通わせない、
といった対策を取った国がいくつもある。
しかし、その結果はご存知のとおりである。
日本よりはるかに厳しい措置を取った国々が、
日本よりはるかに多い感染者を出している。

ワクチンが遅れてしまったことは実に残念だが、
それを除けば、少なくとも感染拡大については、日本は先進国をリードしてきた。
その点は理解し、胸を張り、
あとしばらく、踏ん張ろう。
日本流のやり方で、踏ん張ろう。
そうするしかない。

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映画評 「BLUE/ブルー」 [映画評]

個人的にはあまりはまらなかったが大きな評判を呼んだ「ヒメアノ~ル」と、
個人的にずっぽりはまった「犬猿」を撮った吉田恵輔監督の作品。
松山ケンイチさん、柄本時生さん、東出昌大さん、木村文乃さんというキャストも期待を大いに募らせる。
題材はボクシング。
そりゃ、楽しみにもする。

知らなかったのだが、吉田監督は中学生の頃から現在に至るまで、30年近くもボクシングを続けているのだそうだ。
ここまでになると、ちょっとかじったという程度ではない。
殺陣指導も兼任というから、思い入れも半端ではない。
その結果、本作は実に生々しいものに仕上がっている。

ボクシング映画というと、
「ロッキー」のようなヒーローものか、
「どついたるねん」や「百円の恋」のような地べたはいずりもののイメージだが、
本作はどちらでもない。
リアルであるが、ドキュメンタリー的ではない。
リアルであるが、エンタテイメントは失っていない。

主人公は3人のボクサー。
ボクシングが好きで、基本に忠実に練習を重ねるが、からきし弱い、松山ケンイチさん演じる4回戦ボクサーと、
天才的な強さを持つが、パンチドランカー症状に悩まされる、東出昌大さん演じる天才的ボクサーと、
もてるためにカッコだけのつもりで始めた、柄本時生さん演じる素人ボクサー。
三人ともボクシングを辞める理由を抱えているが、それぞれの思いを持って続ける。

ボクシングを続けるのは、「ボクシングが好きだから」ではあろうが、それだけではないと思う。
辞められない磁力があるのだろう。
辞めた方がいいと理屈ではわかっているのに。
そのあたりが伝わってきた。

「何箇所もジムを渡り歩き、沢山のボクサーと出会い、見送っていきました。そんな自分だからこそ描ける、名もなきボクサー達に花束を渡すような作品」
これは吉田監督のコメントである。
脚光を浴びるごく一部のボクサーと、
ほとんど注目されないままに消えていく大半のボクサー。
本作は、無名のボクサーへの愛に支えられている。
それは、人という存在すべてに向けられると言っていいだろう。

松山ケンイチさんは、さすがの演技。
その姿が、映画に強いリアリディを生み出していた。
なにかと風当たりの強い東出昌大さんも、相変わらずかっこいい。
一番惹かれたのは柄本時生さん。
これまでなんとも思っていなかったが、実にいい役者っぷりだった。

「BLUE/ブルー」は、本格的ボクシング映画。
わかりやすいクライマックスも、突き抜けた感動も生まれないが、
だからこそ染みてくるものがある。
松山さん、東出さん、柄本さんの演技を見ていると、
芝居という名の格闘技をされているように感じられる。
静かなラストシーンが美しかった。

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この頃気になるYahoo!の見出し ~ ミスリードが増えていないかしら? ~ [ヨモヤ]

Yahoo!の月間ページビューは数百億にもなるという。
なかでもトップページには多くのアクセスが集まる
そのこと自体はYahoo!の皆さんの努力によるものでもあり、称賛すべきことであるかもしれないが、
ここまでになると、
テレビや新聞に並ぶ大手メディアであることはもちろん、
ひとつの権威、権力にすらなってくる。
こうした力を持つと、自ずから責任というものもついてくると思う。

ヤフーのトップページにあるトピックスは、概ね13字で書かれている。
この文字数が、わかりやすく、またインパクトがあるのだという。
ヤフーは役所ではないので、それほど正確性にこだわる必要はなく、
とりあえず関心を持ってもらい、クリックしてもらうことが最優先されることはわかる。
しかし、ここまで力を持ったとき、読者をミスリードしてしまう可能性がある見出しを打つことはどうなのだろう。

