SSブログ

日本とアルゼンチン [ヨモヤ]

「ポピュリズム大陸 南米」という本を読んだ。
外山尚之さんという前サンパウロ支局長の日本経済新聞記者の方が書かれたもの。
ベネズエラ、アルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビアなど南米各国の社会情勢が、
「ポピュリズム」
に焦点を当てながら描かれている。

南米というと経済的には厳しい国が多いように思うが、
よく考えてみたら、資源に恵まれ、人口に恵まれ、
条件的にはもっと豊かでもいいはず。
実際、アルゼンチンをはじめ、現在より豊かな時期があった国も少なくない。
それが、正しい選択をしてこなかったために
ズルズルと悪化してしまったようだ。

この本でも紹介されていたが、かつて、ノーベル経済学賞を受賞したサイモン・クズネッツさんが、
以下のようなジョークを話されたという。
「世界には4種類の国がある。先進国と発展途上国、そして日本とアルゼンチンだ。」

どういうことかというと、
世界の国は先進国と途上国に分けられ、
先進国は普通はそのまま先進国、途上国もなかなか先進国にはなれないなか、
日本は途上国から先進国になった特例、
アルゼンチンは先進国から途上国になった特例、
というわけである。

なんでも、アルゼンチンの知識人は、日本人相手にこの話をよくするらしい。
もちろん自虐なのだが、その一方で、豊かであった自国への自負もあるという。

政治が、国民に人気のある政策を取るのは至極当然である。
そのために選ばれたのだろうし、そうなることは民主主義としても真っ当である。
しかし、苦い薬を徹底的に避けていたら、いつか破綻が訪れる。
この本を読んだ人は誰も、南米の辿ってきた歴史と我が国を重ねるだろう。

政治の責任より、選んだ自分たちの責任の方が大きい。
未来のために、時に厳しい道を歩ける国民でありたいところだが、どうだろう。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事