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さや香の2本目 [ヨモヤ]

M-1が好きだ。
もちろん、お笑いが好きだからではあるが、
それだけではない。
なんというか、ひりつく感じがたまらない。

M-1をあおるPVに、溜めに溜めて、
「俺たちが 一番 面白い」
というフレーズがある。
面白い、という主観的かつ刹那なものに、
自らの全存在を懸けるところにしびれる。

さて、M-1でのさや香の2本目が話題である。
披露したのは、
2年連続でファーストラウンドをトップ通過し、
今年こそはと思っていたさや香ファンも啞然の、
「見せ算」。
何を言っているのかわからないし、
わかったとしても面白くなかった、との声を聞く。
なんでも、去年の段階からこれを2本目にやろうと決めていて、
そのために勝ち抜けるネタを1本目に持ってきたのだという。

私は、ファイナルラウンドの3組を観終わって、
令和ロマンもヤーレンズの方がウケていたとわかりつつ、
さや香に優勝してもらいたいと願った。
それは別に、さや香が尖がっていたからとか、
やりたいことをやったさや香がカッコよかったから、
とかいう理由ではない。
単に、一番面白く、一番すごいと思ったからである。

あのネタでさや香は
「俺たちが 一番 面白い」
ということを証明しようとし、私はそれが証明できたと感じた。

来年もさや香はM-1に出るのだろうか。
是非出てほしい。
しかし優勝できる気はしない。
決勝に残るのも大変だろうが、
ここまでハードルを上げてしまうと、
何をやっても割り引かれてしまうだろう。
勝手にハンデをしょっている感じである。
しかしそれでも出場して、
自分たちの「一番面白い」を見せてもらいたい。
それが見たい。
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日経平均は34年ぶり!の高値での大納会 [資産運用]

東京株式市場は、12月29日、2023年の大納会を迎えた。
大納会の日経平均株価の終値は、前日比75円45銭安の3万3,464円17銭。
この数字、年末としては、
史上最高値となった1989年(3万8,915円87銭)以来、34年ぶりの高値である。
34年ぶりということにも驚くし、
30年以上経っていまだに高値を更新できないという事実も悲しい。

今年の株価は、特に年の前半に力強い上昇を見せた。
2万5,800円台で始まった日経平均が、ぐいぐい上がり、
7月3日にはバブル崩壊後の高値となる3万3,753円33銭を記録した。
その後は伸び悩んだが、
昨年末から約30%の上昇となっており、十分に強い年だったと言えるだろう。

株価上昇の要因について、日本取引所グループの山道CEOは
「ことしの株価の上昇にはコロナ禍からの正常化や、地政学リスクを受けた日本への資金シフト、それに好調な企業業績と設備投資への意欲の高まりが寄与している」
とおっしゃったそうだ。
ここに挙げられたことに加え、
バフェットさんが日本買いを宣言されたこと、
円安に振れたこと、
なども忘れてはならないだろう。

ゲストとして招かれ、大納会の鐘を叩いたのは、
WBCで侍ジャパンの監督としてチームを率いた栗山英樹さん。
栗山さんは、
「WBCで私は日本の底力を信じていました。
来年こそは世界が日本の経済に憧れる、そういう存在になってくれると信じています」
とあいさつされたという。

憧れられるかどうか、
憧れられる必要があるかどうかはさておき、
元気な株式市場ではあってほしい。
そして、そうなれる可能性が芽生えていると感じる。

来年も今年と同様に25%以上上昇したら、
日経平均が40,000円を超えることになる。
2年連続の大幅上昇は高望みが過ぎると思うが、
最高値への足場を固める年にすることはできるのではないか。

国際的に、来年はやたらと選挙の多い年であり、
その結果による変動も見込まれるが、
悲観に傾く必要はないのではないかと考える。
最高に良い年でなくていいので、
普通の株式相場でありますように。

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映画評 「屋根裏のラジャー」 [映画評]