例えば、4月19日のトップページにあった
「新卒採用『減らす』22% 共同」
という見出しにも違和感を覚えた。
これだけを読むと、新卒採用を「減らす」企業が多いように受け取るのが普通だと思うが、
中を読むと、
「減らす」が22%、「増やす」が17%、「前年並み」が34%、
となっている。
つまり、減らすと増やすでは、減らすがやや多いもののほぼ拮抗しており、
さらに前年並みの企業が最も多い。
この結果からは、新卒採用が減る、との結論には、通常は達しないだろう。
ちなみに、4月19日付の日経朝刊は2022年春の新卒採用をプラスで見込んでいる。
このことからも、新卒を減らす流れが固まったものとは言えないと思う。

この記事は、共同通信の記事をそのまま引っ張っているものなので、
ヤフーとしては関知しないとなるのだろうか。
しかし、そのまま引っ張っているからミスリードでも仕方がないとはならないだろう。

また、これもたまたま?共同通信の報道の引用だったのだが、
「国連、処理水放出に『深い憂慮』」
というトピックスにも違和感があった。
これは、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出決定に関する記事だが、
この見出しを読めば、誰もが国連が組織として憂慮を示したと思うだろう。
そう書いてあるのだから。
しかし記事を読んでみると、国連が機関として見解を示したわけではなく、「特別報告者」という方が意見を述べたに過ぎない。
ちなみに朝日新聞は
「原発処理水の海洋放出『人権にリスク』 国連特別報告者」
という見出しをつけていて、こちらの方が正確に伝えている。
13字は超えているが。

ここで「あれ?」という見出しが続いたので例に挙げたが、
見出しがミスリードを誘っているケースはもっとあるだろう。
ここまでの影響力を持つと、
字数に制限があるから仕方がない、
という問題ではないと思うのだが、どうだろう。
意図的にミスリードを誘っているのだとしたら、また話は変わってくるが。

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映画評 「名探偵コナン 緋色の弾丸」 [映画評]

名探偵コナンの劇場版シリーズ第24弾。
ドラえもんをはじめ、しんちゃん、ポケモンなど、長く続くアニメ映画シリーズはいくつもあるが、
興行収入という点で他を圧倒しているのがこのコナンシリーズ。
本作も、ヒットが確実視されている。

さて、ブログなどで映画評を書く理由はそれぞれだろうが、
私は、
いい作品がまっとうに評価されるために少しでも貢献したい、
映画館に足を運ぶためのきっかけにしてほしい、
という思いで書いている。
いい映画よりダメな映画に出くわすことの方がはるかに多く、
個人の主観であるが、ダメなものはダメとしっかり言いたいとも思っている。
いいものを残していくためには、ダメなものをしっかり見極める必要もあると考えるからだ。
ダメな作品を公開してしまった皆さんに、次への糧にしていただきたいとの思いもある。
しかし、ダメな映画をダメと書いてしまうと、
これから観ようと思う人の気持ちを挫いてしまわないかしら、
と心配になることがある。
私以外の人が観たら案外気に入るかもしれないし、
ダメな映画であっても、映画館には行っていただきたいと思うからである。

その点、コナン映画は気楽である。
ちまたでどう評価されようと、観に行く人は気にしないだろうからである。
過去の作品の傾向からして、
作品の良し悪しとヒットの度合いには、まったく相関関係がないようだからである。
どうせ大ヒットするだろうからである。

本作については、観る前からそうだろうなと思っていたが、
予想どおり惨憺たる出来栄えだった。
この作品からいいところを探す力は私にはない。
じゃあ、なんでそんな映画を観に行ったのかというと、誘われたからである。
一緒に行ったものも、「ツッコミどころが多過ぎて笑った」と言っているのだが、
同時に「来年も行きたい」と言う。
どんなヒドイ映画を作っても、満足度が下がらず、リピーターも減らない。
コナン映画とは一体何なんだろう。

ここまで、どんな映画なのか全く書いていないが、書くようなこともなかった。
ストーリーについても、書くようなことはない。
「うわ、今回もひどいなあ」
と思うだけで。
しかし、多くの人がこれを楽しんでいる。
ならば、それはそれでいいのだろうか。
私は、映画という文化のためにはよくないことだと思うけれど。

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敗戦から始まるマー君の日本プロ野球第2章 [ヨモヤ]

楽天のマー君こと田中将大投手が17日、日本ハム戦で今季初先発した。
本来は開幕第2戦目の3月27日に先発する予定だったが、右ふくらはぎの違和感を訴え、半月以上遅れての登場となった。
マー君の日本復帰は今年のプロ野球最大の話題であり、
180万円のVIPファンクラブが14分で完売するほどの人気だった。
開幕直前での戦列離脱は感心しないが、4月中に復帰できて、まあよかった。

