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映画評 「あみはおばけ」 [映画評]

72分の小品。
34歳の新進・今野恭成さんが監督・原作・脚本を手がけたSFダークファンタジー。

父と小学生の娘が暮らす食卓に、大きめのデスクトップパソコンのような「筺(はこ)」があり、
そこに女性の顔だけが映っている。
その女性はすでに亡くなった母であるが、
母は自由に会話ができ、コミュニケーションも取れるようになっている。
娘は、その筺を学校に持って行き、授業も一緒に受けている。

へんてこりんな設定だが、割と早めに種明かし的な展開があり、
タイトルの意味もわかってくる。
しかし、そこからさらにあれやこれやあるので、ネタバレがあっても飽きることはない。

子役を含め、女優さんがいい。
主演の小橋めぐみさん、その娘役の浅田芭路さん、職場の同僚役の渡辺早織さんの三人が、
ルックス的なものも含め、しっかり演じてくださっているので、
こうした作品が陥りがちな安っぽさがない。

ファンタジーなのか、ホラーなのか、SFなのか、
観る方の気持ちが定まらないうちに進んでしまうのは、
おそらくプラスではない。
わかりやす過ぎるのも興醒めだが、どこに行くかわからず気持ちが落ち着かないので、
感情を乗せにくかった。
このへん、さじ加減が難しい。

ふらふらした気持ちのまま、映画は終了。
オチが意外とわかりやすかったので気持ちは落ち着いたが、
もっと揺すぶったままの方がよかった気もする。
このへん、さじ加減が難しい。

もっと面白くできたような、
いや、与えられた範囲で精いっぱいの作品ができたような、
なんとも複雑な感覚にとらわれた。
ともかく、
伝えたいものがあることは伝わった。

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