個人的に、子ども時代の卒業をテーマにした作品に弱い。
涙腺が緩む。
最近では「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」にやられた。
「STAND BY ME ドラえもん」もこのパターンだったか。
「トイ・ストーリー」にもその匂いがある。
本作「屋根裏のラジャー」もこの系譜。

クライマックスで、大人が昔の自分を思い出すシーンにはグッと来た。
特に、犬好きの私にとっては。

原作は、イギリスの作家A・F・ハロルドによる小説「ぼくが消えないうちに(The Imaginary)」。
この邦題をそのままタイトルにした方がわかりやすかったのに。

映像が終始美しい。
作画も実に丁寧。

しかし、途中、話がタルくなる。
また、残念至極なのは悪役の立ち位置がさっぱりわからないこと。
何をしたいのかもわからないし、
強さ、怖さも伝わらない。
悪役がしっかり描けていたら、まるで違う作品になっていたと思う。

声の出演は、寺田心さん、安藤サクラさん、杉咲花さん、仲里依紗さん、山田孝之さんら、
有名俳優陣。
俳優さんを声優として使うとどうしても顔が浮かんで来てしまうものだが、
今作では、それほど違和感がなかった。

上映時間の108分はそれほど長いものではないが、
タレているところをグッと切り込み、
悪役を際立たせて、
90分くらいの作品にしていたら、もっと見応えがあったと思う。
響く可能性がある題材だけに惜しい。

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映画評 「あみはおばけ」 [映画評]

72分の小品。
34歳の新進・今野恭成さんが監督・原作・脚本を手がけたSFダークファンタジー。

父と小学生の娘が暮らす食卓に、大きめのデスクトップパソコンのような「筺(はこ)」があり、
そこに女性の顔だけが映っている。
その女性はすでに亡くなった母であるが、
母は自由に会話ができ、コミュニケーションも取れるようになっている。
娘は、その筺を学校に持って行き、授業も一緒に受けている。

へんてこりんな設定だが、割と早めに種明かし的な展開があり、
タイトルの意味もわかってくる。
しかし、そこからさらにあれやこれやあるので、ネタバレがあっても飽きることはない。

子役を含め、女優さんがいい。
主演の小橋めぐみさん、その娘役の浅田芭路さん、職場の同僚役の渡辺早織さんの三人が、
ルックス的なものも含め、しっかり演じてくださっているので、
こうした作品が陥りがちな安っぽさがない。

ファンタジーなのか、ホラーなのか、SFなのか、
観る方の気持ちが定まらないうちに進んでしまうのは、
おそらくプラスではない。
わかりやす過ぎるのも興醒めだが、どこに行くかわからず気持ちが落ち着かないので、
感情を乗せにくかった。
このへん、さじ加減が難しい。

ふらふらした気持ちのまま、映画は終了。
オチが意外とわかりやすかったので気持ちは落ち着いたが、
もっと揺すぶったままの方がよかった気もする。
このへん、さじ加減が難しい。

もっと面白くできたような、
いや、与えられた範囲で精いっぱいの作品ができたような、
なんとも複雑な感覚にとらわれた。
ともかく、
伝えたいものがあることは伝わった。

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世界王者相手に圧勝でも倒せないと苦戦に見える井上のケタ違い [ヨモヤ]

井上尚弥が、史上2人目となる2階級での4団体統一を果たした。
4団体統一というだけで快挙だが、
それを2つの階級でとなると、いろいろな意味でごく限られた選手にしかできない。
日本ボクシング史に永遠に語り継がれる生ける伝説である。

対戦相手は、WBA&IBF王者のマーロン・タパレス。
2団体統一王者であるにも関わらず、下馬評は圧倒的に井上有利。
事前のオッズでは、
井上の勝利が1.1倍、タパレスの勝利が15倍といった具合だった。
こうした状況で戦うのは、井上にとってかえってしんどいだろう。
しかし、常に自分を追い込んでリングに上がって来る。
その心の強さが素晴らしい。