投球内容は、2本のホームランを浴び、5回3失点。
チームも1-4で敗れてマー君は敗戦投手となった。
国内で黒星を喫するのは、3163日ぶりのこと。
12年8月26日の日本ハム戦から続いた国内の連勝も28で止まった。
勝ち投手になれば、日本球界で通算100勝目となるところだったが、そちらもおあずけとなった。

思い起こせば、プロ入り初登板も黒星だった。
やられてからやり返す方がマー君らしい感じもする。

開幕してまだ間がないが、楽天はまずまず順調なスタートを切っている。
最大のライバルになるであろうソフトバンクもしぶとく星を重ねているが、
エースの千賀が長期離脱となりそうで、つけ入るスキは十分にある。
マー君には、勝ち星をどんどん重ねるということよりも、
ここ一番での投球が期待されているのではないかと思う。
シーズン終盤の大一番であったり、
クライマックスシリーズであったりといった場面で、
ソフトバンクに臆せず投げ込める存在となることが求められる。
今から秋が楽しみである。

マー君がまだまだやれる状態でメジャーから帰ってきたように、
日本とアメリカを普通の移籍のように行き来する時代が来ればいい。
お金だけを見ればアメリカの方がいいだろうが、
一定の水準を超えれば、それだけが問題ではなくなるだろう。
マー君が来年アメリカに行ってしまっても、それはそれでいいし、
またすぐに帰ってきても歓迎である。
MLBから1位指名されながらソフトバンクに入団したスチュアートのような例も増えればなお面白い。
もちろん、日本のプロ野球がMLBの傘下に入るような感覚とは全く違う。
それぞれにそれぞれの良さがあり、そこをわかったうえで選手が自由に行き来できればいい。

感染者を出しながらも、プロ野球はしっかりと日程をこなしている。
野球がある日常は、本当に嬉しい。

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映画評 「砕け散るところを見せてあげる」 [映画評]

この映画、タイトルが面白そうである。
監督を務められているSABUさんも、個人的にはあまり作品に触れたことはないが、なにかしら危ういことが起きそうな予感がする。
だから、観る前には期待が高まった。

予告編も見ずに行ったので、どこに連れていかれるのか全く見当がつかず、
映画がかなり進んでも、どうなるのかわからなかった。
ただ、こうなったら嫌だな、悪い予感はした。
しかし、まさかそうはなるまいとも思った。
いくらなんでも。
悪い予感は当たる。
映画として、そうなってしまったらつまらなくなるという方向へどんどん向かっていく。
途中からは、もう仕方がないと観念した。
脚本もおやおやだし、演出もあらあら。

原作は、きっとかなり違う話なのだと思う。
これが原作なら、映画にならないだろう。
結局、映画自体が砕け散ったような恰好。

主演は、中川大志さんと石井杏奈さん。
中川さんはさわやかに演じておられたが、本作ではもう少し揺れてもよかった気がする。
石井さんは熱演されていたが、いかんせん脚本も演出もひどい。
清原果耶さんは盤石。
堤真一さんはもったいない。

「砕け散るところを見せてあげる」は、タイトルが面白い映画。
面白い映画でありそうな期待を持たせてくれるタイトルである。
内容はともかく、タイトルが面白そうである。

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映画評 「迷子になった拳」 [映画評]

本作は、ミャンマーの伝統格闘技「ラウェイ」に関わる選手や関係者の姿を追ったドキュメンタリー。
ラウェイは、「地上で最も過激な格闘技」と言われることもある。
拳にはグローブではなくバンテージのみを巻き、
頭突きも肘も投げ技も認められる。
ミャンマー国内で行われる際には、
フリーノックダウン制でダウンカウントを取らず、片方が負けを認めるか意識が戻らなくなるまで試合が続行されるという。
判定はなく、どれだけ一方的にやられていても、試合時間中戦い続ければ引き分けとなり、
勇者として認められる。
スポーツという空気はない。

日本での知名度は低く、危険すぎることもあってか、有力な選手が集まってくることはない。
逆に、ワケありの選手がその不思議な魅力に引き込まれてやってくる感じである。
なお、タイトルの「迷子になった拳」は、日本でラウェイを主宰する団体が、
分裂したり対立したりしてしまった経緯を指しているようだ。
特定の選手の拳が迷子になる、というよりも。

