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映画評 「怪物の木こり」 ~ そこそこ楽しめるが終盤茶番 ~ [映画評]

原作は、2019年・第17回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。
だから、きっと面白いのだろう。
辻褄も合っているのだろう。
映画だけを見ると、「なんじゃ、これ」という感じだが。

ネットで公開されているストーリーはこんな感じ。

「怪物の木こり」という絵本に出てくる怪物の仮面を被った犯人が、
斧で相手の頭を割り、脳を奪い去るという連続猟奇殺人事件が発生。
犯人は次のターゲットに弁護士の二宮彰を定めた。
しかし二宮の本性は、犯人をも上回るほどの冷血非情なサイコパスだった。

なぜそんな残忍な殺し方をするのか、
なぜ弁護士を狙うのか、
犯人は誰なのか、
といったところが関心をつなぎとめるポイントのはずだが、
映画ではどれもピンと来ない。
種明かしをされても、かえってモヤモヤ。
原作もこんな感じなのだろうか。
いや、さすがにもうちょっと。

ただ、デヴィッド・フィンチャー監督の「セブン」のような極上サスペンスを望まず、
ぼんやり面白ければいい、くらいの感覚で観れば、
そこそこ楽しめる。
狙ってなのかどうなのか、三池崇史監督もそこそこ加減で作っている。

クライマックスが緊迫するどころかドタバタ茶番なのはやや残念だが、
まあ、割り切って観れば。

主演は亀梨和也さん。
恋人役の吉岡里帆さん、プロファイラー役の菜々緒さんがいずれも漫画チック。
染谷将太さんはいつものようにいい仕事。
中村獅童さんが出ているのだが、こういう有名俳優さんが出てしまうと、絶対端役ではないので先が読めてしまうきらいがある。
渋川清彦さんが癖のある刑事役。
今作ではちょっと浮いている。

サイコパスが本作のテーマの一つなのだが、
映画の中では定義も設定もぶれぶれで、
怖さも共感も持てない。
しかしまあ、そんなに真面目に考えなければ、まあ、はい。

公開初週の興行成績は第7位。
それなりのキャストを集めた割に快調な滑り出しとは言えないが、
まあ、はい。

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