試合は、井上が圧倒。
9ラウンド終了時の3人のジャッジの採点は以下のとおり。
89―81
88―82
90―80

ただ、これだけ一方的でもなかなか倒せないと、それだけで井上苦戦と映る。
実際、いいパンチもいくつかもらっていたし、
いつになく井上の戦い方も強引だった。
なぜなのだろう。
これはちょっと聞いてみたい。

これからしばらく、
井上の言葉を借りれば来年も再来年も、
スーパーバンタムに留まるようだ。
相手としては、
WBC1位で指名挑戦権を持つルイス・ネリ、
WBA1位のムロジョン・アフマダリエフの名前が挙がる。
山中との因縁があるネリとの試合が実現すれば盛り上がるだろうがどうだろう。

井上尚弥は現在30歳。
ボクサーとして若くはないが、老け込む年齢でもない。
あと何年も強い姿を見せてくれるだろう。
しかし、ボクシングは何が起きるかわからない。
1試合1試合、大切に見届けたい。

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まさに千両役者 武豊の有馬記念 [ヨモヤ]

イクイノックスとリバティアイランド不在の有馬記念。
しかし、史上初となる三世代ダービー馬の共演や、
タイトルホルダーのラストラン、
春の天皇賞馬、凱旋門賞4着馬の出走など、
見どころは満載だった。

好メンバー、混戦が拍車をかけたか、
有馬記念の売上は、前年比104・6%の545億7963万4000円。
有馬の売り上げが540億円を超えたのは、
テイエムオペラオーが制した2000年以来、23年ぶりのことだという。

そんなレースを制したのは、去年のダービー馬ドウデュース。
鞍上の武豊は、クリスマスイブに開催された有馬記念を、これで三連勝。
怪我から復帰して、
この日に騎乗したのは有馬記念だけという状況で、
見事に優勝。
まさに千両役者である。

JRAのGⅠレースは、もう何年も何年も、
外国人騎手に席巻されている。
ルメールが勝ちまくっているが、
彼だけではなく、短期免許で来た騎手もどんどんGⅠを制す。
それは別に悪いことではないが、
なんとなく寂しい思いがするのも避けられない。
そんななかでの武豊である。

インタビューでの
「ドウデュースも私も帰ってきました」
「やっぱり競馬っていいなと思います」
という言葉も響く。

馬券を離れて(いや、もちろん、離れたくはなかったけれど)、
いいものを見せてもらった。

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M-1グランプリ2023を振り返る [ヨモヤ]

当たらないと思いつつ、
12月21日のブログで予想をしてみた。
私の優勝候補はさや香。
「6番目くらいにヤーレンズが出てきたら弾けるかもしれない」
という予想が登場順込みで当たったのはもちろんまぐれ。
https://matoko.blog.ss-blog.jp/2023-12-21

今年は、決勝に残った3組が、
3組とも面白いネタを披露してくれた。
もちろん、さや香のネタは賛否両論というより否の方が圧倒的に多いのだろうが、
私はああいう姿勢が好きである。

1組ずつ振り返ってみよう。

1組目は令和ロマン。
ここ数年、お笑いファンから熱い支持を受けているコンビである。
しかし、この1本目は私にはまるでピンと来なかった。
意外な高得点に驚いた。

2組目はシシガシラ。
禿げネタしかない、というのは潔いのだろうか。
4分続くとさすがに。

3組目が優勝候補筆頭のさや香。
去年の1本目ほどではなかったが、殴り合いのようなしゃべくりで笑いの渦を起こした。
ほぼ決勝進出間違いなしの得点をたたき出したのも納得。

4組目はカベポスター。
じわじわ来る感じの彼らの笑いが好きである。
4分間で、次々に爆発させなければならないM-1の決勝に向いているとは思えないが、
ちゃんと楽しめた。