ドキュメンタリーであり、出てくる人たちは当然実在の方々なのだが、
皆、なんとも不思議な面々である。
ひとくせもふたくせもある、という感じではなく、純粋に変わっている。
そして、この映画自体、決まった方向に進んでいくというより、フラフラフラフラしている。
宣伝では
「人はなぜ闘うのか」
といったことがテーマになっているように見せているが、この作品を観てもそんなことはちっとも見えてこないし、
見せようともしていない感じである。

私は格闘技ファンであり、
自分にないものを求めるがゆえか、奇想天外な行動をする人を見るのが好きで、
この映画もそれなりに楽しんだ。
しかし、優れたドキュメンタリー作品に触れるつもりで本作を観ると、肩すかしになりそうだ。
映画自体が迷子になっているあたりが、ある意味リアルではあるが。

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「伝えたい映画大賞」 その2:作品賞部門 [映画評]

各種映画賞に首を傾げさせられ、
だったら自分たちで「伝えたい」と願う映画を選ぼう、
という思いで始めた「伝えたい映画大賞」も今年で2回目。
ちなみに去年の結果は、
大賞「洗骨」    監督・照屋年之(ガレッジセールゴリ)
2位 「岬の兄妹」  監督・片山慎三
3位 「愛がなんだ」 監督・今泉力也
であった。

2020年の作品賞候補として名前が挙がったのは、
「糸」
「喜劇 愛妻物語」
「ミッドナイトスワン」
「37セカンズ」
「朝が来る」
「脳天パラダイス」
「君が世界のはじまり」
「ビューティフルドリーマー」
「とんかつDJアゲ太郎」
「一度死んでみた」
「風の電話」
「浅田家!」
「ラストレター」
「アルプススタンドのはしの方」
「ソワレ」
「グラフィティ・グラフィティ」
「はりぼて」
「どこへ出しても恥ずかしい人」
「本気のしるし」
「星の子」
といった映画たち。
硬軟織り交ざるバラエティに富んだラインナップである。

まずは、Facebook上で評価が高かったことから、
「アルプススタンドのはしの方」問題を議論した。
本作については、脚本のよさや若手俳優の演技に評価が集まるも、
映画としてのめり込ませてもらえないものがあったのは確かであり、大賞には推せないとの意見で一致した。

続いて、2020年の映画界を振り返るうえで避けては通れない、
「鬼滅の刃」問題について意見交換。
テレビシリーズの延長線上として見る分には一定の満足度があるものの、
映画単体として観た場合、そこまでの評価はできないという意見が大勢を占めた。

「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」
「はりぼて」
「なぜ君は総理大臣になれないのか」
など、ドキュメンタリーに興味深い作品が並んだ年であったことも話題に上った。

さて、大賞の選考である。

私は、ふくだももこ監督の「君が世界のはじまり」を推し、その魅力を語ったが、
世の中的にもあまり評価されておらず、ここでも票を集めることはできなかった。
残念。
それでも、大好きな映画であることに変わりはない。

河瀨直美監督の「朝が来る」については、脚本・演出の素晴らしさに加え、
永作博美さん、蒔田彩珠さんといった俳優陣の頑張りにも評価が集まった。
浅田美代子さんは、師匠?の樹木希林さんに似てきたとの意見も出た。
しかし、大賞となると、少し違うのかと。

諏訪敦彦監督の「風の電話」は、東日本大震災から10年が経過しようとする時期に撮られるべくして撮られた佳作。
モトーラ世理奈さんの演技も実に印象的であった。
良心的に作られた映画がしっかり評価されるのは素敵なことである。

数ある作品の中から、2020年伝えたい映画大賞に選んだのは、
HIKARI監督の「37セカンズ」。
女性監督の活躍が目立った年のナンバーワンはやはり女性監督作品だった。
脳性麻痺を持つ女性が主人公で、演じた佳山明さんも実際に同じ障害を持っておられる。
しかし、ただリアルなだけでなく、エンタテインメントとしてもしっかり成立させている。
障害者の性、という難しいテーマにもド真正面から斬り込んでいて、監督の表現者としての矜持がひしひしと伝わってくる。
終盤、「あら?」という展開もあるのだが、「伝えたい」という気持ちになるという点では、この映画が一番だった。

