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映画 「市子」 [映画評]

ここのところ、
時系列をあっちゃこっちゃしたり、
群像劇のようにいろいろな人に焦点を当てた短い話を挟んでいく映画を、
妙にたくさん観る。
この手法、
監督がその手法に酔っている感じが気色悪かったり、
単にわかりにくくなったりすることがほとんど。
なんとなく、いい映画っぽく見えるという利点があるのかもしれないが、
どうにも好きになれない。
そんなややこしくするより、真っすぐ伝えたらいいじゃないですか。

本作は、そのわかりにくい手法を使ってわかりにくくしてしまった典型例。
シリアスっぽい作りなのだが、
その割に細部の辻褄がおざなりなのも気になる。

どんなアラがあっても、主人公の市子に心が寄っていけばそれでいいのだが、
そうもならず。

市子は、本名とは違う名前を名乗っていたのだが、
去年評判となった「ある男」という映画でも使われていた設定だし、
古くは宮部みゆきさんの傑作小説「火車」で掘り下げられていたテーマでもある。
斬新さはなくても新たな何かが提示されればそれでいいのだが、
そうもならず。

杉咲花さんは好演しているが、それがなおさら。
杉咲さんを追う恋人役の若葉竜也もいいのだが、それがなおさら。
大好きな映画「ちはやふる」に出ていた森永悠希さん、
同じく大好きな映画「君が世界のはじまり」に出ていた中田青渚さんが脇を支えていた。

伝え方に工夫があるのは悪いことではないし、
見せ方にいろいろなアイデアがあるのも楽しい。
ただ、ど真ん中に芯があってほしい。
伝えたいものをガツンと伝えてほしい。

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