5組目はマユリカ。
会場はウケていたが、キャラクターを持て余している感もあり、
個人的にはそれほどはまらなかった。

6組目は、台風の目になるとしたら彼らと思っていたヤーレンズ。
細かいネタがイチイチ面白く、会場もこの日一番のウケ方。
是非2本目も見たいと思わされた。

7組目は真空ジェシカ。
彼らの笑いが好きだ。
しかし、M-1決勝の審査員との相性がどうなのだろう。
もっと点数が出てもいいと思ったが。

8組目はダンビラムーチョ。
ここまで上がってきたのだから面白いネタもあるのだろうが、
今日のネタではしんどい。

9組目はくらげ。
一番知らないコンビだったので期待したが、
同じ展開の繰り返しでは爆発しない。

最終10組目がモグライダー。
売れっ子になった二人が、よくここに帰ってきた。
しかし、今日のネタはイマイチ。

最終決戦進出は、
さや香、ヤーレンズ、令和ロマンの3組。

M-1は新しい笑いを求める大会である。
となると、去年準優勝のさや香には不利な舞台。
それでも、彼らに勝ってほしいと願った。

2本目、令和ロマンは1本目よりずっと面白かった。
よくこちらを残したと思ったし、
1本目に高い点数を入れた審査員もさすがだと感じた。
私なら、1本目で落としていた。

ヤーレンズも面白かったが、ところどころ噛んだこともあり、
1本目ほどではなかった。

さや香。
審査員から1票も入らず、山田邦子さんから「全然面白くなかった」といじられていたが、
私は嫌いではない。
ストロングスタイル、いいじゃないか、と感じた。

M-1のファイナルは、往々にして1本目より面白くない場合がある。
1本目に勝負ネタを持ってきているし、
キャラの意外性もなくなっているから、
それはある程度仕方がない。
しかし、今年の令和ロマンとヤーレンズは、2本目でも失速しなかった。
個人的には、さや香の優勝が見たかったが、
今日のところは仕方がない。

令和ロマンは、来年も出ると宣言した。
連覇は難しいと思うが、その意気やよしである。

スタッフの皆さんに考えていただきたいことがある。
選球眼に間違いはないだろうか。
決勝に進出した9組のうち何組かは、「え?」という感じだった。
準決勝にもっと面白い組がいたに違いない。
そちらを選ぶべきだった。
失礼ながら、
選んだ9組に間違いがなかったか、間違っていたとしたらどこでどう間違ったのか、
よく吟味していただきたい。
敗者復活戦のやり方も再考が必要だと思う。

年々規模が大きくなるM-1グランプリ。
支えるスタッフの皆さんのご苦労も並大抵ではないと思う。
本当にお疲れ様でした。
来年も楽しみにしています。
M-1がある国に生まれてよかったです。

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由伸革命 第二章の舞台はアメリカ [ヨモヤ]

オリックスからポスティングでメジャー移籍を目指していた山本由伸投手が、
ドジャースと12年総額3億2500万ドル(約465億円)で契約に合意したという。
この契約は、
投手としてメジャー史上最高額&最長。
まだメジャーで一球も投げていない投手が、
とんでもない評価を得たことになる。

なぜこんな大型契約になったかということについてはいろいろ分析されているが、
山本の実力が認められたことに加え、
25歳という若さも後押し材料になったのだろう。
今年のメッツでの千賀の活躍も、ためらいをなくさせるものになったのかもしれない。

山本(以下「由伸」)は、これまでも日本野球の常識を次々に覆してきた。
最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、勝率第1位の投手4冠と沢村賞を3年連続で獲得、
という実績もさることながら、
その練習方法や投球フォームも独自のものである。

そもそも由伸は、鳴り物入りでプロ野球に入ってきたわけではない。
甲子園出場歴はなく、
ドラフトは4位。
注目度は決して高くなかった。

178cmという上背は、
大谷の193㎝、ダルビッシュの196㎝、佐々木朗希の192㎝と比べるまでもなく、
投手としては小柄の部類に入る。
それを克服するために普通なら筋トレをやりそうなものだが、そこに手を出さず、
ジャベリックスロー(やり投げのようなもの)を取り入れる。
誰もが投げるスライダーは投げない。

足を上げないフォームも独特。
しかも、好成績が残っているのに、毎年変えてくる。
さらなる高みを目指しているからだろう。

由伸がメジャーで通用しない、
ということはないと思うが、
環境の違いに戸惑うことはあるだろうし、
向き不向きということもある。
だから、由伸が苦しむこともあり得る。