続いて、2位、3位の選考。
まず、最も議論した「アルプススタンドのはしの方」を3位に決めた。
ああでもない、こうでもない、と議論させるというのはそれだけ作品に力があるということでもある。

残るは2位。
一瞬、本広克行監督の「ビューティフルドリーマー」の名前が挙がり、この映画が大好きな私は色めき立ったのだが、さすがにないだろうと。
さすがにないか。
でも、名前が出ただけで嬉しかった。

「喜劇 愛妻物語」は、水川あさみさんに女優賞を進呈させていただいたし、
「ミッドナイトスワン」は、日本アカデミー賞で評価された。
そんななか、とてもいい作品であるにも関わらず、各種の映画祭でなぜかあまり名前が挙がらなかったのが、
瀬々敬久監督の「糸」である。
あまり期待せずに観に行った私は、「恐れ入りました」と頭を下げた記憶がある。
映画的なスケールがあり、いい脚本、いい演出、いい演技、
楽しめて、最後まで観る側の気持ちが途切れず、クライマックスでしっかり泣ける。
見事だった。

結果、「2020年伝えたい映画大賞」は、
大賞 「37セカンズ」 HIKARI監督
2位 「糸」 瀬々敬久監督
3位 「アルプススタンドのはしの方」 城定秀夫監督
と決定した。

今年は、審査会場にギャラリーを招いた。
映画賞の審査をオープンにして、さらにエンタメ化できないかという試みである。
どうだっただろうか。

これからもいい日本映画が撮られますように。
いい映画がきちんと評価されますように。
心から祈る。
映画がある日常が守られますように。

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書評 「参加したくなる会議のつくり方」 [読書記録]

しょっちゅう会議があるが、
誠に残念ながら、
「実りの多い会議だったなあ」
と振り返ることができる機会は滅多にない。
だから、会議には大きな期待はしなくなって久しい。
となると、いきおい大した準備もせずに会議に臨むことになりがちであり、
そのことが、さらに会議の生産性を下げてしまうという悪循環。
どこの職場にもあることだと思う。
会議をなんとかしたい。

著者の加留部貴行さんは、ファシリテーションの専門家。
ファシリテーションと聞くと、「なんだ、それ?」となる方も多いと思うが、
要は、会議を意義のあるものにする技術とでも言うのだろうか。
著者は、「引き出す力」を強調されている。
本書は、ファシリテーションを学ぶためのかなり本格的なノウハウ本である一方、
初心者も入りやすい入門書でもある。

「基礎編」「技術編」「実践編」「成長編」と順を追って書かれているので、それぞれのレベルに合わせて学ぶことができる。
ファシリテーションの経験がある人は、技術編・実践編で具体的なテクニックを知ることができることになる。
ただし、「基礎編」に書かれている
「会議とは何なのか」
「ファシリテーターの役割は何なのか」
という点は、ファシリテーションに慣れている人であっても、常に振り返りたいところである。
ここをないがしろにしてテクニックに走ると、振り返れば誰もついてきていないということになりかねない。

会議における様々な困りごとにアドバイスしてくれているのも嬉しい。
こんな時にはどうする、
こんなシチュエーションではどう対応する、
用意すべきものは何か、
といった実践的なノウハウが満載である。
さらに、パネルディスカッションやオンラインの場などでの活用方法についても書かれているので、
この一冊があればほとんどの現場に対応できそうである。

一般に、こうしたノウハウが書かれた本では、
こちら側がどう働きかけるか、ということに焦点が絞られるが、
本書に貫かれているのは参加される側への温かい視点である。
あくまでも参加者が主役であるという気持ちの表れだと思う。

論語に
『近き者説(よろこ)び、遠き者来る』
という言葉がある。
「よい政治とは何か?」と聞かれた孔子が、
「近くにいる人が喜んで、遠くにいる者はその評判を聞いて訪ねてくるといった政治です」
と答えたというものである。
この本のタイトル「参加したくなる会議のつくり方」から、何か似たものを感じる。
呼ばれたから行く、というのではなく、あの会議なら行きたい、となれば、
きっと会議の生産性も上がるだろう。
「参加したくなる会議」が広がれば、職場の風景も大きく変わりそうだ。

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「2020年伝えたい映画大賞」 その1:俳優部門 [映画評]