しかし、それはそれで悪くない。
由伸は決して完成されたプレイヤーというわけではなく、
さらに上昇中の選手だからである。
壁に当たれば、それを乗り越えることでさらに力を付けるだろう。

由伸が行ってきた野球の常識破りは、由伸革命、と言われることがある。
3年連続の投手4冠で革命の第一段階は成功裡に終了した。
ここからは第二章。
どんな展開があるのか、心配もあるが、楽しみの方がはるかに大きい。

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日本とアルゼンチン [ヨモヤ]

「ポピュリズム大陸 南米」という本を読んだ。
外山尚之さんという前サンパウロ支局長の日本経済新聞記者の方が書かれたもの。
ベネズエラ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビアなど南米各国の社会情勢が、
「ポピュリズム」
に焦点を当てながら描かれている。

南米というと経済的には厳しい国が多いように思うが、
よく考えてみたら、資源に恵まれ、人口に恵まれ、
条件的にはもっと豊かでもいいはず。
実際、アルゼンチンをはじめ、現在より豊かな時期があった国も少なくない。
それが、正しい選択をしてこなかったために
ズルズルと悪化してしまったようだ。

この本でも紹介されていたが、かつて、ノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツさんが、
以下のようなジョークを話されたという。
「世界には4種類の国がある。先進国と発展途上国、そして日本とアルゼンチンだ。」

どういうことかというと、
世界の国は先進国と途上国に分けられ、
先進国は普通はそのまま先進国、途上国もなかなか先進国にはなれないなか、
日本は途上国から先進国になった特例、
アルゼンチンは先進国から途上国になった特例、
というわけである。

なんでも、アルゼンチンの知識人は、日本人相手にこの話をよくするらしい。
もちろん自虐なのだが、その一方で、豊かであった自国への自負もあるという。

政治が、国民に人気のある政策を取るのは至極当然である。
そのために選ばれたのだろうし、そうなることは民主主義としても真っ当である。
しかし、苦い薬を徹底的に避けていたら、いつか破綻が訪れる。
この本を読んだ人は誰も、南米の辿ってきた歴史と我が国を重ねるだろう。

政治の責任より、選んだ自分たちの責任の方が大きい。
未来のために、時に厳しい道を歩ける国民でありたいところだが、どうだろう。

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映画 「市子」 [映画評]

ここのところ、
時系列をあっちゃこっちゃしたり、
群像劇のようにいろいろな人に焦点を当てた短い話を挟んでいく映画を、
妙にたくさん観る。
この手法、
監督がその手法に酔っている感じが気色悪かったり、
単にわかりにくくなったりすることがほとんど。
なんとなく、いい映画っぽく見えるという利点があるのかもしれないが、
どうにも好きになれない。
そんなややこしくするより、真っすぐ伝えたらいいじゃないですか。

本作は、そのわかりにくい手法を使ってわかりにくくしてしまった典型例。
シリアスっぽい作りなのだが、
その割に細部の辻褄がおざなりなのも気になる。

どんなアラがあっても、主人公の市子に心が寄っていけばそれでいいのだが、
そうもならず。

市子は、本名とは違う名前を名乗っていたのだが、
去年評判となった「ある男」という映画でも使われていた設定だし、
古くは宮部みゆきさんの傑作小説「火車」で掘り下げられていたテーマでもある。
斬新さはなくても新たな何かが提示されればそれでいいのだが、
そうもならず。

杉咲花さんは好演しているが、それがなおさら。
杉咲さんを追う恋人役の若葉竜也もいいのだが、それがなおさら。
大好きな映画「ちはやふる」に出ていた森永悠希さん、
同じく大好きな映画「君が世界のはじまり」に出ていた中田青渚さんが脇を支えていた。

伝え方に工夫があるのは悪いことではないし、
見せ方にいろいろなアイデアがあるのも楽しい。
ただ、ど真ん中に芯があってほしい。
伝えたいものをガツンと伝えてほしい。

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