日本アカデミー賞をはじめとする各種映画賞に疑問を感じ、
自分たちで「伝えたい」と願う映画を選ぼう、という思いで始めた「伝えたい映画大賞」。
今年が第2回となる。
ちなみに去年の結果は、
大賞「洗骨」    監督・照屋年之(ガレッジセールゴリ)
2位 「岬の兄妹」  監督・片山慎三
3位 「愛がなんだ」 監督・今泉力也
女優賞:和田光沙さん(「岬の兄妹」の演技で)
男優賞:池松壮亮さん(「宮本から君へ」の演技で)
であった。

まずは俳優賞。
「伝えたい映画大賞」では、主演・助演の区別を付けず、優れた演技をされた方を選ぶことにしている。

男優賞では、
菅田将暉さん(「糸」「浅田家!」)
宇野祥平さん(「罪の声」ほか多数)
村上虹郎さん(「ソワレ」)
友川カズキさん(「どこへ出しても恥ずかしい人」)
草彅剛さん(「ミッドナイトスワン」)
といった方々の名前が挙がった。
極端に異色な友川さんをはじめ、多士済々のメンバーだが、選考会では宇野祥平さんを推す声が圧倒的であった。
今年大きな評判をとっている「花束みたいな恋をした」でも、一瞬だけ出演されている宇野さん。
役名も無いような出演の時もあり、ピリッとしたスパイスのような存在だが、
2020年は役者として大きな評価を獲得した年となった。

女優賞では、
水川あさみさん(「喜劇 愛妻物語」「ミッドナイトスワン」など)
佳山明さん(「37セカンズ」)
モトーラ世里奈さん(「風の電話」)
芋生悠さん(「ソワレ」「37セカンズ」)
齋藤飛鳥さん(「映像研には手を出すな!」)
土村芳さん(「本気のしるし」)
といった名前が挙がった。
モトーラさんの訴求力・将来性を評価する声が出され、
「37セカンズ」での佳山さんの熱演も特筆すべきとされたが、
すべてを吹き飛ばすほど、2020年の水川あさみさんの活躍には目を見張るものがあった。
「グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜」「喜劇 愛妻物語」「ミッドナイトスワン」「滑走路」「アンダードッグ」と話題作に出まくり、いずれも印象的な演技を披露された。
中でも「愛妻物語」での悪妻ぶりは圧巻。
赤いパンツが強烈で、女優として二皮ほど剥けられた感がある。

というわけで俳優部門は、
男優賞は、宇野祥平さん
女優賞は、水川あさみさん
がそれぞれ選ばれた。
お二人とも多くの映画に出演され、
それぞれの作品で俳優魂をいかんなく発揮されたことへの敬意を込めての選出である。

作品賞については、追ってお知らせしたい。

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ちゃんと春ですよ  ~ 春・秋がないとお嘆きの貴兄に ~ [ヨモヤ]

ここ数年来、
「冬が終わったと思ったらすぐに夏が来て、春がなくなってしまった感じがする」
「夏が終わったと思ったらすぐに冬が来て、秋がなくなってしまった感じがする」
とおっしゃる方が多くなった気がする。
夏と呼べる季節が前より長くなったので、そうおっしゃりたくなる気持ちもわからないではないが、個人的にはあまりそうは思わない。
ちゃんと春は春だし、秋は秋だ。
花は咲くし、葉は色づく。

現に、今、春爛漫である。
今年は3月から穏やかな日々が続いており、たっぷり春である。
今をしっかり楽しもう。
少し暑くなったとき、「春がなかった」などと嘆かないで済むように。

春がない、秋がない、とおっしゃる方は、失礼ながらちょっと暑さ寒さに敏感過ぎるように思う。
こらえ性がない、とまで言うと言い過ぎではあろうけれど。
話は飛躍してしまい、
それは偏見だろうと指摘されそうだが、
社会の悪いところにばかり目が行って、
政治がー!
とおっしゃっる方と共通する何かを感じてしまう。

余計なことを言ってしまった。
せっかくの春なのに、無粋である。
今は春。
秋はもちろん、
冬も夏もそれはそれで素晴らしいが、
春は一年で最も美しい季節とも言われる。
しっかり楽しもう。

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映画評 「騙し絵の牙」 [映画評]

この映画の存在を知ったのは、去年の春ごろ。
映画館で予告編を観た。
2020年の6月公開とのことであった。
「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督が、
大泉洋さん主演、松岡茉優さん共演で出版社を舞台とした映画を撮る。
これはもう面白いに決まっていると思った。

しかし、コロナ禍で公開は延期。
一年近く待った後、ようやくの公開となった。

延々と流されていた予告編で強調されていたのは「騙し合いバトル」。
登場人物が全員嘘をついている、
予告編を見ているあなたもすでに騙されている、
などと散々煽られた。
となると「コンフィデンスマンJP」みたいな感じになるのかと誰だって思うだろう。
実際には、出版社の内幕ものといった感じの作品。
なんで、予告編でこれから映画を観ようとしている騙さなければならないのか、理解に苦しむ。
予告編を作った人が「騙し合いバトル」と理解したのなら、ちょっとどうかしているし、
監督やスタッフもそれを止めないのも意味不明。
映画の出来とは違うところで大いに首を傾げさせられた。
予告編も映画の一部と考えるなら、もっと誠実に作っていただきたいものである。
予告編を誠実に作っていただきたい、と思うことはそんなに無理な望みだろうか。

必死に気を取り直して、映画自体の評価に。
映画自体は、娯楽作として水準以上のものだった。
始まってすぐに、ちゃんとした映画だとわかる。
ちゃんとした映画はあまり作られないので、それだけでも嬉しい。

話はテンポよく進み、楽しく引き込まれる。
本好きの人(私もそうだが)がくすぐられる展開も盛りだくさん。
しかし、期待をかなり高めて観に行っただけに、大満足とまではいかなかった。
大泉洋さん演じる速水という編集長の背景がもう少し描かれていれば、もっと感情移入ができたのではないだろうか。
大泉さんはさすがの演技だったが、なぜこうした行動や考え方をしているのかが示されないので、
興奮が高まらない。
松岡茉優さんは、演技派としてすっかり安定。
大泉さんに振り回されつつ、本への愛を貫く編集者を熱演された。
渋い役の多い國村隼さんが、癖のある長髪の作家として出演されていたのが個人的には面白かった。
脇を固めるメンバーも、宮沢氷魚さん、池田エライザさん、斎藤工さん、中村倫也さん、坪倉由幸さん、
佐野史郎さん、リリー・フランキーさん、木村佳乃さん、小林聡美さん、佐藤浩市さんと、
豪華かつ多士済々。

「騙し絵の牙」は、予告編を見ないで鑑賞することを強くお勧めする。
もう見ちゃったよ、という人は、いったん忘れてください。
予告編なしで、吉田大八監督への過度な期待もなしで観れば、
十分に楽しめる映画だと思う。

ちなみに、原作はKADOKAWAから出版されているのだが、
劇中にKADOKAWAが所沢に建設した「サクラタウン」を思わせるような図が出てくる。
それがどのような取り上げられ方なのかは、観てのお楽しみである。

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日本は後進国になったか なったとしたら何故か [ヨモヤ]

日本経済新聞の中ほどのページ、マーケット総合面に、
「大機小機」
というコラムがある。
なんでも連載開始は大正9年、1920年だという。
匿名の執筆陣による辛口のコラムで、私も毎日目を通している。

4月9日付のコラムは
「いつの間に後進国になったか」
というタイトルで、日本が様々な分野で遅れてしまっていることについての慨嘆が述べられている。
具体的には、
・ワクチンは開発国でも生産拠点でもなく、接種率は世界で100番目
・デジタル後進国も鮮明で、半導体でも振るわない
・原発事故を経験しながら環境後進国
・世界120位のジェンダー後進国
・ウイグルやミャンマーへの対応で見える人権後進国
・財政規律のゆるい財政後進国
と、これでもかと悪いところを言い募る。

朝から暗い話を読むのは嬉しくはないが、事実を受け止める必要はある。
「ちょっと一面的かな」
と思う点はあるが、遅れているところは取り戻していきたいものである。

しかし、後進国に転落した背景の分析には、首を傾げてしまう。
コラムの筆者は、その原因は、
『政治・行政の劣化がある』
というのである。
そして、
『責任も取らず、構想力も欠く』
『問われるのは、日本のガバナンス(統治)である』
という。

そうだろうか。
ワクチンの開発をするのは政治ではなく民間の力であり、
デジタルを進めるのも、環境技術を開発するのも政府ではない。
ジェンダーが課題だとしたら、それは一人一人の問題であろう。
これらすべてを政治・行政の責任にするのはどうなのだろう。
そもそも、指摘するまでもないことだが、政治を選んでいるのは我々である。

自国の後進性を散々あげつらい、
その原因を、政治をはじめとした他者に求める。
この姿勢こそが後進性の元凶であり、拍車をかける要因でもあるように思うのだがどうだろう。

いやひょっとして、歴史ある「大機小機」のことだから、
そう考えさせるためにあえて偽悪的に書いたのではないか、などと勘繰ったりもして。
(んなこたあないだろうけれど)

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世界は景気の過熱感が警戒される状況に [経済を眺める楽しみ]

国際通貨基金(IMF)が最新の世界経済見通しを公表し、2021年の世界成長率の予測を6%に上方修正した。
この予測が当たれば、過去40年以上で最大の伸びとなる。
もちろん
2020年がマイナス3.3%に落ち込んだ反動
という面はあるが、それを補って余りある成長ということになる。

牽引するのは中国で、プラス8.4%。
アメリカもここに来て急回復を見せていて、プラス6.4%。
ユーロ圏も4.4%、イギリスは5.3%。
ただし、日本は相対的には回復の遅れが見込まれていて、プラス3.3%。
それでもプラスはプラス。

日本国内での報道を見ると、
経済は瀕死の状況であるかのようだが、
世界を眺めると光景は全く異なる。
観光業や飲食業など、非常に厳しい状況におかれている方々がおられるのは確かであり、
そちらへの対応を取っていく必要があるのは言うまでもないのだが、
世界経済全体をとらえると、むしろ過熱感が心配されるような状況であることは知っておく必要がある。

景気の上昇が見込まれている理由としては、
当然のことながらワクチンの普及によるコロナ禍の払しょくという要素が大きい。
実際、ワクチン接種が広がっているイギリスでは、経済はかなり正常な状況に近づいているようだ。
そしてもう一点が、巨額の財政出動。
特にアメリカは200兆円に上る超大型の経済対策を発表しており、これが景気を引っ張ると見られている。

ただし、ここまでお金を出してしまうと、インフレを心配する声も一方で高まっている。
実際、今年の頭あたりからは、長期金利の上昇が見られ、それが株価の足を引っ張る展開もあった。

コロナで深い痛手を負った翌年であり、
途上国の立ち直りには時間がかかるなど、順風満帆ではない。
しかし、世界中の経済が崩壊していくといった状況とはかけ離れていること、
むしろ、回復が急過ぎることが心配されていることなどは理解しておきたい。
マイナスの情報しか流れていない日本のニュースだけを見ていると、
経済の先行きを見誤りかねない。
景気がいい話をするのはニュースではないと考えておられる節さえある。

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映画評 「ノマドランド」 [映画評]

「ノマド」とは「遊牧民」のこと。
日本では、「ノマドワーカー」なる言葉もあるが、これはパソコンやスマホなどを使って、
オフィス以外のあちこちを転々としながら仕事をする人のことを指す。
この映画でのノマドは、アメリカの各地を移動しながら車上で生活している人のこと。
映画の中で主人公が、かつての教え子に
「先生はホームレスなの?」
と聞かれ、
「いいえ、ハウスレスよ」
と答えるシーンがある。
ホーム、つまり帰るべき場所はある、
ただ、物理的な家がないだけで、ということだろう。

主人公の女性は、金融危機のあおりにより住む場所を追われ、夫も病気で失っている。
そして放浪の旅を続けるのだが、お金を得るためにアマゾンで一時雇用として働いたりする。
まったくの根無し草になるわけではなく、ネット企業で職を得るあたりが現代のノマドの姿なのだろう。

旅の途中で、主人公は多くのノマドたちに出会うのだが、
普通の映画とは異なり、実在のノマドたちのなかに身を投じ、彼らと路上や仕事場で交流したのだという。
登場人物の多くも、俳優ではなく、本物のノマドなのだそうだ。
どうりで真に迫っているわけだ。

主人公の女性を演じるのはフランシス・マクドーマンドさん。
アカデミー賞、エミー賞、トニー賞のすべてを受賞している演劇の三冠王。
本作でもかなりしんどいシーンがあるのだが、ズバッとこなされている。
女優魂全開である。

本作はベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞しており、アカデミー賞でも本命視されているという。
確かに力作であり、時代を切り取っている。
が、エンタテインメントとしてどうかというと、満足度が高いわけではない。
ドキュメンタリーとして観れば、それなりに、という感じだが、
映画的なときめきを求めると肩すかしとなる。
ストーリーらしいストーリーもない。
観る人を選ぶ面も強そうな作品であり、それなりの覚悟を持って劇場に足をお運びいただきますように。

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